エルアラメインの魔女
エルアラメイン最終階層を攻略した俺達は現れた屋敷で休息をとった
「遙の剣すごいな」
「うん。蒼君のおかげかも、蒼君を守りたいって思ったら、声が聞こえたの」
「なんか、俺、守られる存在になってるな」
「蒼君は私が守るの、あと、蒼君をいじめていいのは私だけなの」
「いじめるのは止めて......」
「私のは愛情表現」
「いや、結構、遙のはきつい」
「そうかなー」
今回、南が一人でいいところ持って行ってしまったから
俺はちょっと気分がトーンダウン
俺達は屋敷で1日ゆっくりくつろいだ
お風呂やきちんとした和食に感激した
☆☆☆
「じゃ、行こうか」
「うん」
俺達はこの屋敷の主の部屋の魔法陣へ足を踏み入れた
魔方陣が光り輝き、いくつもの五芒星が広がる
そして、アルナロックの試練のダンジョンと同じ様に一人の女性が現れた
『先ずはダンジョンの攻略に謝辞を申します
おめでとうございます
このダンジョンは他の試練のダンジョンより厳しいのです
よく、攻略してくれました
私の名前は本田未央』
「日本人!」
「だめだよ南、これただの記録、会話はできないんだ」
「あ、うん、わかった」
『......人は私をエルアラメインの魔女と呼びます
私があなたたちに伝えるのは5つ
<1つ目>
この世界の歴史。私は古代の歴史書により学びました
この世界に昔から魔族や魔物がいた訳ではありません
魔法も昔はありませんでした
この世界の魔法、魔族、魔物も全て人間が作り出したものです
魔族、魔物、魔法も人間の兵器として開発されたものです
しかし、魔物は暴走し。人間の世界は一旦滅びます
そして、僅かに生き残った人類が魔法を学び
魔物に対抗しました。彼らは魔族から魔法を学んだのです
<2つ目>
一番重要な事は自身の目で事実を見極める事
信じられないでしょうが魔族は解りあえる存在です
私達は魔族を友とし、戦った
彼らは私達の友人です
私達は魔族の友と共にし、悪しき魔王と戦い、そして勝ちました
<3つ目>
私は古代魔法について気がつきました
古代の歴史書に古代魔法の記載がありました
古代魔法は人間だけに唱えられる魔法です
魔族は唱えられません
何故なら、人間の兵器だった彼らが、人類を滅ぼす事を
恐れた人間が魔族には古代魔法を唱えられない様に
遺伝子操作しました
古代魔法とは通常のエレメントへの干渉をエーテルによってでは
なく、プラーナにより行います
プラーナはエーテルより遥かに細やかにエレメントに干渉できます
エーテルが分子レベルだったのに対してプラーナは
原子、電子、中性子レベル
そして何よりプラーナを使った場合、エーテルに比べ魔力消費は
とても少ないのです。大きな魔法を使ってもマインドダウンしない
その代わり、古代魔法の詠唱には時間が必要です
エーテルより、プラーナの方がエレメントへの干渉の程度
が細やかな為、プロセスが極端に多いのです
<4つ目です>
この世界の女神アリシアは魔族でした
信じられないかもしれませんが事実です
彼女の行った奇跡の数々は高度な魔法だったのです
しかし、人間は国をまとめる為、魔族を敵としてすえました
そして、時に魔族の王、魔王に悪しき者が生まれ
人を滅ぼそうとします
私達はそれを回避する為、地球という惑星から召喚されました
おそらくこのダンジョンをクリアしたあなた達も
他の世界から召喚されたのでしょう
アリシア教の教えは『汝隣人を愛せよ』というものです
これは魔族の主教ユグドラシル教と全く同じです
そうです。人間も魔族も同じ神を信じているのです
人間も魔族も違いに隣人では無いと思っています
でも、人間も魔族も大した違いはありません
魔族の強大な魔力が人間に異質なものと見せ
人間の残酷な一面が魔族を他の存在と思わしめています
<5つ目です>
魔王を倒したかったら、古代魔法を学びなさい
あなた達には古代魔法『エクスプロージョン』の魔法を魔導書グリモアで
授けます。使う事によってプラーナを感じなさい
プラーナを使う要領はエーテルと同じです
ただし、プラーナを扱うには4大エレメント全てにアクセスする必要があります
先ずは、4つの元素魔法を習得する事です
魔法と古代魔法に関してはこの屋敷の書斎から
魔法に関する文献を持ち出して学んでください
魔法は物理学や化学を学ぶとより早くわかります
この屋敷の書斎には化学や物理の文献があります
私が消えると出口の魔法陣が現れますが、慌てる必要はありません
魔法陣は消えません。そして、このダンジョンでは
時間の流れが100倍違います
この屋敷で1年過ごしてもあなた達は1年の時を
過ごしません。書斎で全ての文献を学び、それからダンジョンから
出るのです
☆☆☆
私のお話しここまでです
私はあなた達が魔王を倒すだけでなく、人間と魔族の和睦
の橋渡しになる事を願います
しかし、良く考えて行動してください
私達は魔王を滅し、人類と魔族の和睦に尽力しました
残念ですが、人間も魔族のほとんどが理解してくれませんでした
私達は失意の元、友人の魔族の力をえて、この塔とダンジョンを
築き、そしてここに長い間隠遁しました
あなた達もそうなる可能性があります
自身で良く考えて行動してください
それではあなた達に幸せな未来がある事をお祈りします』
女性の姿が消えて行った
そして、俺達の左に手の甲に鷹の紋章が刻まれていった
魔法陣の跡には2冊の魔導書グリモアが残された
そして新たな魔法陣が生まれた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます