きっかけと主役と舞台

 小説の体裁で何か書いてたのは中学卒業まででした。受験の頃から書かなくなってたと思います。

 その頃に着想だけあった「猫と魔法使いの話」を、20年以上たって「形にしよう」と思い立ったのが2017年暮れの事。

 猫と魔法使いって、字面がもうべったべたのベタなんですが、こちらに失う物は特になかった。

 

 

 さあ、改めて設定を考えてみよう in 通勤電車。

 わくわくの始まりです。

 なんでも始める時はわくわくするものです。



★二名の主役。

 アルルとヨゾラ。

 ヒトとネコ(もどき)。

 なりたての大人と、いろいろ知りたい黒猫。

 

 青年アルル。これは決まってた。なんで「ぷよぷよ」の主人公と同じ名前にしたのか不明ですが、シャルルが男性名ならアルルも男性名でいいだろう、と脳内会議を押し切った覚えはあります。ラピュタの影響。もっと低く飛びな。


 対して猫の方は、名前とビジュアルが直前に変更。


 当初: 鼻周りと脚先が白い黒猫セレナ

 第三話下書き: 背中に星型の白い模様がある黒猫ヨゾラ

 第三話公開時: 藍や紫に滲む毛並みの黒猫ヨゾラ


 名前は、高校演劇の脚本から転用。

 アプリコット・ヨゾラ → ただのヨゾラ。


 日産車が主役になるところでした。先日ゴーンがゴーンしたのでネタにできたかもしれません。笑えない。

 

 アルルにはある種の傍観者としての役割を、ヨゾラには質問する役割を当てていました。

 主役なので本当に傍観したりはしないのですが、物語序盤を読み返すと、この設定の名残が見えます。


 主役二名の体制は僕なりに意識していて、設定を練るときに「欠けているもの。できないこと」を積極的に作っていました。アルルが見て、ヨゾラが知る。ヨゾラがて、アルルが知る。



 アルルは

 相対的に背が低い

 産まれた土地では珍しい人種(黒髪黒目、浅黒い肌)

 使える魔法の仕組みが、他の魔法使いと違う

 「不思議なものたち」がえない

 なので彼らの力を借りられない

 実の両親がいない

 

 ヨゾラは

 仲間がいない

 経験が少ない

 語彙が少ない

 自分の知識の出どころを知らない

 ヒトの言葉を喋るのに、ヒトではない

 猫の鳴き声を出せない

 なぜ生まれたかを知らない

 

 

 これは僕の性格だと思うんですが、設定メモを見返すと「○○ない」がかなり多い。しんどい人生だよまったく。



 二人の関係性は本編未公開のため伏せます。


 アルルは「やさしい」「穏やか」「知識欲旺盛」をキーにして動かしたところ、見た目も全体的に茶色くなった。

 ヨゾラは「自由」「好奇心旺盛」「知らない」をキーに動かしてます。滲む毛並みは名前に引っ張られた。

 タイトルカラーが紫なのはこの毛並みのイメージです。



 二名体制なので、文体は三人称。それも限りなく一人称に近い三人称で行くことにしました。いいとこ取りでめっちゃ便利。


 

★舞台

 だいたいイメージしていたのが、蒸気機関の黎明期。

 魔法使いの存在感が、医者と同じぐらいの世の中で、近代風。

 中世風にしなかったのはいくつか理由がありますが、人が死ににくい時代背景にしたかったのと、社会の中での魔法の存在感を相対的に下げたかったからです。

 同じ事象に対して、魔法でも科学でもどちらでも解決しうる時代。


 先の一問一答にも書いたとおり、いろいろな人に光が当たるのが僕は好きなのですが、そのためには人の生活がある程度安定し、行動の幅が広がっている必要がありました。

 

 着想時からアルルは革ジャン着てたし。革ジャンて。


 旅モノなので地図がいるんですが、これはすでにあるものを利用しました。

 地球の地図を利用して、ちょちょいとアレンジしています。宮崎監督がヨーロッパ地図をアレンジしてナウシカの地図を作ったそうですので、それに習いました。

 街や村の名前も、実在の地名のアナグラムを訛らせてできあがり。


 ゼロから全ては作らない。世の中は僕が思うよりずっと広くて深いので、世の中の力を借ります。


 アナログとデジタルの大連携。

 すなわち、インターネットと博物館、およびスマホカメラですね。

 

 地面の上にスマホを立てて写真をとれば、だいたいそれが猫の視点。撮ってるところは、見られたくないものです。

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