第100話

 オカ達が動けずに居ると後ろから声が掛かった。


「オカ、どうなったの……?」


 後ろを向くとそこにはハルカが居た。


「全て終わったさ……」


 オカの表情はとても寂しそうであった……


「そ、そっか……ママや兄は……?」


 オカは再び、前を向き今までの出来事を決して忘れない様に目に焼き付ける。


 そして、ハルカの問に答える。


「倒した……」

「そっか……」


 その時、ハルカの顔はこの場では似つかない表情を浮かべている事にオカとメグは気付いて無かった……


「なら……生き残っているは、オカとその子だけなんだ……?」


 オカとメグからは見えないが、ハルカの口元は凄い釣り上がっている。


「そうだな……」

「私達だけになっちゃいましたね……」


 ハルカはゆっくりとオカ達に近づく。


「そっかそっか……アイツら二人もやっと消えたか……」


 ハルカの口調が違和感を持ったオカは後ろを振り向こうとした時には、既に……


「な、なんだよこれ……」

「オカさん!?」


 なんと、オカの左胸から、あの大きなハサミの刃がいきなり現れた。


「カハッ……」


 オカは口からも胸からも血を流す。


「な、なんで……?」


 地面に倒れながらハルカを見ると、片手に大きなハサミを持ちながらニヤリと笑っていた。


「アハハハハハハハハハ」


 その声は今まで話して来て聞いた事の無い声であった。


「あーーー、スッリキした!!」


 ハルカの表情は一変していた。


「オカ、アンタ達のお陰だよ!」

「ど、どういう事だ……?」

「そのまんまの意味さ。私からしたらあの二人は邪魔だったんだよ」


 何かから解放された様に、ハルカはスッキリした表情を浮かべる。


「基本私達はお互い殺す事は出来ないんだよ。だから本当に我慢するのが大変だったわー」

「やっぱり……お、俺を……利用したのか……?」

「ピンポーン! 本当に良い仕事してくれたねー!」


 ハルカはもの優しげな笑顔でオカに微笑む。


「く、くそ……」

「アハハハハハハハハハ、オカの所為で皆んな死んじゃったね!」


 オカの目からは涙が流れる。


「力が増すとかも嘘なのか……?」

「それは本当! だから二人が力を増す前にオカ達に倒して貰おうと思っただけー」


 そして、オカは皆んなに謝る様に呟く。


「プルさん、俺の所為でごめんなさい」


 オカはプルからパラノーマルに誘われた時の事を思い出す……


「ヒューズさん、俺の所為でごめんなさい」


 オカは、いつも優しいヒューズを思い出す……


「パークさん、俺の所為でごめんなさい」


 オカは、兄貴分でオカを色々な場所に連れて行ってくれた事を思い出す……


「フィブ、俺の所為でごめん」


 オカは、いつも何を考えているか分からないが、いつも笑わせてくれた事を思い出す……


「ダルマ、俺の所為でごめん」


 オカは、人生で初めて親友と言える相手を思い出す……


「クソ……みんなごめん……」


 こうして、オカは目を閉じた…


「オカさん!?」

「アハハハハハハハハハ、オカ死んじゃった!」


 楽しそうに、嬉しそうに笑うハルカであった。


「あー、面白かった!」


 そして、ハルカはメグを見る。


「アンタをどうしよかね?」

「い、いや!」

「アハ! 何が嫌なのよ?」

「こ、殺さないで……」

「アハハハハハハハハハ、親友も死んだと言うのにお前は自分だけ助かりたいのか?」


 ハルカの目を見てメグは震える。楽しそうに笑っている筈なのに目の奥はとても冷めている様に見えたからだ。


「ワ、ワタシ知っているよ! と、都市伝説は本当にあるんだよ……?」


 メグはハルカの目を見て呟く。


「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」


 こうして、ハルカはその場から消えてしまった……

 ハルカが消えたと同時に周りの景色が切り替わり最初に皆んなで集まった場所に戻ってきた。


「……」


 メグは周囲を見回すが特に変わったことも無い。

 それからメグは警察に全ての事を話すが信じて貰えず、オカ達の死体がある訳でも無い為、行方不明者として取り扱われる事になる。


 それと同時に今まで世間で騒がれていた連続殺人についてもピタリと止まり。結局犯人は見つからず依然逃亡中とニュースで流れた。


 町では、まだ警戒しているのか夜に外を出歩く者は居ないという。


 メグはあちこち真実を伝える為に回るが、どの人もどの会社からも信じて貰えず、周りからは頭のおかしい者と認定されメグ自身も、どんどんと心が病み、引篭になる。


 そして、ココはとある部屋の中……目の焦点が合っていない女の子がパソコンに向かって何やらカチカチとキーボードを動かしている様だ。


 女の子は一体何日お風呂に入ってないのか、髪はボサボサで身体からは異臭を放っている。



「アハハ……ワタシ……シッテイルヨ? ホントニ、ホントニ、都市伝説ハ、アルンダヨ……?」








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