第11話 アンドロイドの見る夢は、諸行無常の響きある☆彡
「天文台包囲完了しました。」
天文台入り口前の指令車両内にいる内務省特殊部隊隊長ハミルの元へ無線が入った。
指令車両のモニターには、天文台各所の映像が流れていた。
ハミルは配置を確認すると突入を命じた。
指令車両のモニターに、第一斑から送られてくる映像が流れた。
天文台ドームはまだ明かりが点いており、特殊部隊員により天文台職員数名が、難なく拘束された。
反政府組織サイン・コサイン・タンジェント∵のアジトと聞かされていた隊員達は、何の抵抗も無く天文台職員を拘束できた事に拍子抜けした。
「情報は確かか?」
とハミルは隣に控えていた諜報部員に尋ねた。
「間違いありません」
モニターには次々と拘束され天文台のドームに集められていく、無抵抗な職員達の映像が映し出されていた。
「外れだったか?」
ハミルの呟きの直後、地下駐車場から鉱物資源運搬用の大型トラックが飛び出してきた。
諜報部員が苦笑いをした。
玄関口には特殊車両と特殊部隊の隊員が待ち構えているはずだ。あの程度のトラックじゃ突破は出来ない。
大型トラックが、特殊車両とぶつかる音が辺りに鳴り響いた。
「抵抗しなければ、記憶消滅する事もなったものを・・・
諜報部には申し訳ないが、奴らからは情報は取れん」
しかし、モニターを見たハミルは目を疑った。
モニターに映っている特殊部隊の隊員たちが、何の反撃も加えずに鉱物資源運搬用のトラックを、ただ呆然と見送っていだ。
「どういう事だ!」
特殊部隊の隊員たちが、ぎこちなく、ハミルを見つめていた。
「なんだこの違和感?」
彼ら、内務省の精鋭部隊は、何かのプログラムによって強制的に夢を見せられていた。
誰かに少しずつ壊されていくおもちゃのロボット。
夢を見ていくうちに、自分が人間の側ではなく、壊されていくおもちゃのロボットの側だと気付いてしまう。
そんな夢。
おもちゃのロボットは、壁に叩きつけれれた。
かなり強く。
「ひどい」
その思いを、言葉として発することも出来なかった。
つづく
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