異世界学校戦争〜おかしな世界でサバイバル〜

龍堂蓮

第1話おかしな世界

「今日の授業はここまでだ。次はこのページ勉強するから忘れずにな」


授業が終わり、生徒諸君らが雑談を始めた。

塀和名へいわな高校。ここではクラスだけでなく全校生徒全員が「仲が良い」とご近所でも評判のクラスだ。所詮は噂と思うかもしれないが、実際に本当のことである。ここの学校では、何故か1日に1回、2時間の全校交流がある。その時間で皆んな仲良くなったりするのだ。だから、休み時間でも先輩後輩がくっついて歩いていることが多い。


「大和、ここ教えてくれよ!」


授業が終わると、立花たちばな 悠人ゆうとが立ち上がり、俺に話しかけた。


「あぁ、ココか。ここは三平方の定理と円周角の定理を使って…って、これ中学校でも習った筈なんだけど」


「いや、もう忘れてたわ」


「よくこの学校受かったな」


この学校は結構レベル高かった筈なんだが……ま、こういう奴もたまには居るだろうか。努力家でいい奴ではあるんだが。

覚えが悪い。悠人のコンプレックスだ。「努力すればできる」この言葉を知っているだろうか。この言葉が本当なら、彼は今頃天才だろう。しかし、現実は違う。才能が無い為、努力でカバーはするが、結局はカバーしきれなくなる。百の努力など、一の才能にも届かないのだ。それでも頑張っているこいつを、俺は尊敬している。

一人でそんなことを考えていると、周囲が急にざわめき始める。


「どうしたんだ?」


「お前ら!そ…外を——外を見てみろ!」


慌てるその姿を見て、言われるままに俺たちは窓の外を見た。すると、そこに広がっていたのは———


「———砂漠!?」


一面に広がる砂漠は、俺たちの「いつも」とかけ離れていた。


「何が…」


そう言っていると、上空が歪んだ。


「馬鹿な…なんだあれは!?」


見えたのは漫画などで見るような、牛の顔をした悪魔のような怪物だった。


「諸君。君達は厳選なる抽選で選ばれた。これより、諸君らによる異世界学校戦争サバイバルを始めようではないか!」


急に訳の分からないことを言い出した牛を俺たちはツッコむことも出来ず、ただひたすらに眺めているしか出来なかった。


「おっと失礼。まだ自己紹介をしていなかったな。私は異世界学校戦争サバイバルのゲームマスターである「サイ」だ」


意味がわからない。突然連れてこられて、そしてサバイバル?意味がわからない!


「意味がわからないという顔をしているな。なら、今から起こる出来事を説明しようか。

まず、君達は大会の参加者に選ばれた。この大会は、で行う大会だ。ルールはトーナメント式。君達は一時間後、他の学校の者達と殺しあってもらう」


「は!?ふざけんな!ドッキリかなんかか!?早く俺たちを元に戻せ!」


うちの教室の生徒だ。郷田だったか…?それにしてもこの状態、ドッキリでは収まりきらないのでは…。


「ドッキリなどではないよ」


そう言って、サイはこちらに指を指した。刹那、郷田の首が弾け飛んだ。


「「「「いやあぁぁぁぁあ!」」」」


悲鳴が聞こえる。俺はというと、悲鳴すらも出さず、何が起こったかも分からなかった。


「彼は死んだ。ここは現実だ。夢などと言っていては彼のようになるだけだぞ」


俺達は何も言うことが出来なかった。何かいえば殺されると思ったから。

だから従うしかなかったのだ。これから始まる、異世界学校戦争サバイバルに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る