かわばたさんのおもちゃ
つい先日3才のお子さんと話す機会がありました。表情も豊かでよく遊びよく喋り、なのに話し方も動きもつたなくてかわいい。話しかけるといっぱい考えてるんだろうな、という顔になりたっぷりと間を開けてから返事をしてくれて、その一生懸命な姿がかわいい。積み木を積むのに慎重にゆっくりとするのだけど、うっかりてを当ててしまい崩れて悲しそうな顔をするのがかわいい。退屈になったのかお母さんの足に顔を埋めて歌い出すのがかわいい。
もうなにをしてもかわいくて、お母さんとお話するどころじゃなかった。このかわいい姿をずっと見ていたい。
することもなくなり、ボーッとし始めると突然歌を歌い始めました。普段保育園へ通っていると言っていたのでそこで習ったのでしょう。
いーとーまきまき いーとーまきまき ひーて ひーて とんとんとん
でーきた できた かわばたさんの おもちゃ
え?ってなりますよね?
かわばたさんのおもちゃ?
なんて歌ったの?と聞くともう一度歌ってくれましたが、やっぱり最後がかわばたさんのおもちゃと聞こえます。もう一回、とねだると怒ってしまいもう歌ってくれなくなっちゃいました。そんな姿もかわいい。
お母さんを見ると口許を押さえて笑ってます。いや、教えてくださいよ。
そうするとお母さんからもう一度歌って、とお子さんに言ってくださり、渋々といった感じでもう一度歌ってくれました。が、やっぱりかわばたさんのおもちゃとしか聞こえません。
はるか数十年前に歌ったであろう記憶を引っ張り出そうにも出て気ません。
歌の雰囲気から想像しようにも、かわばたさんの存在が大きすぎて、かわばたさんしか出て気ません。
かわばたさん、あなたはいったい何者でしょうか。
おもちゃ屋さんなのかおもちゃブランドなのか。はてさておもちゃ工場なのかおもちゃ職人か。
それともかわばたさんという名前の人形なのか。
糸を巻いて、もしくは使って作るおもちゃか?
考え込んでいるとお母さんが、こびとさんのお靴ですよ、と教えてくださいました。
え、全然違う。それはお子さんも怒るはずです。だれですか、かわばたさん。
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