魔女の子
ジャック
第1話「捨て子と魔女」
少年「この世は腐っている」
裏路地で呪いのように少年が呟く。
娼婦の母と悪徳商人の間に生まれた右腕のない少年。
人目を避け暮らしていたがそろそろ親から奪った金が尽きる。
少年「どうしようか・・・」
大通りの方を睨む。
少年「・・・お?」
紫色の髪のローブを着た女性、黄金に輝く髪飾りには大きな宝石が。
少年「アイツだ!」少年はの髪を出来るだけ下ろして目元を隠す。
裏路地を伝い先回りし走って路地から飛び出し女性とぶつかる。
少年「ごめん・・・」
すれ違いざまに財布を奪う、要するにスリだ。
女性「待て」
腕を掴まれ引き止められる。
少年「!!」
女性「私から財布を取るなんてねぇ、ぼうや」
少年「な!」
女性「来なさい」
そのまま腕を引かれ連れていかれた。
少年「離せ!離せよ!」
女性「黙りなさい」
もがきながらも引きずられ数十分後
女性「さぁ、着いたよ」
一軒の家の前に到着した。
少年「俺を連れて来てどうしようってんだよ」
女性「まあ、落ちつきなよ」
そう言って髪飾りを外す。
女性「この髪飾りはあげるよ、売るなり何なりしな」
少年「はぁ!?」
そう言われては財布を取ろうとした自分が惨めに思えてくる。
少年「いらねぇよ!」
差し出された手を髪飾りごとバシッと払う。
女性「失敗したか・・・」
女性が指をクイッと動かすと落ちていた髪飾りがふわりと浮く。
少年「な!!」
そして、ガシャン!
少年「うわ!」
首輪となって少年の首に取り付いたのだ。
少年「くそ、なんだよこれ!」
女性「今度は成功、これでぼうやは私のものさ」
妖しく微笑む女性。
少年「外しやがれ!」
女性「命令する、家に入れ」
少年「うあ!?」
少年の手足が勝手に動き家に入って行く。
少年「なんで逆らえないんだ!」
女性「それは魔女が作った呪具だからさ」
少年「呪具!?」
女性「それは呪具、言縛の首輪(げんばくのくびわ)だ」
命令されたことに逆らえなくなる呪いがかかった首輪である。
少年「お前・・・ナニモンだ?」
女性「首輪をつけたし隠す必要は無いか」
少しの沈黙。
ヴィア「私は魔女さ、紫の魔女ヴィア・バイスローズ」
少年「魔女だって!?」
この日、少年の運命が変わっていくことになる。
第一部「捨て子と魔女」終
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