学園で唯一無二の魔法使い「一人の魔法使いが周りは剣士しかいないけど、成り上がっていく物語」

龍牙王鳳

第1話 入学


中学三年生の時に進学する高校を決める紙を渡された時に――。


安藤直樹あんどうなおき、話があるからちょっと来なさい」



「は、はい!」


俺は高校について悩んでいた時にちょうど先生から呼ばれたので、何事かと思いつつ着いて行った。着いて行ったところは進路相談室であった。


「なぜ、自分一人だけがこの進路相談室に?」


「一人で相談しに来るのは当たり前だろうが。まあいい。そこに座りなさい」


「は、はい……」


俺は言われた通りに、椅子に静かに腰掛ける。


「君に進学する高校について話がしたくてね……ここからは少し離れちゃうけれど、東京都内にある歳文字学園さいもんじがくえんから君へ推薦が来ていてね。どうだ?挑戦してみては。君にどんな才能があって、そんなところから推薦来たかはわからんけどな」



え、え、ぇえぇえええ!?!?たしかその歳文字学園って日本内最強のモンスターキラー候補が集う学園だよね??しかも剣士しか居ないと聞くし……。


俺は隠し通して来たけど、俺の家系は代々魔法を操る家系らしい。日本の中でも魔法を使う者は珍しく、時にはとも呼ばれる者もいるという。


「自分もなんで推薦されたのかわかりません……。ですが、推薦されたからには入学が確定したのと同じです。貴重だと思うので推薦に賛成します」


「そう言ってくれると助かるよ。では、紙に書いてくることだな」


「失礼しました」


俺は先生と一緒に進路相談室を出て、教室へ戻る。



「なっちゃ〜ん!先生に呼ばれるなんてなんかあったの?」


俺のところを愛想よくあだ名で呼ぶ者は一人しかいない。この学年一の可愛さを誇る超人気者。加藤薫かとうかおるだ。なぜ、彼女が俺にしょっちゅう話かけてくるのかはよくわからないのだが……。


俺は自分の席に戻り、隣の席の薫に答える。


「いや、進路に関しての相談だよ。なんか俺見たいなやつが推薦されたんだってさ。チョーラッキーだぜ」


「あんた成績不振なのによくもまあ、推薦貰えたわね。みんな〜!なっちゃんが推薦貰ったらしいよ〜」


薫が元気に笑いながらみんなに向かって大声で言うのでさすがに怒る。俺は陰キャ寄りの陽キャだから何言われるか分かったもんじゃない。


「ぶははは!なおきが推薦を貰えた??ま??まじかよ!!ありえね〜はっはっは」


クラス一の陽キャに最後は高笑いされる始末だ。だから言ってほしくなかったんだよなぁ……。


「おい!なに勝手に言いふらしてくれてんだ!このやろ!」


俺は薫に殴るふりをする。薫もキャッキャしながらそれを「やめてよ〜」って言いながら 手をばってんの形にして防ぐようにする。


それから6ヶ月経ち、卒業式の時。


「なっちゃん!元気にしてるんだよ??」


「わーってるよ」


「また会える時に!」


「ああ」


俺は薫と別れて家に帰る。そこで歳文字学園に入学する際に必要な荷物をキャリーケースに入れて15年間お世話になった自分の家に挨拶をして出ていく。


「かあさん、とうさん、俺、学園で1位になって早く卒業して守ってやるからな……」


と、俺は一言呟いて新幹線に乗るのであった。


「ここが東京……」



あまりの都会さに驚いてしまった。俺の住んでいた県は長野県である。長野は田舎であるから、中々こんな満員電車になることもないため呆気にとられていたのだった。


俺はついに入学の時を迎える。入学式までの春休み期間、都内の色んなところであそびほうけていた。


入学式――。学園にはやはり剣士しかいない。みんな腰に鞘を刺している。魔法使いが俺だけってどーなんだよ……。今年の歳文字学園に入学した生徒は約100名。田舎か!!と思うほどの少なさであった。その中でも魔法使いは俺だけである。一人でもいることを望んでいたのだが……。歳文字学園は47ヶ所の学園の中でも唯一無二の剣士しかいない学園。他のとこに行けばよかったと後悔してももう遅い。


しかも俺は魔法使いとしての質もそこそこ。ああ〜今すぐ帰りてー。


「――ええ、ですから、2年、3年の先輩方は新入生にきちんと質問されたら答えるように。新たな新入生を気持ちよく迎えましょう。全員、起立!礼!――。ん?君!そこの安藤直樹君!寝ていないで起立と礼をしっかりしなさい!」


「ん?え?」


俺はやってしまった……と顔を赤らめて慌てて起立、礼をした。入学式からやらかすとか何やってんだ俺……。


これが俺の歳文字学園の最初の黒歴史である。

「って!!黒歴史製造機じゃないぞ俺は!!」と、誰にも聞かれてないのに一人で呟いてしまった――。

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