第7話 瓦礫の中のうた
「ふざけんなー!」
ツミキが帰った次の日、カエデと黒い服の女の子が戦っていた
「ミオリさん!こっち!」
二人とは違う方向へ飛んでいくミオリの後ろを、女の子と同じ服の髪を束ねた女性が追いかけてくる
「カエデ、もう少し先に本部の応援が来ている!」
「了解です!」
カエデの元に来たミオリと共に、後ろから追いかけてくる
二人を追い払うため、廃墟へと入っていく
「おい、逃げんな!」
遅れて入っていく黒服の二人。姿が見当たらないまま奥へと進んでいくと、苛立った女の子が、すぅ。と大きく息を飲む。気づいた女性が慌てて止めにはいる
「シキ、待て!ここで歌っては建物が……」
「関係ないです!」
「……来ちゃった」
学校帰りに、また街に来たツミキ。街は前と違って静かな街並み。それも気にせず、閑散とした道を歩いていく
「一応、避難場所調べとかなきゃ……」
街に置かれた地図を確認していると、駅の案内を見つけて二人の事を思い出す
「カエデちゃん、ミオリさんにも会えるといいなぁ……」
「カエデ、大丈夫か」
ツミキが街に着いた頃、崩れ落ちた廃墟の中に、かろうじて逃げられたミオリが、女の子からの攻撃により見失っていたカエデを見つけていた
「はい。どうにか。どうなりましたか?」
あちこち擦り傷が目立ち座り込むカエデ。瓦礫もちらほらと落ちている建物の中、出口が見当たらなくなっていく
「さっきから物音がしない……とりあえず、ここから出ねば」
と、脱出方法を悩んでいると、後ろからクスクスと笑い近寄る足音が聞こえてきた
「出すわけには行かないんですよ」
「ここで終わりです」
黒服のシキと言う女の子と髪を束ねた女性が二人。近寄る二人を睨みながら、ゆっくりと起きるカエデ。静かに息を整えると小さく歌い始めた
「カエデ、ダメだ。歌っては……」
そのままフラフラと、二人の元に歩くカエデを止め焦るミオリ。構わず歩くカエデに身構えるシキと女性
「私は……」
更に大きくなるカエデの歌声と共に、廃墟も揺れ瓦礫が更に崩れ落ちていく
「ツミキにまた会うまで死ねないの!」
「えっ?また……」
グラグラと突然、地震が起こった。人のいない街をまだ歩いていたツミキ。地面が揺れて動けずにいると、突然どこからか、誰かがツミキの前に吹っ飛んできた。急いで駆け寄ると、見たことのある女の子が倒れていた。その後を駆けつけてきたカエデ。ツミキがいて少し遠くで立ち止まる
「えっ、カエデちゃん」
少し遅れて来たミオリも気づいてカエデの所へ、ゆっくり近づいく
「また邪魔が入ったわね。帰るよ」
ツミキの側で倒れていたシキ。崩れ落ちた廃墟から呼ばれると、ゆっくり立ち上がり三人に気づかれないように、ツミキの姿を名残惜しそう見たあと女性の後を追う
「……はい。シンクお姉さま。帰ります」
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