ボク、勇者パーティーに入りません!
宇宙からの狐狸
第1話【ワカレタビダチ】
魔法学校の卒業式が終わってから、今日でお別れとなる寮部屋の片付けを急いで終わらせようとしていると、同居人の【マルト】から声をかけられた。
「お前、にやけすぎ。嬉しそうだなぁ」
とてもにやけていた。なぜなら、明日からボクは、あの【勇者パーティー】の一員となるのだ。彼は続けて言った。
「ま、気張りすぎんなよ。お前は昔っから独りで抱えちまうからな……」
「そうかい? そんなことは自分じゃわからないや……。けど、キミの助言のおかげで【マンドレイク大合唱事件】も切り抜けられた。感謝してるぜ、親友。はなればなれになっても、応援してる」
「おうよ、もっと俺を称えろ? ははっ! さよならだな、旅の途中で死にやがったら、禁忌魔法で生き返らせてやる。……無事で居ろよ【ツクヨ】!」
ボクらは笑いあってハイタッチした。それ以降言葉を語ることもなく、沈着に片付けを続け、やがて空には月が昇った。
相部屋だというのに1つしかないベッドにふたりで潜り込むと、あと数時間すれば2度と会えないかもしれない彼と、魔法学校での思い出を語り合った。懐かしむと共に笑って、笑って、笑って、泣いて。やがて語り疲れ、ボクらは全く同じタイミングで眠りについた。
異変が起こったのは、次の日の朝のこと。
まずひとつ、180cmを越えていた身長が、縮んでいて。
ふたつ、局部にあったはずのアレが無くなっていて。
みっつ、胸部に、大きさはメロン、柔らかさはマシュマロの、みごとな双耳峰が盛られていた。
マルトはまだ寝息をたてている。勇者パーティーとの会見までは時間の余裕がある。まだ、安心していい。焦るのは悪い癖だ……しかし……。
「ツ、クヨぉ……俺は、俺はなぁ……」
寝言を溢す彼は、ボクの上に覆い被さりながら、細く白い指でふたつの乳房をふにふにと押し続けていることには、焦りを感じずにはいられなかった。
「俺は、男だけどな、お前のことが……」
彼の人差し指がボクの胸に沈んでいく。ずぽっと音の立ちそうなほど深く沈み、やがて彼の指が見えなくなってもさらに沈んでいく。
頬は紅潮し、胸とお腹のあたりがふわふわする感覚。いつもなら声をあげて「悪ふざけはやめろよ~?」とでも言えたものだが、驚きと、彼が起きたら気付いてしまうという不安感から、声をあげられないまま、自分の口に手を当て、声を出さないように、必死に息を殺して逃げ出す隙を伺っていると、マルトは、ボクの乳房の中心部分にある突起に指を沈めようとしている。
彼の寝相がひどいことは、同居していたボクが1番わかっている。しかし、ここまでひどいのは今日が初め――――
「んぅっッッッッッッッッッッッッッッッッ―――――――!!!?!???!?」
ヤバい、これはダメだ。これ以上感じちゃダメなやつだ。さっきは口を抑えてたからまだ耐えられた。だけど、もう1回でもやられちゃったらゼッタイ戻れなくなっちゃう。だってこんなの、気持ち良すぎ……っ……。
「はっ……んぅう……あ……ッッ//」
マルトもう片方の手が、ボクのもう片方の胸に伸びる。そして、また、
「はひぇ……? んっ……はぁ……// ……マル、ト……?」
彼はボクの胸から手を離し、目を見開いて驚くも、直ぐに口を開けてこう言った。
「おはようツクヨ。お前……女の子に、なったのか?」
全身が火照ったままのボクことツクヨは、だらしなくヨダレを垂らしながら、目に涙を溜めて応えた。
「んうぅぅぅっ……謝るのが、先だろぅがぁ……ばかマルト……っ……ッッ……」
びくびくと微振動が全身に続くのに合わせて、自分両胸もぷるぷると震えていることがわかる。
震えが止まらず、あお向けの身体の上にあった両乳はバランスを崩してふにゃんとベッドにこぼれ落ちる。
どうやらボクは、今日この日をもって、女の子になったみたいだった。
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