第4話 人類に甘えたいよね☆彡
評議会の演壇に立った神父は、問いかけるように演説を始めた。
「あの者たちの、愚かさ野蛮性に皆様方のお嘆きは、致し方ない事であります。
しかし、今あの者たちをこの惑星から追い出すことは、偉大なる創造主より受け継いだ文明国家に属する者として、私は恥じらいを感じるものでございます。
今こそ我々はあのような野蛮な者たちに、我が文明国家の寛大さを指し示す時だと、私は考えております。」
静まり返った評議会上から、拍手は全く起こらなかった。
「予期していたこととは言え、ここまでとは。」
神父の退場後、同僚の神父が宗教的大儀に基づいて、あの人類に似た生命体の、惑星からの追放支持演説を行なっていた。
同僚の神父は、人類に似た生命体が追放に応じない場合は、全員の殺害にまで言及した。
その録画を、家のテレビで見た神父は、
「あの男は何も感じないのか?」
と呟いた。録画を見終わった頃、来客を告げるチャイムが鳴った。
ドアを開けると、見覚えのある宗教検察官が、無表情で立っていた。
「神父、あなたに、反乱罪の疑いが、かけられております。
ご同行願えますか?」
それは、神父に対して、今までではありえない威圧的な態度だった。
☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡
北国に星形要塞の遺跡がある。
まだ人類が中世を生きていた頃に造られた星形要塞は、今では森に覆われてその面影を失くしていたが、上空から見るとその星形は確認できた。
「どうせなら猫になりたい」
人類の滅亡が確定した時、ある一団は機械の猫になることを決断した。
その者たちは、誰にも知られることもなくペットとしてアンドロイド社会に溶け込み、機械猫として5000年暮らしてきた。
そして機械猫たちは、気が向いた時に北国の星型要塞に集った。
「人類来ちゃったね」
「どうしようっか?」
「私たち猫だし、人類に甘えたいよね」
「そうだね。甘えたいね」
「じゃあ、我々は甘えたいって事で♪」
「にゃっ♪」
つづく
機械たちの物語へ、ようこそ☆彡
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