20話 人類の反撃
『宇宙ステーション・アントン・宇宙港』
宇宙船のすぐ外で、銃撃戦の激しい音の後、爆発音が響いた。
「急げ!」
2機のアンドロイドが、窓の外から操縦席の沙羅に向かって叫んだ。
その怒声が沙羅を混乱に落とし入れた。
それは沙羅に、自らの臆病さを自覚させた。
もう!そんな事言ったって・・・
焦る沙羅の隣で知佳が、まるで野次馬の様に驚き、
「あれ爆発かな?!花火みたい、キャハ」
キャハじゃねーよ!
この子にとって他人事なの?
さらに、宇宙ステーションの中で何かが爆発し格納庫が揺れ、さらに沙羅を混乱させた。
錬は無表情のまま、サラの隣の副操縦席に座り、副操縦桿を握った。
「こんなのゲーム機と変わらないよ。違法なやつだけど。」
錬は、宇宙船のいくつかのスイッチを入れた。
「これが反重力制御装置で♪」
と呟くと、まるで新しいゲーム機を与えられた子の様に目を輝かせた。
錬が、ゲームが得意なのは知ってるけど、
「動かせるの?」
沙羅の問いに
「僕を誰だと思ってるの?
違法なゲーム廃人たちは僕の事を【駄目元の錬】と呼んだ!」
と自信に満ちた目で沙羅を見返した。
何、その不安な通り名は?
宇宙船の外では、レッドイーグル隊の頭部記憶装置が吹き飛ぶのが見えた。
アントンの警備兵が、動き始めた宇宙船を制止しようと、宇宙船に取付こうとしていた。
その寸前に、宇宙船の反重力エンジンは作動しゆっくりと浮いた。
「違法ゲームにあった奴と同じだ。さすが違法!」
錬は言うと機首をコンテナ搬入口に向け、近づいてきたアンドロイド警備兵に機銃を加えた。
突然動き出した宇宙船に驚くアンドロイド警備兵は、あっという間に砕け散った。
「雑魚は消えろ!」
錬は完全にゲーム脳状態だった。
錬は、アントンのアンドロイド警備兵を始末すると、得意げに沙羅を見た。
「これが駄目元の錬の力だよ!」
錬は宇宙船を、反転させ宇宙ステーション・アントンの宇宙港から脱出した。
宇宙船は、静かな宇宙空間を行く当ても無く飛んだ。
沙羅は、まるでゲームをするかのように、
宇宙船を操りアンドロイド警備兵を粉々の砕いた錬に、微かな不安を感じた。
つづく
【人類たち】
沙羅(サラ)14歳
錬(レン) 13歳
知佳(チカ)12歳
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