6月17日の赤ずきんちゃん
その日は、突然雨が降ってきました。
おつかいに出ていた赤ずきんちゃんは傘を持っていません。帰り道はどうしよう。そう思っていると、狼さんが現れました。
手には一本傘を持っています。
「今日はお昼から雨なんだよ」
狼さんは笑って言います。でも、赤ずきんちゃんはそんなこと知りません。
「知らなかったの…」
そう言うと、狼さんは赤ずきんちゃんの頭をよしよしします。
「かわいそうに。送って行ってあげるよ」
赤ずきんちゃんは嬉しくなってしまいました。
「お代は高いよ?」
「高いのはいや。でも送ってちょうだい、狼さん」
二人は一本の傘に仲良く入って歩きました。この狼さんは、口はいじわるな時もあるけど優しいわ。赤ずきんちゃんは思いました。
食べられちゃうのはまだ嫌、でもこの狼さんといつも一緒にいられたらいいのに。この帰り道がもっとずうっと、続けばいいのに。
その時でした。狼さんの手が赤ずきんちゃんの肩を抱きます。
「雨に濡れてしまうよ」
「うん」
くっついた狼さんの身体はとてもあたたかくて、赤ずきんちゃんは幸せな気持ちになったのでした。
雨は幸せを運んで来てくれたのかもしれません。
おしまい。
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