型落ちアンドロイド

プラのペンギン

第1話

旦那様、どうして私のような型落ちアンドロイドを使っているのですか?」

アンドロイドが書斎の掃除をしながら、だらしなく椅子に腰掛ける私に話かける。

「君って型番何だっけ」

「はい。私はB-121です」

「私は好きだけどなあ。その明らかな人工皮膚の切れ目も、カメラっぽい眼球も、歩く時に聞こえてくるモーターの駆動音も。あと充電口とか。なんていうかノスタルジー感じるというか。今は全然聞かないからね」

「はあ。私には感情がないのでそういったことは理解しかねます」

私は思わず頬杖から顎を落としてしまった。

「君から聞いてきたんじゃないか……。君には感情ないからわからないだろうけど、私は寂しいんだよ。ここらも最近は人っ子一人いないからね。……私も昔は君みたいに人に仕えてたんだよ。大きい屋敷で少しの同僚たちといろんなことをした。でも楽しかったよ。屋敷の人たちは優しかったし、新しいことをたくさん知れた。だからクビになってからは暇で暇でしょうがないんだよ。それに寂しい。だからリサイクルセンターで君を買ってきたんだよ」

「はあ」

やはり話を聞いていないな。

「しかし、旦那様は何もしないのですか?私ばかり家事をしております」

意外な質問だな。

「めんどくさいからだよ。あと旦那様って呼び方やめてよ。私一応女なんだからね」

「旦那様がだめならなんと呼べば良いでしょうか」

「そうだな……、ご主人様はなんとなく嫌だし、だからといって奥様ってすると私旦那はいないし、お嬢様って感じでもないし。まあ好きに呼んで」

「わかりました。では、N-3552様は人類のマネごとをしてるということですか?」

「まさかの型番呼びか。まあそうだね、そうとも言えるかもしれないね。もう人類は人っ子一人いないからね」

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