第26話 ラブコメの神様がいるのだとしたら問いたい……花火大会って無条件で好感度あがるんじゃないの?と4
「ねね! せっかく男女三人ずついるんだし、二人一組のペアを作ってそれぞれ別行動しない? そしたらより親睦も深められると思うし!」
すごい名案だと思わない?とでも言いたげに手をパンッと叩く小南。
「しねーよ! てか意味わかんねーよ!」
「ごめん美波、私も練馬君と同じ意見」
間を置かずして練馬と小野町さんの反対する声が小南に浴びせられる。当然だ、理由を知らない二人からしたら水を差すような提案なのだから。
「ほら、いずれ大人になったらこういう合コンちっくな展開? を経験するだろうし、予習てきな!」
小南、それはさすがに…………。
「いや合コンちっくな展開に繋げようとしてるのは美波だけだから、俺達は別に合コンだと思ってないから。そもそも別行動したら親睦を深めるのも限定的になるだろ」
「練馬君の言う通りだよ美波。みんな一緒の方がいい」
小南の
真意が伝えられない以上こうなってしまうのは自明の理……違うな、それだと
「ん~~…………あッ! じゃあ多数決で決めようよ! それなら後腐れなく済むでしょ?」
避けては通れないことを小南自身もわかっていたからこそ俺達に協力を仰いだ。
「はぁ…………それで気が済むなら好きにしてくれ。結果は目に見えてるけどな」
「言ったね? 男に二言はなしだからね! 決まった後に文句言っても受け付けないからね!」
「はいはい」
「返事がテキトーな気がするけど……まあいいや。そ、れ、じゃ、あ、ペア決めして別行動するに賛成の人は手を挙げて!」
そして俺達は協力要請に応じた。行く手を塞ぐバリケードの破壊を約束した。よってすべきことは決まっている。
「…………は?」
挙手する俺と吉田を見て力ない声を漏らす練馬。小南に賛成する者など誰もいないと確信していたからこその反応。
「…………冬華ちゃん」
同じ現象は女子達にも起きていた。手を挙げている新薗に説明を求めるような視線を投げる小野町さん。しかし新薗は答えてはくれない。
「はい決まり! では肝心のペア決め方法を発表します!」
一方、上機嫌な小南は自前の
「方法は――ずばり〝これ〟を使ったくじ引きでーす!」
その〝道具〟とは人数分用意された〝割りばし〟だ。
「1、2、3の番号が振られた割りばしがぞれぞれ二本ずつ、計六本あります! これを順番に引いていって、同じ番号になった人とペアになってもらいます!」
小南の説明は表向きなだけ、当たり前だが細工はされてある。
というのもあの割りばしには一つずつに小南しかわからない目印が
それを先に練馬と小野町さんに引かせ番号を把握さえすれば、後は小南と練馬が、俺と小野町さんがペアになるよう行き渡る番号を調整するだけでいい。
合図は小南のまばたきの回数、一回で駄目、二回で引け、だ。このことは協力者に事前に知らされている。
これこそが小南の考えた小細工なわけだが…どうしても不安が拭えきれない。
まず〝道具〟についてたが、なぜ小南が持参してきたという疑問が生まれる。まるでこうなると予期していたかのような都合の良さ……いや都合の良いなんてレベルじゃない、都合が良すぎるのだ。都合が良すぎるということはそこになんらかの思惑が反映されているから。そう考えてしまえば最初の出会いすらも偶然ではなく必然だったと繋がり、全てが計画されたものと行き着いてしまう……その恐れがあるのが〝道具〟の不安だ。
そしてもう一つは〝方法〟についての不安。協力者からしたらくじ引きを順番で行うのは必要不可欠であると理解している。が、練馬と小野町さんは違う。『どうして効率の悪い方法を?』きっとこう思うはずだ。順番より
それら二つが開示されたまさに今が
ここを切り抜けさえすれば安心なわけだが、小南を信じて大丈夫なのだろうか……。
俺の心配を余所に、小南は手に持つ割りばしの束を練馬の前に差し出す。不安?なにそれおいしいの?と、
「――はい! まずはがっくんから!」
「…………2だな」
「お次は紡希!」
「………………」
「紡希は3だね!」
小南が追い込まれたら
……………………。
考えがわからない以上、
その後、新薗と吉田が互いに1を引き一組のペアが出来上がった。
「――最後は花川!」
俺は目の前に出された二本の内、一つに手を伸ばし小南の目を見て確認する。
まばたきは一回……ってことはこっちか。
消去法で残った一本を俺は引いた。番号は3……これで小南の望みは
「えへへ~、がっくんとペアだ~」
さっきまで進行役を務めていたのが嘘のように、甘えた声で練馬にすり寄る小南。
「そうだな」
対して練馬は張りの弱い声音で力ない笑みを浮かべた。
…………っと、今は自分のことを考えなければな。なんせここからは小野町さんと二人きりの時間なんだから。
「……〝この人〟とだけは絶対に嫌。だから、もう一度やり直してくれない?」
しかし、そんな時間の訪れを小野町さんは許してくれなかった。彼女は
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