謝罪2
恥ずかしいだけだから慣れれば。
というものでは無い
彼とはハグまでが限界だった
初めて手を繋いだのは付き合ってから約半年後
『繋いでいい?』と聞かれ
流石に断れない、と思い繋いだ
初めてハグをしたのは付き合って約1年後
カラオケで彼がトイレから戻ってきた時だった
どちらも、自分から行動に起こすならまだ大丈夫なのだが
相手からこられるとダメだった
好きなはずなのに気持ち悪くなってしまう
ごめんなさい、と思いつつ嘔吐感がやってくる
何度も彼に謝罪した
彼は、待つよ、と言ってくれた
優しかった
いっその事強引にやってくれ、と思うほどに
手を繋ぐときでさえ確認を取ってくれる
手はもう大丈夫だと言ったのだが
ビクッとされるから。
と毎回聞いてくれる
私には勿体ないほどに優しい
そして毎度怯えている自分が情けなく
気づかせてしまっている所も申し訳なかった
数回目のハグの時
カラオケで座っていて、寄ってきているのがわかった上で逃げてしまった
手がプルプルしてしまい氷のように冷たかった
御手洗から戻ってきた時には何事も無かったように彼は歌っていた
ごめんなさいごめんなさい
言えやしないその言葉を吐き出すかのように歌った
選曲は彼の好きなアーティストで
帰り道にも律儀に聞いて、手を繋いで帰った
相も変わらず手の冷たさは変わらなかった
冬で良かったと、つくづく感じた
冷たいね
と笑いかけた彼の笑顔が少し寂しそうだった
ごめんなさい
私ではあなたを喜ばせることは出来ない
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