死者の軍勢との戦い
「な、なんだって?」
「メテオストライクを撃ちます」
「そのあと、エクスプロージョンを延々と撃ち込みます」
俺と南は受付のお姉さんに連れられて、防衛軍の司令官に面会した
「メテオストライクだけでも信じられないがエクスプロージョンは幻の魔法......」
「信じるかどうかはおいておいて、死者の軍勢がきたら、撃ちます」
「わかった。信じられないが、もし本当なら助かる
許可しよう」
「「ありがとうございます」」
俺たちは指揮官の許可をもらった。許可と言うより、
迂闊に死者の軍勢に軍を向かわせて欲しく無いからだ
味方がいてはメテオストライクもエクスプロージョンも使えない
特にメテオストライクはこの街の北側に広がる平原の半分はその攻撃範囲になる
メテオストライクとは古代魔法を除くとこの世界で最大の魔法
効果範囲が50km四方という途方も無い範囲だ
一方、古代魔法のエクスプロージョンは射程10km、俺の銃だと4km
☆☆☆
俺と南、夜叉王はこの街の一番見晴らしのいい城壁に場所をもらった
指揮官は信じてくれた様だ。俺たちの噂を聞いたからだろう
謎のEクラス冒険者として
俺たちには受付のお姉さんがついてくれた
彼女は元軍役で、この街の軍の指揮官の奥さんだった
「今更だけど、私はサラ、よろしくね」
「俺は高野」
「私は南」
「我は夜叉王だ」
「みんな知ってるわよ。有名人だから」
「なぜ我らは有名人なのだ?」
夜叉王が聞く、あー察しの悪い男だ
夜叉王は自分がEランクの若い女の冒険者を連れ歩くとどういう
憶測が出るかわからない様だ。つまり、夜叉王は毎日若い女を交互に
いや、同時に楽しんでいるという邪推を受けている訳だ
「大丈夫だから。夜叉王は何も考えないで」
「そう、あとで教えてあげるから」
オブラートに包んでね......
南との打ち合わせでは南が4大エレメント最大の広範囲攻撃魔法、
メテオストライクを詠唱する
魔法の発動をもって、俺の銃の使用を開始する
死者の軍勢が見えてくる
「本当に大丈夫なの?」
「マインドダウンした時はお願いします
南、魔法を頼む」
「うん。わかった」
南が魔法詠唱に入る、詠唱の所要時間は約10分
城壁からだからかなり遠くまで見通せる
死者の軍勢の全容が把握出来た
軍勢2万、スケルトン、ゾンビを中心とする軍勢だ
それに対してローテンブルグ軍2万。死者の軍勢の方が優勢だろう
しかし、南の魔法で戦況は変わる筈だ
南は魔法詠唱を終えた。そして力ある言葉を紡いだ
「全てを喰らい尽くすもの 全てを憎むもの 復讐の支配者たる 偉大なる汝の名において
我ここに神に誓わん 我に立ちふさがりし 全ての愚かなるものに
我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを
『メテオストライク』」
死者の軍勢に南の攻撃魔法が襲う
空が裂け、隕石が顕現する復讐の女神ネメシスの名を称えるこの魔法は
4大エレメントを使う魔法では最大のものだ
50km四方に大小の隕石が降り注ぐ
美しくすらあるその光景にみな目をみはった
「南、大丈夫?」
俺は心配そうに聞いた
「大丈夫よ。ちょっと疲れただけ」
賢者の南もこれだけの魔法だと、かなり魔力を使う
「じゃ、次は俺の番だ」
俺は愛銃AK74を携え、射撃準備に入った
大きく脚を開き、うつ伏せになる
銃の反動と魔物からの反撃を避ける為徹底的に低い姿勢をとる
パンツ見えるかもしれないな
と思ったが、今は時間が惜しかった
射撃を開始する
大きな銃声がローテンブルグに響きわたる
アサルトライフルの有効射程は500m、
だが、俺は4000m先のスケルトンの集団を狙った
何故なら、銃の弾丸はエクスプロージョン弾
直撃する必要は無い、弾が届けばいい
着弾した30m四方の魔物はひとたまりもなかった
銃声は更に続く
死者の軍勢は銃撃により蹂躙された
10分もたたないうちに、死者の軍勢が壊滅する
「す、すごい」
サラは感嘆の声をあげる
「......か・い・か・ん......」
俺は思わず口ばしった
「だから、高野君、それ止めた方がいいって」
南がいつもの様につっこむ
「じゃ、私も」
そう言って南も呪文詠唱に入った
南の詠唱魔法の方が射程が長い
「暗黒よ!!! 闇よ!!! 負界の混沌より禁
断の黒炎を呼び覚ませ !!!『エクスプロージョン』」
続いて俺もエクスプロージョンの魔法詠唱に入る
南程高速詠唱できない。約2分、南は30秒
『『エクスプロージョン』』
偶然俺と南の呪文が重なる
熱風が吹き溢れ、俺の髪を暑い風が揺らす
ふっと南を見ると、俺と同様髪が揺れ、閉じられた瞳から長い睫毛が見える
綺麗だな......
「高野殿?」
夜叉王が問いかける
いかんいかん。南に見取れていた
「そろそろ良いのでは無いか?」
「ああ、死者の軍勢はほとんど壊滅したかな」
「あとは、セイクリットリッチ!」
「ようやく我にも仕事が回ってきたな」
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