03 負傷
あたしの背後で、援護するようにタバサが行動。
連続で光線銃(※タバサ説明)なるものを使うが……。
ザーフィスは本能で察知したのか、引き金を動かすよりも前にすばやくよけているらしい。
「ぜんぜんあたらないよー!」
タバサは苦戦していた。
そこを、フォローするように、敵の兵後へまわりこむクランとヒューズ。
兄弟だけあっていきぴったりだ。
「合わせます、兄さん」
「頼む!」
気合を入れてタイミングをあわせ、二人がきりかかる。
相手は左右から同時に挟まれる形になったが。
けど、ザーフィスはひょいひょいよけて、余裕で反撃した。
「くっ! 強い」
よけきれなかったヒューズの右腕が切り裂かれた。
「ヒューズ! 大丈夫か!?」
クランがあせる。
(お前が、身内に対してそんな風に喋ってるの見た事ないぞ。逆に、それだけきついってことか)
クランは焦りののあまり、ザーフィスから視線を外してしまっていた。
(おい、前見ろ前)
あたしは警告しながら、剣を握る手に力をこめる。
「油断するな! クラン!」
クランは接近してきたザーフィスにギリギリで対処。
あぶなっかしい!
「クラン、下がれ! そんなんじゃ剣筋がみえみえだ! あたしがやる!」
「駄目だ。君達を戦わせて僕だけが逃げるなんて」
「うっせぇ、足手まといだって言ってんだ、よっ」
ザーフィスの正面から、奴にきりかかる。
あっさりよけられてムカつく思いをしたが、それも織り込み済みだ。
近くで戦っていたクランを足で背後に蹴り飛ばした。
「お前はそこでじっとしてろ」
「アメリア!」
文句は後で言ってくれ。
ザーフィスから視線を逸らす余裕ないんでな。
「盗賊ぅぅぅ! おまえも強いだろ! 俺を楽しませてくれよぉぉぉ!」
「きもい喋り方して近くでわめくな、うるせーんだよ」
こいつ戦闘狂か。
めっちゃくちゃ笑顔で楽しんでるように見える。
あと、薬でもやってんじゃねーかってくらい、テンションが高いのがやばい。
ザーフィスは疲れを知らない様子でにやにや笑いながら、剣振りまわしてくる。
その筋はめちゃくちゃなのに、なんでか妙に死角をついてくる。
その才能別の方面にいかせないのだろうか。
こいつ昔から、根っからの戦闘狂だったんだろう。
関わりたくねぇやつに関わっちまった。
将来を見据えて長いおつきあいなんてしたくなかったから、気合を入れるけれど、相手の方が強かったらしい。
「くらぇぇぇ!」
「ぐあぁっ!」
渾身の一撃で、剣をとばされてしまった。
まずい。
死ぬかもしれない。
そう思った時、クランが割り込んだ。
ザーフィスの振るった剣がクランの腹にかざあなをあける。
ぱっと赤い血が舞った。
「ぐっ」
「クランさん!」
「兄さん!」
あたしは、仲間に一撃を見舞ってくれやがったそいつを睨みつける。
「クラン!! ザーフィス、テメェ!」
武器がないなら、こいつの武器を奪えばいい。
いや、だめだ。
いまクランの腹から、ひっこぬいたら失血死してしまうかもしれない。
そう思った時、窓から子供ドラゴンが飛び込んできた。
「きゅい!」
今回はそいつどころか、ドラゴンは一体もつれてきてないはずなのに。
ひょっとして、無断で飛び出してきたのか? 竜舎から?
背後にチャイの姿が見えた。
案内してくれたのか?
子供ドラゴンはザーフィスにかみついて、はげしくふりまわした。
ザーフィスは、暴れてるけど子供ドラゴンが離さない。
そして、城で待っているはずの一般兵もなだれ込んできた。
様子からして、脱走したドラゴンを追いかけてきたみたいだ。
不幸中の幸いってやつだな。
そいつらが、怪我をしていたザーフィスを追い詰めて拘束。
たっ、助かったのか。
それより「おい誰か、はやくこのあほ王子を手当してくれ!」クランの怪我が心配だ。
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