あの都市伝説が再び……
第56話
「あはは、そうかオカ達は大変だったんだな」
「パーク、笑い事じゃないよ。オカ君達怪我は無かったかい?」
今、オカ達が居るのはパラノーマルの会社の中である。パクトからの一件が終わり、数日の休暇を取ったのちに再度集まった様だ。
どうやら、今回はヒューズとパークも会社に出勤しているらしい。
「いやー、本当に大変だったんですよー」
「まぁ、オカなら殺人鬼程度なら余裕で逃げ切れるだろ」
「確かに、オカ君はあのマサオさん相手に逃げ切った男だからね」
(逃げ切ったとは言っても途中で脇腹をハサミで刺されたけど……)
「あ、あのヒューズさん、お疲れ様です!」
「うん、お疲れ様。ダルマ君も大変だったね」
「い、いえ。俺はミスしただけでオカに助けて貰いました……」
尊敬するヒューズの前では決して嘘を吐きたく無いのか直ぐに本当の事を言うダルマであった。
「そんな事よりも俺はダルマ君に怪我無くて良かったと思うよ」
「ヒュ、ヒューズさん……」
途端に涙目になるダルマをフィブは見逃さなかった。
「ダルマ泣いているの……?」
「な、泣いてねぇーよ!」
「手、握る……?」
「お、お前アッチ行ってろ!」
二人のやり取りにヒューズはおかしそうに見守っていた。
「そういえば、プルさんテレビ見たっすよ」
「ふふ。ナイスアイディアでしょ?」
「流石ですね。俺もパークもテレビにプルさんが映った時は驚きましたよ」
(プルさん、テレビの取材で、かなりパラノーマルの事宣伝してたもんな)
その影響なのか、テレビで今回のパクト事件が流れた後はパラノーマルに依頼やら超常現象の情報などが殺到した。
「これで暫く仕事に困らないですね!」
「いや、それがそうとも言えないのよ」
「え、なんでですか?」
オカは疑問に思いプルに聞く。
「大体の依頼や情報がデマなのよ」
どうやら、依頼や情報がバンバン来るが殆どのモノがデマや悪戯によるモノらしく仮に本当だとしても、仕事内容的には不倫の調査だったりと本来の仕事内容外のものばかりである。
(不倫調査とかも結構楽しそうだな……)
言葉に出来ないが、オカは少し楽しそうだと感じている様だ。
「なら、結局は今まで通り会社としては利益無いんですか?」
「いえ、そんな事も無いのよ。確かに殆どが悪戯だったりするんだけど、知名度が上がった事によって、企業から記事の依頼が来る様になったわ」
パラノーマルとしては、超常現象の記事を書くのがメインだが、プルは会社の経営の為に関係ない内容の記事依頼も受けている様だ。
「まぁ、何にしても良い事っすね!」
「ふふ。パーク君の言う通り良い事よ」
「なら、この後仕事が終わったらお祝いに飲みにでも行きませんか?」
「それ良いわね」
「流石、ヒューズ! 良い事言うぜ」
それを聞いたダルマは小さくガッツポーズをする。そして、気になっていた事をヒューズに尋ねる。
「あ、あのヒューズさん!」
「ん、なんだい?」
「ヒューズさんは、いつからパラノーマルで働く予定なんですか?」
「その件なんだけど、正式に会社を辞める事が出来たから、明日からは俺もパラノーマルの社員だ。よろしくダルマ先輩」
ダルマを揶揄う様にヒューズは笑顔でダルマに呟く。
「そ、そんな。やめて下さいよ。俺はヒューズさんの下で働きたくて入社したんですから」
「あはは」
(ヒューズさんと働けると知ったダルマ嬉しそうだな)
「おい、ダルマ! お前、俺の事を忘れているんじゃないか? 俺も明日から働くぞ?」
「そ、そうなんですか? よろしくお願いします」
「なーんか、ヒューズの野郎と態度がチゲーな」
「筋肉はお呼びじゃ無い……」
すると、今まで黙っていたフィブが呟く。
「おい、フィブどう言う意味だ!」
「ふふ、冗談……」
「わ、わかりずれぇーよ……」
フィブなりにパークに対して冗談を言った様だが、パーク自身は若干引いている様だ……
「ふふ、これでやっと全員がパラノーマルに揃ったわね」
「はは、お待たせしてすみません」
「次危ない目に会う時は俺が助けてやるからな!」
「パークさん頼みますよ?」
「筋肉に期待……」
「やっとヒューズさんと働ける!」
全員が揃った事により、パラノーマルは全社員五人である。
主に社長のプルが指示を出し、これから調査や記事を書いていく様だ。
(初仕事ではいきなり殺人鬼とやり合う事になって大変だったけど、これからは楽しくなりそうだな!)
オカはパクトに殺されそうになったにも関わらず、次の仕事を楽しみにしているあたり、少し変わっている。だが、それはオカだけでは無く、恐らくパラノーマル全員が変わっているのであろう。
「ふふ、それじゃ今日はこれで終わりにして飲みに行きましょうか」
「さすがプルさんだぜ!」
「はは、少人数の会社はこういう所があっていいね」
こうして、本当の意味でパラノーマルの社員として働く全員に対して本当の都市伝説に再び巻き込まれる事になるとはこの時誰一人知る由も無かった……
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