ダームガルス戦記
あじさい
プロローグ
0-1
私が敬愛した英雄たちの時代は終わってしまった。
私がここに記し語ろうとしていることは、今となっては昔のことだが、我が王国とダームガルス帝国との戦争のことであり、また、主としてジョン・マイクロフトとニコラス・ハーディングに関わることだ。
ご存知のように、マイクロフトは我が王国の版図拡大の立役者といっても過言ではない智将であり、その腹心の部下ニコラス・ハーディングは賤しい生まれでありながら当代最強と謳われた戦士である。
あらかじめ断っておかねばならないが、私はどう考えても主役というより狂言回しという立ち位置だった。
私は剣豪でも智将でもスパイでも政治家でも聖職者でもなかった。
そんな私がわざわざここにこんなものを記す理由は、他に書く者がいなかったからにほかならない。
読者諸賢の失望した顔が目に見えるようだが、このことは私にとっても残念である。
読者諸賢が私のような者に興味がないのは分かる。
だが、私は私の視点からしか語ることができない。だから、まずは私の生い立ちの話から始めさせてもらいたい。
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