異世界の魔王城からの手紙は突然に
加藤旭
第1話
「魔王様。」
配下の1人から話しかけられる。
「あぁ」
「本当によろしいのですか?」
「あぁ」
かしこまりました。それでは手紙を送りましょう。
魔王となり、この世界を支配していたが、疲れた。もう隠居しようと思う。
さて、現実世界から1人引き連れないといかん。できれば、不幸で不憫でどうしようもない環境にいるやつで心に光があるやつがいいんだが・・・。ま、こんな待遇のやつ滅多にいないから、すぐに見つかるか。
「ジノーケル。最後の命令だ。」
「はっ・・・。」
ジノーケルと呼ばれた魔族は身なりの良い背広をきている。品があり、有能な執事という感じだ。白髪混じりの髪とよく通る低い声が印象的だ。
「新しい魔王にその命、捧げよ。」
「・・・。」
ジノーケルは何も言わず、涙を瞳に浮かべる。ジノーケルは生まれた時から、差別され、迫害された。野営していたところを、偶然通りかかった魔王(この時はまだ魔族の青年だった。)
人族が世界を支配してから、自然は壊され、世界は混沌とした。魔族は住居を追われた、獣、魔族たちを匿い、教育し、配下におき、魔王城をたて、建国した。現魔王はとても偉大だ。
その人物に主従関係を超えた恩を感じている。
「はっはっは!なんだ野営か!いいなお前!俺と友達になってくれ!」
「・・・。」
初対面のセリフが私の脳裏に響く。間違いなく、彼の笑顔は私にとって希望の光だった。声も出なかった。
「必ず・・・。」
「余はしばらく天界に戻る。神々どもに挨拶しなくてはな。あちらの世界で・・・。ジノを待ってるさ。」
「お気をつけて・・・。」
ジノーケルは魔王のローブを脱がす。
魔王は光になり、その光は消えた。
「ルイド・・・。しばらく待っててくれ。」
ジノーケルは何もない魔王の間で呟いた。
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