ぼっちですが可愛いは好きですし魔法は使えすぎるので楽しんでみました!

しろちゃ犬

ぼっちとギルドと

第1話

魔暦1290年。四大帝国の『マリーゴールド』、『マグノリア』、『ローズ』、『ロベリア』が繁栄し人々は魔物の驚異に対抗した。

しかし、四大帝国だけでは全ての人を守護するのは到底不可能。よって四大帝国は人間と獣人を主に守り他種族はほぼ見捨てた。

そんな人間がトップに君臨する中、唯一少数で魔物を討伐する集落があった。

誰も寄り付かない、龍の巣を超え黄金の羽を持つ鳥の巣を超え山を三つほど超えた場所。辺境の地『アーデンバン』。そこには幻魔種げんましゅと呼ばれる魔法に秀でた最強種がいた。幻魔種は魔法以外は雑魚でしかないが魔法は龍をも退ける。

そんな辺境の地アーデンバンからはるばる旅をしマグノリアに行き着いた一人の少女、アズサがいた。


〜十年前〜


「おとーさん、どこ行くの?」

「ん?おとーさんは黒龍を倒しに行くんだよ」

「いつ帰ってくるの?」

「うーん。一ヶ月くらいかな。いい子にしてるんだぞ、アズサ」


それから父はアズサの元に帰っては来なかった。

アズサが住んでいた村は炎龍と黒龍によって塵すら残らず消された。

アズサは母のサクラと共に村を逃げた。生き残った村人はアズサを含めて12人。村には百人もいたのに。


「おかーさん、おとーさんは?」

「アズサ、おとーさんは帰ってくるわ。だって黒龍より遥かに強い紅龍を単独で倒したんですもの」


母サクラの目は涙で溢れていた。


「おかーさん?」


アズサが聞いても返事は帰ってこない。ただただひたすらに走る。幸い龍は追ってきていなかった。


「りゅう・・・・・・銀色の」


アズサは母サクラに抱えられていた。そして村の方向には白銀の翼を4枚もった龍がいた。


♦□♦□♦□♦□♦□♦□♦


「お母さん!行ってくるね!」

「気おつけてね!アズサ!」

「うん!」


今日は旅立ちの日。アズサは十五歳になった。幻魔種は十五歳になると旅に出る者と村を守る者に別れる。

アズサは大きなカバンを肩にかけ、護身用の短剣を持ち歩き始めた。

風が吹き透き通るような白い髪が揺れる。


「まずは亜人の国テンペスト!」


テンペストは数少ない亜人が治める国。人間も獣人も亜人も差別なく接している心の広い国。なかでも幻魔種には特に親切で幻魔種は始まりの地にテンペストを選ぶことが多い。


アズサは歩き続けた。夜になる前にテンペストにつかなければ魔物に食い殺されてしまう。

昼間も魔物はいる。だが余程のことがなければ襲っては来ない。


アズサは何事もなく歩き続けた。

歩き始めて四時間、テンペストの入口に着いた。

巨大な門で身分などを確認する。


「はい、種族は何ですか?」


見た目的に獣人の少女が言った。でもよく見ると耳は長くフサフサなしっぽをしている。目は青色だ。

目が青いのは亜人の狐種の証拠。アズサの目は幻魔種で稀にいる紫色だ。


「幻魔種です」

「幻魔種ですか!?別室へ」


何故だと言う顔をして別室へ連れていかれた。

狐種の受付嬢と別室へ入ると狐種の目が急に変わった。そう、キラキラとした目に。

あまりに輝かしい目にアズサは少し引いた。


「えーと・・・・・・」

「アズサです」

「アズサさん!ハンターになるんですか?」


前のめりになりながらも聞いてくる狐種。

アズサはこの子の名前がわからないのは不便だと思った。


「その前に名前は?」


ハッと狐種は我に返り顔を真っ赤に染め上げて言った。


「・・・・・・ネム・・・・・・です」

「ネムちゃん・・・・・・よろしくね!それでハンターになるかだっけ?私はなるわよ」

「な、なら!私をパーティーに入れてくれませんか!」


唐突な発言。少しだけアズサは驚いた。


「いいよ」

「うぅー、やった!」


全身で喜びを表したネムはとても可愛らしくアズサはなんだか微笑ましくなった。白髪の二人がここに集まった。

アズサは身分証を発行しネムがアルバイトだということを知った。

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