15話 前者か後者か?アンドロイドは問う

『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル』



「我々は補給とメンテナンス終了後、すぐにでも宇宙に出て人類に接触したい」

ソフィーは幹部達に要求を告げた。


専務理事タムラは、薄ら笑ったままソフィーを見据え、自分が立場が上で在ることを

示しつつ、

「それは、前者か後者かと言ったら後者だな」

と。


>???

>この場合、何が前者で何が後者なのか?


その場に居るアンドロイドたちは、専務理事のタムラ以外、思考回路の奥で思考した。


その答えが出る前に、専務理事のタムラは、言葉を続けた。


「アローン兵とは言え、今は我々企業団配下の民兵に過ぎん。勝手な事をされてもらっては困る」


>思考エラーか?

>さっきのは、なかった事にする気か?


その場のアンドロイドたちは、そう結論付けた。

少しの静寂の後、デューカは言葉を発した。


「俺たちは、あんたらの配下になった憶えは無い」

「まあ、待て」


コーリー博士は宥(なだめ)、

「今宇宙に上がっても人類を乗せた宇宙船は、評議会の手中にある」


ソフィーは表情を曇らせた。

それはとても人類臭く、人類の母親が子供を心配するかの表情に見えた。


「どう言う事?」

「人類を乗せた宇宙船は、今、評議会管理下の宇宙ステーション・アントンに収容されている。今、行っても接触は不可能だ」


ソフィーとデューカは目を合わせた。


「まあその件は心配するな。私に通じる者がすでに人類奪回のために動き始めているはずだ」

「私に通じる者?」


公社の幹部も「?」としていた。


「おい、一体お前は、どこまで通じてんだ?内務省から反乱分子まで・・・」

デューカは呆れた。



『宇宙ステーション・アントン港内・人類を乗せた宇宙船』


沙羅はとうもろこしをあきらめない錬をホールドで固めたまま、宇宙船の窓から、騒がしくなった宇宙港内を見渡した。


宇宙船を警備していたレッドイーグル隊が、慌しく駆けて行くのが見えた。


沙羅の腕の中で錬の

「・・・苦じい・・・」

と声がした。レオタード姿の知佳は、錬の頭に足を乗せ


「そう人は生きているからこそ、苦しむのだ。

さあ人よ、苦しみて生を実感するのだ!」


と芝居じみた言葉を言うと、足をくるりと回した。

沙羅はその動きを目で追った。

知佳の足が描く弧は、とても理知的に見え、その弧が自分たち人類の生き残りを導いてくれるような気がした。



つづく




いつも読んで頂き、ありがとうございます。

毎週、土曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!


登場アンドロイド

反乱軍・サイン・コサイン・タンジェント 


★ソフィー 反乱軍サインを引きるリーダー

★デューカ ソフィーの相方 無難な機関銃手


★コーリー博士 反乱の首謀者

★銀次     自称・コーリーの忠臣  


★アレム神父  反乱のきっかけを演説をした神父

★専務理事のタムラ 薄ら笑う公社幹部 公社の頭脳と自他ともに認められている。


【人類たち】


★沙羅(サラ)14歳

★錬 (レン)13歳

★知佳(チカ)12歳

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