5月19日の赤ずきんちゃん
狼さんが居ました。
狼さんは3日前に、なんだかとても美味しそうな女の子に出会ったのでした。赤ずきんちゃんです。
パクリといったら柔らかそうだと思いました。でも、本当に美味しいかはまだわかりません。会ったばっかりだからです。
その日、狼さんは赤ずきんちゃんに遊ぼうよと声をかけたつもりでした。もちろん、美味しそうか確かめるためです。
ところが、待てど暮らせど赤ずきんちゃんはやって来ません。
どうしたんだろう、なにかあったのかな?それとも自分が狼だから怖くなって来ないのかな?
気になって仕方がありません。
どうしよう。狼さんはしばらく悩んだ後、とうとう赤ずきんちゃんに会いに行くことに決めたのでした。
赤ずきんちゃんが居ました。
その日、赤ずきんちゃんは狼さんが会いに来てくれたのでとても驚きました。どうしたんでしょう?
「今日、遊びに行こうって君に言ったと思うんだ」
そう狼さんは言いますが、赤ずきんちゃんは首を傾げるしかありません。なぜなら、今度遊ぼうという約束はしましたが、それが今日だなんて聞いてなかったのです。
「聞いていないわ」
赤ずきんちゃんがそう言うと、狼さんは少しがっかりした様子でそうだったかなとつぶやいています。
赤ずきんちゃんは思いました。この狼さんはとっても面白い狼さんだわ。また遊びたい。
そこで、赤ずきんちゃんはすぐに口を開きました。このチャンスを逃したら、次に遊べるちゃんとした約束はないのです。
「狼さん。今日どっか連れてってくれるの?」
「赤ずきんちゃんさえ良かったら」
狼さんは即答しました。その様子が、とても面白くて赤ずきんちゃんは笑いました。
「うん、遊びに行きたいな」
やっぱりこの狼さんは面白い狼さんです。赤ずきんちゃんは、なんだか嬉しくなりました。これからがとっても楽しみです。
「よろしくね、狼さん」
「こちらこそよろしく、赤ずきんちゃん」
おしまい。
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