小さき幼女の英雄譚─短編─
リゥル(毛玉)
プロローグ ─チュートリアル─
「──おいおい……。こんな奴が、何でチュートリアルに出てくるんだよ……」
物語の主人公トウカちゃんの、先程結成したばかりのパーティーメンバー、物知りのヌイ君から悲痛な叫びの声が上がりました。
彼が驚くのは当然です。まだ最初の町を出て
「とても……大きいね。でも大丈夫、ボクに任せて! この召喚士様から頂いた、伝説の武器を使えば!」
トウカちゃんは、背中に背負っていた伝説の装備を手に取りました。自分の背丈ほどある純白の武器を構え、相手の動きを警戒しています。
「こら、流石に無理だから! 急いで逃げるぞ、こんなの勝てるはずが──」
なんと言うことでしょう! ヌイ君の台詞が言い終わる間も無く、目の前の化け物はトウカちゃんめがけ、走り出したのです。
──トウカちゃん達に
トウカちゃんの身長を優に越える化け物は、彼女のすぐ手前まで来てしまったのです……。もう避けることは出来ません。
「避けれないし、やることは一つだよね?」
トウカちゃんは構えていた武器を、振り上げました。その姿を見たヌイ君は腰を抜かす程驚き、その場に座り込んでしました。
なんと、その一撃の威力は地面を抉り、目の前の化け物を木っ端微塵に粉砕し、肉片へと姿を変えたのです……。
「なっ……!」
「流石……伝説の武器だね。思ってた通り、すごい強いや!」
驚きの声をあげたヌイ君に向かって、血の雨の中トウカちゃんは指を二本立てました。そして得意気に「ムフー」っと声を上げポーズを取ったのです。
この物語はそんな一人の小さな少女が、仲間と共に英雄になる夢を叶える為、多くの困難に立ち向かう……そんなお話なのです──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます