第1話
問題児。私を一言で例えるならこれだ。
四字熟語なんてよく知らないから、これ以上の言葉が出てこない。
制服なんて着たくない。勉強なんてつまらない。周りと同じなんて息が詰まる。
────自分だけの、何かが欲しい。
そう思うのは、私だけなんだろうか。
それを模索するのが中学校なのかもしれないけど、私はイマイチ納得できない。
やりたいこと全てに挑戦できる程、
私には時間も、お金も無いし、かけてもらう価値があるとは思えない。
何を目指せば自分が幸せになれるのか、
わからない。
そんな人生の、どこが幸福なのだろうか。
毎日同じようなことを考えて、また目を閉じる。明日が来ないように願いながら。
起床予定時刻の7時……よりも、30分前に設定したアラームで意識が戻る。いつもは7時20分に起きるけど、今日は何故か目覚めが良い。
「あら今日は早いこと!
毎日この時間に起きてほしいわぁ」
朝食とお弁当、仕事の支度を同時にする母が話しかけてくれる。
「おはよ。いつもありがとね、忙しいのに」
「そんなこと!心配しなくていーのよっ」
母は陽気に答えるが、私を一人で育てているだけで、かなりの負担がかかっているはずだ。
私がいなければどれだけ良かっただろうと、何度思ったことか。
「じゃあ、これ食べてね。いってきます」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
適当に支度を済ませて、いつもより、少し早く家を出る。また、退屈な一日が始まる……
と、思っていた。
「いってきます」
その日の朝はちょっとだけ、春にしては、
肌寒かった。
Me, in the book me, リースラッシュ @Hatopoppo_
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