第3話:小魚、覚える
解放されたスキルの名前
『Hoch springen』
ホッチスプリンゲン?
分からん、全く意味が分からんぞ。
このスキルには残念なことにスキルの説明が全く書かれていない。
実際に取得して試さないと効果が分からないとはなんて嫌なスキルだ。
しかし、他に取れるスキルもないうえにスキルポイントはだだあまりの状態だ。
悲しいことに、ポイントを1つ無駄にしたからと言って全く影響はない。『Hoch springen』を獲得することにした。
「さて、どんなスキルかなぁ」
今まで空白だったスキル欄に文字がかかれていることに内心感動を覚えたが、正体不明のこのスキルをどうすべきか。
とりあえずスキル欄の中にある『Hoch springen』をタッチしてみると、スキルを獲得したおかげか詳細が表示される。
そこには信じられない言葉が記載されていた
『Hoch springen』
詳細:高く、跳ねる。
「おいおいおいおい。待てって。それは待てって」
なんて運営だ。信じられねぇ。
ここまで跳ねるしかしてないのに、ウッキウキで取ったスキルがまた跳ねる……だと。
いや、しかし分からんぞ。
もしかしたら文言に記載されていないだけで強いスキルなのかもしれん。
一度スキルを試してみようじゃないか。
ホッチなんちゃらを発動させ
水面に向かって進む。
俺の身体が水面に近づくに連れ、次第に発光していく。
来たわ。これは来た。
説明文でいじわるされたけど絶対に強いスキルだ。
そうじゃなきゃこんなオーラを纏うようなことはないはず……だっ!!
「いけぇぇぇえええ!!!」
心を躍らせ、俺は水面から飛び出す。
赤く光った力は伊達じゃなく、俺は今までの5倍近い、1メートル近くまで飛んだのだ。
しかし、それで終わりだった。
頂点まで登った俺の体身体はゆっくりと水面に吸い込まれていく。
「ちっくしょぉぉぉ!!!」
ぼちゃん。
今までよりも多少大きな水の波紋を作り出しただけで、俺の身体は水の中に入ることになった。
赤く光っていた身体は光ることをやめ、今まで通りになってる。つまり、さっきのスキルは本当にただ高く跳ねるだけで終わったのだ。
-大空中ピチピチにより経験値381獲得-
えぇ……。相変わらず経験値取得最高率は跳ねるらしい。
同レベルのモンスターを倒すよりも跳ねるだけで経験値がもらえるとはどういうことかと言いたくなるが、そんな好条件なのにスキルもステータスもカスなのが悲しいことだ。
俺はまた跳ねるしかないらしい。
しかし、どこかのタイミングでこの状況も変わるはずだ。
俺はそれを信じて頑張るぞ。
ちなみに、あとで『Hoch springen』について調べたらドイツ語で高く跳ねるだった。
英語で読めないスペルだと思ったのに、ドイツ語でひっかけてくるなんてなんて汚いんだ。
「二度と引っかかって成るものか」
今度から絶対にスキル詐欺には引っかからない。
まだ新しく解放されたスキルはないが、これから先は読めないスペルがあったら絶対に調べてやる。
胸に誓い、俺は跳ねた。
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