第18話 ここにいる理由

 落ち着いて夜も更けてきた頃、今日もカエデの部屋に泊まることになったツミキ。眠ろうとカエデと一緒にベットに入って目を瞑っていても、なんだか眠れずにいた

「ツミキ、起きてる?」

 カエデが、ボーッとしているツミキに気づいて声をかける

「……うん」

 か細い返事が聞こえて、もぞもぞとツミキの方に向くと、ツミキもカエデの方に向いて、お互い見つめあう

「ミオリさんはツミキの事、心配しているんだよ。巻き込みたくないんだよ」

 落ち込んでいると思ったカエデ。ツミキに、優しく伝えると、ツミキの両手をぎゅっと握る

「ツミキだって急にここの事知っただろうしさ、嫌だよね」

「嫌じゃないよ。二人に出会えて嬉しいし。ルモカさん達には迷惑かけてると思うけど……」


「ねえ、カエデちゃんは、どうしてここに?」

「私ね昔、一人ぼっちだったの。けどルモカさんやゼフドさん、ミオリさんも……ここの人達に助けてもらった。だから、力になりたい。うたの力が必要で私にあるなら何があっても頑張れる」

 カエデが、つかんでいたツミキの両手を更にぎゅっと強く手を握る

「でも私もツミキはここの事は忘れて、時々会ってくれるのが嬉しいな。危険な目には、あわせたくない」

 会話が止まり二人、手を繋いで見つめあっていると、突然コンコンとカエデの部屋の扉を叩く音が聞こえた

「カエデ。あの子達が来たようだ。急いで準備するように」

 声の主はミオリ。部屋の扉越しから落ち着いた声でカエデに伝えている

「……はい。すぐ行きます」

 急いでベットから降りて着替え始めていく

「ツミキは待ってて」

 あっという間にミオリと共に出ていってしまった。部屋に残ったツミキ。ゆっくりベットから体を起こして、

「うたが力に……」

 ダメと言われていたうた。でも少しならと鼻唄を唄ってみるが、数秒程唄ってみても、何も起こらず静かな部屋に戻ってく。ウサギのぬいぐるみを抱いたり、窓から外を見たりしてなんだか落ち着かず、いてもたってもいられずにカエデの部屋から出ていった


「二人とも、あまり前へ出るな!」

 建物の中をさ迷っているとゼフドの大声が聞こえて、騒がしい指令室に着いたツミキ。モニターに映るカエデ達の姿を見つけて呆然と見いってく

「カエデちゃん、ミオリさん……」

 呟いた声に気づいたゼフドが、ツミキの方に振り向いた

「ツミキ君か。部屋に戻りなさい」

「……でも二人が」

 心配で部屋に戻れずにいると、聞き覚えのある声と共に歌声が聞こえてきた。急いでモニターを確認すると、遠くからシキが二人に向かって唄い、飛びかかってきていた

「ツミキは私と同じうたを歌うんだ。お前たちに渡さない!」

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