第47話
工場に忍び込んだ四人は、まず内部では無く外部を探索しようと、言う事で懐中電灯を片手に歩き回る。
「こ、怖いな」
「手握る……?」
「いらねぇよ!」
ダルマの反応を見て、ニヤリとフィブが笑っている。
「プルさん、まずはどんな事を調べたりすればいいですか?」
「そうね……。まずは都市伝説に関係ありそうな物とか何か無いか探しましょうか」
そう言うと、それぞれが地面を懐中電灯で照らしたり周りを照らしたりして何か無いか探し始める。
(夜の工場って、やっぱり雰囲気あるな……)
誰も居ない工場内は静寂であり、オカ達が立てる音しか無い。一時間程何か無いか探し回ったが、外周からは何も見つけられ無かった様だ。
「何も無いわね」
「暗いって言うのもあると思いますが、全然無いですね」
続いて内部を確認する為に一同は扉から工場内に侵入した。
「廃棄されているから、鍵とか掛かっている思いましたが、そうでも無いんですね」
「最初は掛かっていたかもしれないわね。後から私達みたいに誰かが侵入したのかも」
工場内は暗く、懐中電灯を消したら一切見えないであろう。
「この暗さは流石にキツいわね」
「全然見えない……」
「と、都市伝説では電気が来ているとありましたし、探してみますか?」
「うーん、廃棄工場の電気がいきなり点いたら騒ぎになりそうだから、それは難しいわね」
それから、四人は暗い工場内に何か無いか探し回る。四人の足音だけが響き渡り、場所が広い為足音が反響して何人ものの足音に聴こえて来る。
(なんだ?)
ふと、オカは何かを感じ取り後ろを振り向くが、何も変わった事は無かった。
(またか……)
ここ最近、誰かに見られていると感じているオカだが、どうやらここでも誰かに見られている感じがしている様だ。
「何も無いですね」
オカは何か分からない気配に少し恐怖感を覚え、それを誤魔化す様に話し始める。
「そうね……。ここでは無い他の場所なのか、そもそもただの噂だったのか」
「さ、流石にマサオさんみたいな事は無いと思うので、今回はただの噂かと」
「ダルマの意見と同じ……」
「そうよね、まぁこんな事は、こういう仕事していれば沢山ある事よ」
(なんだか、こういう無駄骨も社会人らしいのかな?)
初めての仕事なので、何が社会人か全然分からないオカからしたら、今の仕事が普通の事だと思っている様だ。
「ただ、仕事として何も収穫が無い状態で帰る事は出来ないから、一応全て見て回りましょう」
「わ、分かりました」
「お仕事はちゃんとする……」
その後も四人は工場内を日が登るまで見て回るが、全てを見る事が、出来なかった。
「本当にこの工場広いわね」
「朝まで探し回ったのに全部見れなかった……」
「さ、流石に疲れました」
ダルマはずっと歩き回っていたので、かなり疲労している様だ。
「抱っこして運ぶ……?」
「お前余裕だな……」
疲れている為、フィブに対してのツッコミも弱い。
「オカ君、今何時かしら?」
「朝の五時です」
「今日の夜も回れば流石に全て見て回れるわね」
(今日の夜もこの工場を歩き回るのか……)
少し、嫌な気持ちになっているオカだったが、それはダルマも同じで、プルの言葉を聞いた途端に顔を下げた。
「ふふ、その代わり明日は一日フリーにして観光や美味しいものでも食べましょう」
その言葉に三人は表情を緩めて、夜を頑張る事にしたらしい。
四人は来た時と同様車に乗り込み宿に戻った。
「それじゃ、15時にまた集合しましょう」
(今からだったら、充分寝れるな)
オカ達は一度別れて部屋に向かう。
「ダルマ、眠いぞー」
「俺もだよ」
「しかも、お腹も減って来たな」
「俺もだよ……」
部屋に戻り布団を敷いた後はコンビニで買ったカップ麺を食べた二人は直ぐに布団に潜り込み寝息を立てる。
昨日の夜から朝までひたすら歩き続けたので疲れているのは当たり前だろう。
そしてアラーム音で起きた二人は寝惚けた頭で、着替えを済まし集合場所に向かった。
「ダメだ、全然睡眠が足りない」
「俺もだ」
半分寝ながら歩いている二人。
「二人共眠そうね」
「フラフラして危ない……」
「なんか、全然寝足りないですよ」
「オカの意見に同意します」
フィブも目が半分閉じているが、プルに関しては全然眠そうな雰囲気が無い。
「プルさんは、眠く無いんですか?」
「私は、慣れているから大丈夫よ」
(流石だな……)
「私達無職だった者は徐々に慣れるしかない……」
「その通りだな……」
四人は昨日と同じくご飯を食べて、温泉に入り、夜になるまでゆっくりと過ごす。
「また、歩き回ると思うと嫌だけど、やっぱりこういうのはいいよな」
「オカの言う通りご飯と温泉は最高だな」
男二人はご飯と温泉に大満足の様だ。
「ふふ、ゆっくりしている所悪いけど、また工場に行くわよ」
「「「はーい」」」
そして、夜の工場に再び到着した一同は車から出る。
「さて、元気よく行きましょう」
(プルさんは思ったより体育会系なのか……?)
四人は廃棄工場に再び足を踏みこんだが、昨日とは違う点が一つあった。
それは工場に誰かが立っていた……
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