禁断な甘い誘惑に囁かれて~私はこの人しか愛せない~

一ノ瀬 彩音

第1話 秋月美佐子

私事、秋月美佐子アキヅキミサコは年齢20歳で

有村邸でメイドというお仕事をしているのです。


メイドというお仕事は主に家の中でお仕事するのですけど、

家事全般やその他です。


最初はきつくてもう嫌だって思う所もありますけれど、

それでも私はせっかく雇ってもらっているので

頑張って続けているのです。


続ける事に意義があるので私は後悔もしてないし、

メイドというお仕事に誇りを持っているのです。


それに今ではメイドというお仕事は楽しくて仕方が

ないので問題ありません。


私がお仕事している時、有村邸で一人の女性を

見かけるのですが、とても華憐で素敵な女性です。


誰何だろうと見とれているとその女性は私の方に

歩いて来るのでした。


そして、華憐な女性は私に声をかけてくるのです。


「ごきげんよう」


「ごきげんよう」


「いつも本当にありがとうございます」


「いえっ、これが私のお仕事なので

気にしないで下さい」


本当に素敵な女性。


こういう女性とお付き合いしたら、きっと楽しいのかなって

思うのですけど、私にはきっと無理ですよね。


「貴方はお名前は?」


「秋月美佐子と申します」


「美佐子さんですか、良いお名前ですね」


「あ、ありがとうございます」


「申し遅れました、私は有村夢子アリムラユメコで年齢28歳、

有村家の令嬢でございますわ」


「令嬢なんですかっ!?」


「そこまで驚く事でもないでしょ」


「す、すいません」


「美佐子さんは歳はおいくつ?」


「20歳です」


「私より年下なのね」


「はい」


「20歳なのにきちんとしているなんて素晴らしいじゃない」


「そうでしょうか?」


「はい、そう思いますよ」


「何てお呼びすればいいでしょうか?」


「そうですね、夢子って呼んでくれると嬉しいですわ」


「呼び捨てなんて出来ません」


「でしたら夢子さんでお願い致します」


「はい」


「夢子さんは素敵な女性ですね」


「ふふっ、褒めても何もありませんよ」


「はい」


それにしても夢子さんが令嬢だなんて信じられないというか、

すごいというか、私にはマネ出来ない感じです。


令嬢というのにも無縁な感じがします。


本当に夢子さんと恋人としてお付き合いして愛し合いたい。


どうすればいいのかなって考えているけれど、何も

思い付かないので今は諦める事にします。


「ごめんなさいね、お仕事のお邪魔して」


「いえっ、夢子さんとお話出来る方が大切です」


「あらっ、嬉しい事を言ってくれるのね」


「はい」


「それではお仕事頑張ってね」


「はい」


夢子さんは私の傍から離れると歩いて何処かへと姿が

消えてしまうのでした。


私は引き続きお仕事しているのですが、赤い絨毯の上に

何かが落ちているのを発見します。


「これ何だろう? メモ用紙みたいだけど、何か書かれているのかな」


私は中身を見ようとしているのですが、やめる事にします。


きっと夢子さんの大事な物かもしれないので勝手に見るのは

良くありませんよね。


それにしても何て書いてあるのかが気になります。


それより早くお仕事を終わらせて、このメモ用紙を夢子さんに

届けましょう。


15分後、私はメイドとしてのお仕事が終わると私は夢子さんが

居るお部屋に向かいます。


夢子さんが居るお部屋の前に来たのはいいけれど、どうしようかなって

考えているのですが、しっかりとこのメモ用紙を渡さないといけないよね。


私は深呼吸してから落ち着いてドアをノックするとお部屋の中から足音が

聞こえてドアが開くのです。


そこには夢子さんが居て私に声をかけてくるのでした。


「どうしたの? 美佐子さん」


「えっとですね、これを渡そうと思って」


私は手に持っているメモ用紙を夢子さんに渡すのでした。


「あらっ、拾ってくれてたのですね」


「はい」


「お部屋の中を探してても見つからないので

どうしようって思っていた所なの」


「それは良かったです」


「届けてくれてありがとうございます」


「いえっ、これもお仕事なので」


「ふふっ、頑張り屋さんなのね」


「はいっ!」


「私はこれで失礼します」


私は夢子さんに渡す物を渡したので離れようとしていると、

夢子さんに呼び止められるのです。


「美佐子さんお待ちを」


私は立ち止まるとこう言います。


「どうしたのでしょうか?」


「一緒に紅茶でもいかがですか?」


「えっ、いいのでしょうか?」


「ええっ、一緒に紅茶を飲みましょう」


「はい」


これからあんな事が起こるなんて私にはわかりませんでした。


それにあんな言葉を囁かれては私は夢子さんの事を愛する

しかないと思う。


それは恋人として愛し合うって事です。

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