一度生きるのをやめた俺の異世界生活

増田ユウキ

第1話 突然の死

12月24日高校1年の俺はいじめられている。物を隠されたり、殴られたり蹴られたり、金を取られたりされている。このいじめは高校に入学してから一週間が経ったときから始まって今に至る。


だが、今日はいつもと違った。

俺が校舎裏で三人のいじめグループから殴られたり、蹴られたりしていると一人の見たことのない金髪の女子生徒が止めに入った。

「やめなさい。あなた達」

いじめグループのリーダー格のやつは邪魔が入ってめんどくさいと思ったのか、「ち、しらけたわ」

と言い他二人を連れて去っていった。


「大丈夫?」

助けてくれた女子生徒は俺を心配してくれて手を差し伸べてくれた。

だが俺は心の中で「なぜ前から助けてくれなかったのか?」、「お前がもっと前に助けてくれてたら俺はこんないじめられていなかったのに」と思った。

そんなことを考えていたら助けてくれた女子生徒の顔を見たくなくなったので、俺は黙ってその場を離れて家に帰ることにした。


家に帰る道を歩いていたら、途中にあるケーキ屋さんから「今日はクリスマスイブ、みなさんはサンタさんにお願いはしたかな?」というアナウンスが聞こえた。

そのアナウンスを聞いてから数十秒後、道路を走っている車が大きなエンジン音を鳴らして猛スピードで走ってきた。

そしてその車は俺のいる方向に突っ込んできた。


俺はその車に撥ねられた。

俺は車に撥ねられて中に浮いている間いろいろなことを頭の中で考えた。

「死ぬのか俺」

「童貞のまま死んでいくのか」

「まぁどうせ生きてても意味ないしな」

この瞬間俺、佐藤和人は今の人生を生きることをやめた。

「そういえば今日クリスマスイブだったな」

「サンタがいるなら一つお願いしたいもんだ」

「次はもっと充実した人生を生きたいな」

こんなことを考えていたら俺の視界は真っ暗になり、思考が停止した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る