「せんべい缶にジップロックで」について

https://twitter.com/wahoo_gyudon/status/1337671626482073601


 青森から上野へと帰る新幹線の中で書きました。

「第4惑星の生存について」の中で、こんな事を書きました。


(以下引用)


 昔、地球が公転軌道を外へ(火星側へ)とはずれていく空想をしたことがあるんですが、どんどん寒く、暗くなっていく日本を歩いて(関東地方→中国地方)、老いた両親の元にようやくたどり着いて、その両親はそんな状況でも子どもの為にとなけなしの灯油で必死にストーブを焚くんだろうなみたいな想像をして、様々な角度(僕に子どもがいない、とか。大人になってるのになにもできない、とか)からひたすらに悲しくなりました。とりあえず有らん限りの布団のなかで抱き合って凍って死にます、まで考えた。


 なので地球でこの話やるのは帆多的に無理。立ち直れる気がしません。

(引用おわり)



 立ち直れましたね。2021年1月現在、帆多はとても元気です。


 元ネタの方では、毛布で抱き合って凍えて死ぬとなっていますが、その場合、冷え込みのスピートがだいぶ急激なんじゃなかろうか、と思いました。それはつまり、地球が太陽から遠ざかるペースがとても速いということで、地上の生物はその速度変化のインパクトで死滅しそうです。

 変化はゆるやかに、しかし冷徹に。

 そういったケースであれば、先に来るべきは凍えよりも飢えです。「第4惑星の生存」でも、楽に死ぬ方法を提供してお金持ちになってしまう生命体がいました。

 現代日本の場合は、そういった行動さえ家庭が担ってしまうのでは、と考えた結果の、あの陰惨なラストです。


 愛情の表現手段が、楽に死なせること。


 作品の最後まで語り部の「私」は生きていますが、そのあとの彼が、なかなか自死もできずにぐずぐずと生きてしまう可能性を思うと、より暗澹あんたんたる気持ちになれます。自死って難しいよ。


 タイトルの「せんべい缶にジップロックで」は、終盤の場面を書いている時に急に母親が「じゃあこれ」という感じでせんべい缶を出してきたので、そのまま採用しました。


 講評はこちら。

https://kinky12x08.hatenablog.com/entry/2020/12/21/004802 



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