異世界に召喚されて聖女の話し相手になりました。
Hozumi
第1話
「はぁー今日も面白かったな『INO』」
俺がテレビの電源を消すと、部屋にはひとつの明かりもなくなる。暗い部屋のなか、ベッドに寝転びスマホをみると、友人からゲームの誘いがきていた。
「何時だと思ってんだよ…明日学校だぞ」
苦笑して「もう寝る」とだけ返事し、スマホを置く。
『INO』は今期注目の深夜アニメ。俗にいう異世界転生もので、今は二期を放送している。
アニメはいい。特に異世界転生ものは、近そうで絶対にありえないところがいい。
「異世界転生かぁ」
帰宅部。
スポーツはできなくはないという程度。
勉強は中の上。
特技と呼べるものはゲームくらい。
「俺なんかが異世界に行ったところで、村人Aになるくらいしかできないだろうな」
そして勇者に「武器や防具は装備しないと意味がないぞ」と言う人生を送るわけだ。なんてさみしいんだろう。
現実を生きなければ。
来年は受験。いい大学に入り、平穏に暮らす。そしてゲームに自由に課金できるだけの給料を確保する。それが俺の人生の目標。
普通がいちばん。
眠気はないが寝なければ明日に支障が出る。
俺は暗闇のなか目を閉じて睡魔を待つ。…はずだった。
「…?」
言い知れぬ違和感を感じる。
違和感?浮遊感?
次に瞼に光がさしてきた。
異変に気付いて目を開けると、明るい、でも優しい白い光がみえた。
「な…!?」
異常事態に焦る俺の耳に、ちいさい声が聞こえた。
「----、----…」
「?」
突如光が強くなり、俺は目を閉じた。
そして光が収まり、おそるおそる目を開けると、目の前に少女がみえた。
少女の美しさに、思わず思考が停止する。
「きてくれたのね!」
その少女が明るい声を出し、俺は我を取り戻した。
「嬉しい!嬉しいありがとう!」
笑顔でぴょんぴょんと跳ねる少女と、状況を飲み込めない俺。
「ここは…?」
「ここは『白の塔』。聖女が祈りを捧げるところ」
聞き慣れない言葉ばかりが並ぶ。
「聖女?祈り…?」
「そう!わたしが一応その聖女」
意味がわからないとしか言いようがない。
が、ひとつ仮説をたてられるとしたら。
「異世界、転生…!?」
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