都市伝説から逃げ切るには……
こーぷ
マサオさん
第1話
空から太陽が消えて月が出ている夜に一人の青年がパソコンでネットサーフィンをしている。
彼の名前はオカと言う。名前と言うよりかはペンネームやハンドルネームと言った方が良いのかもしれない。彼は掲示板やオンラインゲームなどでは決まってオカと言う名を使用している。名前の由来は単純に岡村と言う名字から文字ったものである。
「あーぁ、なんか面白い事無いかなー」
現在大学四年で21歳であるオカは単位も取り尽くし、後は卒業を待つばかりである為暇を持て余している様だ。
「つまらない記事ばかりだな」
毎日の日課である、お気に入りのサイトを見て回るが、ろくに目を通さず流し読みでどんどん読み飛ばして行くオカである。どうやらここ最近はお気に入りのサイトですらツマラナイと感じてしまっているみたいだ。
「ん? なんだこれ?」
お気に入りのブログを読み進めていくと、一つの記事が目に止まった。
【都市伝説マサオさん。眠れない夜のお供にどうぞ】
「都市伝説とかなんか懐かしいな」
更新日は今から10分程前で、ちょうど寝るには早過ぎるが映画など見るには遅過ぎる時間である為オカは暇つぶしがてら記事を見てみる事にしたらしい。
「この人、こんな記事も書くんだなー」
記事の題名をクリックし読み進める。
【都市伝説マサオさん。眠れない夜のお供にどうぞ】
貴方は、【マサオさん】と言う都市伝説を知っていますか?
マサオさんは、山奥にある廃れた村に家族四人で暮らしていました。その村にはマサオさん達以外にも住んでいて30人規模の村であったらしい……。
村から見たマサオさん家族は多少問題がありつつも幸せな家庭に写っていました。マサオさんは気弱だが優しく村人からの頼みを断れず何かと頼まれる事が多かったが村人からは頼れる存在として認識されていた。奥さんは美人で人当たりも良く、娘はいつも近所に挨拶する出来た子だったと言う。
だがマサオさん家族には問題がいくつもあった……。
まず一つ目は息子である。息子は生まれた時から心に病を持って生まれてきた……。彼は成長しても同世代の子供達に出来る事が彼には出来なかったのだ。それもあってか、妻は息子を溺愛した。だが、息子は成長するに連れて残酷な面が出て来てしまったのだ……。
それは昆虫達を捕まえてはハサミで胴体を切り刻むのであった。その光景を見た村人は彼から自分達の子供を遠ざけた。
そして二つ目は妻による暴力である。標的はマサオさんと娘の二人。妻は外でのストレスと息子の世話で受けるストレスを二人にぶつけたのである。気弱なマサオさんは抵抗せずに暴力を受け入れる。そしてまだ幼い娘も抵抗出来るはずも無く妻からの暴力を受け入れるしか無かった……。
そんなある日の事である。夜に何やら物音が聞こえマサオさんは気になり様子を見た。
なんと息子が妻の指を笑いながら切断していたのだ……。
だがマサオさんは慌てる事無く息子からハサミを取り上げて、妻の口に突き刺したのだ。それは何度も何度も突き刺し、まるで今までの鬱憤を晴らすかの様に突き刺す。近所では気弱な主人という印象だがこの時のマサオさんの表情は顔に血を受けながらも笑っていた……。
そしてマサオさんは、そのハサミで隣で妻の指を食べていた息子の口にも突き立てのである。それも何度も何度もだ。マサオさんの表情は更に恍惚とした様子になり娘の寝室に行き口目掛けて何度も何度も突き立てたのだ……。
家族全員を殺したマサオさんは立ち上がり家を出て隣の家に行き家族達と同じ様に刺し続け殺し、次々と他の家に行き殺し回った……。
そして、マサオさんは村人全員を殺し最後に自分の口にハサミを突き刺し自殺した……。
舞台となった村は現在も廃村として存在するが、過去にその様な事件があったという事実は無い。
そしてここ最近【マサオさん】の都市伝説を聞いた若者の間で度胸試しが流行っている。それは舞台になった村に行きキャンプする事である。
キャンプの用意をしているとマサオと言う優しそうな中年が現れると言う。そして自分の家を寝床に提供してくれるが次の日に起きると若者の一人が口にハサミを突き立てられて死んでいるのが見つかったそうだ。
すぐに警察に連絡しようとするが連絡が繋がらず、村から出ようとするが村から出られず、そして次の日にはもう一人同じ状態で殺されるのが見つかる。どんどんと口にハサミを突き立てられて、最後には全員死体事消える。
そして事件は明るみに出ずに、マサオさんは次の獲物を村で待っている……。
ここまでが都市伝説【マサオさん】になります。
この都市伝説が真実か嘘かは分かりませんが私の友達の友達は実際にキャンプして戻って来なかったらしいです……。
皆さんも度胸試しの際は是非行ってみてはどうでしょう……。
※当サイトを見て実際に村に行き何かあっても当方は責任を負いません。各自の判断で実行して下さい。
「うぇー、なんだよこの都市伝説……」
オカは不気味な物を見た様な表情をし身体を震わせた。どうやら色々想像して寒気がしたらしい。
「すげー、嘘くさい話だけど気持ち悪いな……」
時計を見ると既に夜中だという事に気付く。どうやら相当集中して読み込んでいたらしい。
「久しぶりに時間も忘れて集中したな」
ここ最近は何をするにしても集中し切れない所があったがマサオさんの記事に関しては時間を忘れて集中出来たらしい。
「そろそろ寝るか……。あーぁ、こんな記事読まなければ良かったな、眠気が吹き飛んだ」
読む前までは寝ようと思えば寝れる状態だったがマサオさんの記事を読んだ事により目が冴えてしまった。
「けど、明日は大学行かないとだし無理やり寝るしか無いか」
オカは部屋の電気を消して目だけでも瞑ろうとベットの中に入ったのであった。
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