第126話
「――ここからが、本気の殺し合いだぁ」
武器を構え、武器越しに酔鬼の姿を見据えるハヤテ。そんなハヤテの視界内で、酔鬼が黒い影からその姿を現した。銃を両手で持っていた時とは違い、片手でだけに銃を持っていた。
だがその大きさは数段大きくなっており、酔鬼の姿は鬼と言うにはあまりにも……獣に似ていた。その姿を見たハヤテは、脳内で酔鬼を八方向から攻め出す気迫を殺気として放った。
「……っ」
「……」
だがその瞬間、ハヤテは目を見開いて距離を取った。何故なら、八方向から攻めた殺気の残像は、脳内イメージの中で妖力のみで吹き飛ばされてしまったのだ。
スポーツ選手が互いの力量を熟知している時のみ、動きを予想して未来予知にも近いイメージトレーニングが出来るとされている。その一瞬の間に見た未来は、ハヤテにとっては驚くべき物だった。
「――!(一歩も動かず、俺を対処出来るんスか?こいつはっ)」
「どうしたぁ?攻めて来ないのか?なら、俺から行くぜぇ」
酔鬼がそう言うと、ハヤテは身構えて酔鬼の気配と自分の守備範囲を拡大させる。警戒範囲を拡大させる事によって、意識下の範囲であれば対処出来る。そう考えての行動である。だが……
「――纏い、……
ハヤテ同様、酔鬼の体が白く輝き出す。その瞬間、ハヤテの視界から酔鬼の姿を見失った。すぐに気配を探ったハヤテだったが、目と気配だけでは追えない速度で酔鬼は移動を繰り返した。
やがてハヤテの懐に姿を現し、
「……
「ぐっ……がはっ!?」
添えられた掌から妖力を砲撃にしたような攻撃が、衝撃波となってハヤテの腹部で爆発する。ダメージを負いながら後方へ飛ばされたハヤテは、痛みに耐えながらも空中で体勢を立て直した。
腹部を押さえながら、ハヤテは奥歯を噛み締めて酔鬼を見据える。
「今のを耐えるかぁ。意外に頑丈な奴だなぁ、お前」
「はぁ、はぁ、はぁ……(頑丈?ふざけるなっスよ!今のだけで、骨が数本持って逝かれたっ。たった一撃でこれじゃ、まともな戦いが……)」
「んじゃ次は、もう少し手数を増やすか」
カチャリ、と片手に巨大な銃を持ち直す酔鬼。やがて目を細めた酔鬼は、ハヤテの目の前で何もフェイントも無しに構えて引き鉄に指を添えた。
「死にたくなければ避けろよぉ。一発で終わるのは、つまんねぇからよぉ」
「っ……!?(間に合わないっ)」
「――
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