書と暮らし(仮)

西行枝@

「書を捨てよ、町へ出よう」を持って出よう

 普段はドンキに買い物かジムで鍛えるくらいしか外出の用事がない僕だが、月に一回、電車に乗って実家の掃除に行く。掃除といっても換気や軽い点検くらいで、ものの10分かそこらで終わってしまう、簡単な用事。

 そんなちょっとしたことに毎月2000円と僕の1日を費やすのは時間がもったいないと思いつつも、僕の家にとっては大事なことなのでしょうがない。

 ところで電車の中では、人間は二つの種類に別れる。

 スマホを見る人間と、そうじゃない人間。前者は最近減りつつあるが(月一僕調べ)、それでも車内の半分がそうだ。みんな片手に持った板を虚ろなゾンビ顔で眺めている。

 僕も家ではスマホが手放せない人間で、堕落しきった奴だが、外様にゾンビ顔はさすがに見られたくない。しかし片道2時間も何もしないと言うのは、多動性のケがある僕にはいささか辛い。なのでスマホを使う、使わないの間をとって、本を読むことにしている(どこから本が出てきた?)。

 そして本題、というか問題はこうだ。「電車で読む本は何がいいか?」

 何でもいいわけじゃない。行きがけに読んだ本がつまらなかったら、その1日がつまらなく感じてしまうし、かさばる本を持って行くと、帰る頃にはへとへとに疲れてしまう。なので持って行く本はよくよく吟味する必要がある。

 サイズは、車内で本を取り出す必要があるので文庫本が好ましい。が、文庫本なら何でもいいかと言うと、決してそうではない。電車の中にいる時間は2時間。この時間は人によるが、決して本一冊読み終わる時間じゃない。

 読み終えることができないと言うことは、どこかで区切らないといけないわけで、適当な場所でしおりをはさむと前後の内容は次に読むまでに忘れてしまう。かといって章ごとに読もうとしても、目的の駅までに読み終わらなかったり、早く読み終わりすぎて中途半端に時間が余る、なんてこともある。

 つまり長編小説はNG。ならば短編小説かというと、それでも1センテンスが微妙に長い。では何ならいいのか。

 それはエッセイだろう。エッセイは性質上1センテンスが短く、だいたい5、6頁くらいでまとまっていて読みやすいし、書いてあることは大抵、他人の役に立たない人生訓なので忘れてもさして問題はない。それに素晴らしい物語に心を揺らされることもないので、後に引くこともない。ショート・リーディングにこれ以上なくふさわしい本だろう。


 旅行に行くなら小説を

 通勤通学はエッセイを

 明日は「書を捨てよ、町へ出よう」を持って出よう。

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