第1話 メンバーがひどい、泣きたい
さて、異世界に放り込まれた私です。
「……メンバーがひどいんですが、泣きたい」
私と共に異世界転生させられた神がひどすぎて、さっそく泣きたいです。
あの多神教の神様は、どうやら人を見る目がないようです。いや、実力だけならば折り紙付きの連中ですが……。
「ふむ、この世界の人間はどうやら詐欺に対する警戒心が低いな……鴨だ」
北欧神話のトリックスターであるロキ。
「戦♪ 戦♪ 楽しい戦ですー♪」
エジプト神話の戦神であるセト。
「女が美人だったらいいなー、美人じゃなくてもすぐに孕む人がいいなー♪」
そして、ギリシア神話の最高神であるゼウス。
碌な奴らがいない……。
「ツクヨミよ、この世界は鴨だらけだ。とりあえず詐欺らないか? 我々がお前の国で流行った『オレオレ詐欺』を行えばきっと巨万の富を作り上げれるぞ」
「ロキ、頼むから黙ってください。流石に無辜の民から詐欺るのはどうかと思うんです」
この腐れトリックスターは……もっとその頭脳をいいことに使いなさい……。
「えー、詐欺って楽しいぞ? 他人から奪った富で飲む酒は美味い。そして他人の不幸で滅ぶ世界は美しい。そう、バルドルのように!」
ヤバイ……以前姉にオーディンが愚痴ってたのがわかります。
ろくでなしだ。
「ふん、我が知能にげんなりするのか。いいだろう、この知能によって巨万の富を作れば楽なのにな……これだから常識人は」
常識人がいないと世界は回らないだろうですに……。
「この世界の軍事力は非常に低いですー♪ ちょっと武器の工夫を行えばすぐに効果的に戦えるですー♪ 鏃に返しが付いていないとは、手ぬるいですー♪」
そして楽しそうにセトの奴は物騒なことを言ってます……。
ツチブタの華から蒸気が漏れています……いや、転生……この場合は転移、といえばいいのでしょうか? カク●ムやな●うなどで見た小説に書いてあった定義からするとどうなのだろうか、非常に疑問です。その転生先が生ぬるいから喜ぶ神にはなりたくないですね……。
「フヒヒ、エルフとかドワーフとか女が選び放題グフフフフフフ」
そしてこの脳みそ下半身は……。
「おい、ツクヨミ。この世界ヤバイぞ、女の種類が多い。しかも割とレベルが高い。ちょっと雨になってこの世界の女全部孕ませていい?」
「草薙剣スラッシュ!」
「げっふーっ!」
この公然わいせつ主神はとりあえず簀巻きにしておきましょう。
うん……ひどいです。
頭が痛い。
泣きたい……
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます