登校日初日

 授業は朝9時からです。

 初日にクラス発表があるので、早めに大学に向かいました。

 言語教育院に入ってすぐに事務所があるのですが、壁に級ごとのクラスと生徒達の名前と教室が掲示されています。

 私が行ったときにはもうたくさんの生徒達が事務所の前にいて、貼り紙を見ていました。

 

 私は? というと、なんと二級に合格していました!

 独学だったし、テストもあまりよくできなかったので、一級かな……? と思っていただけに、ちょっとうれしかったです。

 

 建国大学は一級から六級まであります。

 一級と二級が初級で、三級と四級が中級で、五級と六級が上級です。

 初級ですが、半年間というかぎられた期間の中で一から勉強するとなるとたいして習得できないというあせりもあったので、ほっとしました。


 事務所の脇から上り坂になっていて、けっこうきついのですが、二階まで上り、そこから今度は階段を上ります。

 廊下で先生らしき男性達とすれちがったので、

「アンニョンハセヨ(こんにちは)」

と挨拶をしたら、

「ジャパニーズ?」

と聞かれたので、

「ネー(はい)」

と答えると、

「二級ですか? (日本語)」

「はい(日本語)」

「がんばってください! (日本語)」

と、流暢な日本語で話してくれました。

 この辺りは日本語が通じない地域だとネットでは言われているのですが、実際は日本語ができる人が多いと思います。

 とあるアウトドアショップに行ったときも、女性店員がイントネーションも完璧な日本語で対応してくれました。

 日本人なのかな? と思ったのですが、韓国人のお客さんには韓国語で対応していたところをみると、そうでもないようです。

 道を歩いているとよく勧誘につかまるのですが、

「すいません、外国人だから韓国語ができません」

とことわると、

「日本人ですか? 日本語少しできますよ」

と言われてしまいます(笑)

 担任の先生も高校生のときに日本語を少し習ったことがあって、簡単な会話も理解できるし、平仮名を読むこともできるそうです。

 韓国人にかぎらず中国人のクラスメート達も、日本の漫画やアニメが好きで、読んだり見たりしているうちに日本語ができるようになったという人達もいました。

 国際線でカナダ人のおじいさんととなりあわせになったことがあったのですが、日本語ペラペラでした!

 昔習った英語さえもすっかり忘れた私としては、感心するばかりです……


 これから約二ヶ月ちょっと勉強する教室に、いよいよ足を踏み入れます。

 それぞれの机には紙が貼ってあって、生徒達の名前が。

 もちろんハングルです。

 日本人は苗字と名前を書くと長くなるからでしょうか、名前だけでした。

 中国人留学生は漢字を韓国語読みにしているので、本当の名前はというと、発音がちがうそうです。

 

 始業時間が近づくと、チラホラ生徒達が集まってきます。

 12人くらいでした。

 やっぱり女性が多い!

 そして中国人が多かったです。

 日本人以外はみんな中国人でした。

 日本人は私を含めて4人です。

 三級に進学してから日本人のクラスメートに聞いたのですが、中国は人口のわりに大学が少なくないので、海外の大学に入学するのだそうです。

 

 時間になる前に担任の先生がやってきました。

 若そうな女性の先生です。

 初日なので先生の名前と、副担任の先生がかっこいい男の先生だということと(韓国人はほめ上手です)、教科書は学生会館の本屋さんで買うこと、生徒達の自己紹介など、オリエンテーションで終わりました。

 

 日本人の女子が一人、先生の韓国語を理解できなくて、先生が

「一級にしますか?」と級がえの提案をしました。

 前学期で一級を勉強してきた生徒達と比べると、いきなり二級のクラスに入った生徒達は実力がないように見えるらしく(私は実際にないんですが)、私とさらにもう一人の日本人も同じ提案をされました。

 独学だったのでネイティブと韓国語を話す機会がまったくなく、私の反応が薄いから、韓国語が全然できないのだと思い、先生は一級がよいと判断したのでしょう。

 話すことはできないけど、先生が言っていることはだいたい理解できたので、二級に残ることにしました。

 

 そのときは知らなかったのですが、一級の先生は一級で習った文法と単語しか使わずに生徒達に韓国語を教えます。

 二級なら二級の、三級なら三級といったように、生徒達が習ったレベルに合わせて話すのです!

 なので先生が話す韓国語を理解できないということは、二級を学習する段階ではないと判断されるようです。


 しかし自国で習う韓国語は、韓国の語学堂に合わせているわけではないので、大学側にとって簡単な単語でも生徒達が知らないこともあれば、逆に六級で習うような難しい文法を知っていることもあります。

 私は「テレビでハングル講座」で勉強した文法を使ったら、先生が「六級で習うむずかしい文法だよ! よく知ってるね!」とほめてくれました。

 私からすれば初級の文法だと思っていたので、キョトンとしてしまったのですが。


 オリエンテーションで、一つ課題ができてしまいました。

 建国大学では、クラスで一番をとったときと皆勤賞で奨学金をもらえるのですが、振り込みなので通帳を作らなければなりません。

 奨学金はもらえればいいかなと思うぐらいで、奨学金のためになにがなんでも口座を開設しなきゃ! とまでは考えていなかったのですが、あると便利です。

 日本から現金を持ってきていたので、泥棒にあう前に銀行に預けておきたかったし、振り込みもできます。

 

 昔はパスポートだけで作れたそうですが、今は審査が厳しくなってきていて、外国人登録証がないと作れないそうなのです……

 そう、まずは外国人登録証を。

 これなしに韓国から出国してしまうと、せっかく取ったビザが無効になってしまいます!

 帰国する予定もないし、別の国に行く予定もないのですが、万が一ということもあります。

 90日以上韓国に滞在する人は、必ず外国人登録証を取得しにいきましょう!


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