6月9日の赤ずきんちゃん

それは、雨の季節に入った6月9日のことです。


狼さんと赤ずきんちゃんが居ました。

狼さんは、赤ずきんちゃんを食べれませんでした。赤ずきんちゃんは、狼さんが怖いことを知らなかったので、狼さんに懐いてしまったのです。そんな赤ずきんちゃんをパクリなんて出来ない変わった狼さんなのでした。


今日も赤ずきんちゃんは、狼さんにもたれて寝てしまってます。実に美味しそうです。


パクリといっちゃおうかな?とうとう狼さんはそう決めました。

がばりと赤ずきんちゃんの上に被さり、あんぐり口を開いたその時!

なんと赤ずきんちゃんが目を覚ましたではありませんか!


焦った狼さんは、なぜかその場を取り繕おうとし、赤ずきんちゃんにちゅっと可愛くキスしました。

すると、赤ずきんちゃんが可愛く笑ったので、狼さんは食べなくて良かったと思ったのでした。



狼さんと赤ずきんちゃんが居ました。

狼さんは、赤ずきんちゃんを食べれませんでした。赤ずきんちゃんは、狼さんが本当は怖いことを知っていましたが、狼さんが大好きなので知らないフリをしていました。


今日も赤ずきんちゃんは、狼さんにもたれて目を閉じています。

狼さんは、赤ずきんちゃんがすっかり眠ってしまったと思っているようでしたが、実は寝てなんかいませんでした。赤ずきんちゃんは、そうやって狼さんの生きている音を聴いていたのです。


そのおかげで、赤ずきんちゃんは、狼さんが自分を食べるつもりだなと気がついたのでした。食べられては大変です!

狼さんの影が瞼の裏に浮かびます。赤ずきんちゃんは目をぱっちりと開きました。そこには、驚いた狼さんの顔。


食べられてしまうかしら?

そう赤ずきんちゃんが思った時、狼さんはなにを思ったのか赤ずきんちゃんにちゅっと可愛くキスしました。

まぁなんて可愛い食べ方でしょうか。赤ずきんちゃんは思わず笑ってしまいました。


狼さんは言いました、なに笑ってるの?

赤ずきんちゃんは応えました、なんでもないわ。



おしまい。



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