世の中の珍兵器まとめ(改)

艦本式

(第一回)フリゲート艦【ラジャ・フマボン】

【珍兵器では無いが、艦歴が珍兵器分類】


さて、第一回目という事で少し雑談でもさせていただきますね。

この【世の中の珍兵器まとめ(改)】に付く(改)は初代が公開停止を食らったからです。

そこで、再編に加筆修正などをして約1年の時を経て再び【世の中の珍兵器まとめ】は日の目を見る事になりました。

更新は遅いと思われますが、それでもお楽しみ頂けたら幸いです。




ラジャ・フマボンとはフィリピン海軍旗艦を務めたアメリカ製駆逐艦で、元々はアメリカ軍により開発された キャノン級駆逐艦であり、1943年製なのです。


何が珍兵器なのかって?



こいつは1943年に建造されてから2018年まで現役でした(なお、途中で1度退役してます)

それもアメリカ海軍から日本の海上自衛隊、フィリピン海軍と転々し、1度は退役したものの再び就役してます。

結局艦歴としては60年近く現役で、艦齢は75年近くになり、2018年3月15日に遂に退役しました。

それではこのアメリカ海軍のキャノン級駆逐艦として生まれた所から見ていきましょうか。




【キャノン級駆逐艦 アザートン】

まず、キャノン級駆逐艦とは正確に言えばキャノン級護衛駆逐艦という、商船を敵潜水艦などから守る事を主な目的とした小型の駆逐艦です(アメリカ海軍は護衛駆逐艦のカテゴリだけで約2年掛けて約450隻の建造予定でした)

キャノン級駆逐艦は80隻が建造予定でしたが、8隻は途中でキャンセルされてます。なので実際に建造されたのは72隻です(ちなみに旧日本海軍が最多で建造した駆逐艦でも神風型駆逐艦と松型駆逐艦の32隻です)

さて、そのキャノン級護衛駆逐艦の1隻として生まれた、後のラジャ・フマボンであるアザートンは、1945年5月6日にドイツUボート艦隊の潜水艦をアメリカ東海岸で他の艦との共同で撃沈する戦果を挙げてます。

しかし第二次世界大戦終結後により、アメリカ海軍は数々の駆逐艦などを退役、スクラップにしました。

その中、アザートンは創設されたばかりである日本の海上自衛隊に、同型艦のアトミックと一緒に供与されました。

そこでアザートンは第二の人生を歩むことになります。




【あさひ型護衛艦 はつひ】

同型艦のアトミックはあさひ、アザートンははつひとして海上自衛隊創設時から約20年間、旧日本海軍の駆逐艦の梨こと護衛艦のわかばと共に黎明期の護衛艦隊を支えましたが、老朽化と国産の護衛艦が増えてきた事により、1975年6月に除籍され、アメリカ海軍に返還されました。

しかしアザートンこと、はつひはまだまだ活躍します。




【ラジャ・フマボン】

海上自衛隊からアメリカ海軍に返還後の1978年、財政的に余裕の無かったフィリピン海軍が譲渡を希望したため、アトミック(あさひ)とアザートン(はつひ)の2隻は同じキャノン級でアメリカが保管していた同型艦のブースと共にフィリピン海軍に引き渡されることになります。

こうして、前に述べたようにアザートン(はつひ)はラジャ・フマボン、アトミック(あさひ)はドゥツ・シカツナ、ブースはドゥツ・カランチャオとして、3隻がフィリピン海軍で新たな任務に就きました。

しかし、ブースことドゥツ・カランチャオは1981年に台風で損失してしまいました。

ちなみに、アトミックことドゥツ・シカツナとアザートンことラジャ・フマボンは1990年代に台風の被害により一度退役してます。

しかし、アトミックことドゥツ・シカツナをアザートンを延命させる為の部品取り用に活用し、アザートンことラジャ・フマボンは再就役してなんと、小型の駆逐艦にも関わらず、フィリピン海軍の旗艦を務めます(ちなみに旗艦の座に就いてから約15年間、フィリピン海軍最大の水上戦闘艦であり続けました)

さらには、2017年に行なわれた海上自衛隊とフィリピン海軍の親善訓練ではフィリピン海軍の顔として参加しました。




【まとめ】

現代の軍艦は運用寿命が長くなる傾向にあり、30年以上運用されるフネは珍しくありませんが、第二次世界大戦当時の軍艦の運用寿命はおおむね20年程度を想定していました。

途中退役していた期間があったものの、アメリカ海軍、海上自衛隊、フィリピン海軍で60年以上運用されたアザートンことラジャ・フマボンは、それだけで軍艦史上に残る存在と言えるでしょう。

実はアザートンことラジャ・フマボンの退役から11日後の3月26日、海上自衛隊とフィリピン海軍には新たな縁が生まれています。

日本政府は2016年に、老朽化していたフィリピン海軍の哨戒機の後継機として、海上自衛隊が運用していたTC-90練習機を5機、フィリピン海軍に無償譲渡することを決定しました。

海上自衛隊はフィリピン海軍のパイロットの訓練を日本国内で行ない、最初の2機を2017年3月に引渡し、残る3機が、3月26日に引き渡されたのです。

ラジャ・フマボンとの関連性は偶然と言えば偶然ですが海上自衛隊は、はつひことラジャ・フマボンだけで無く、ここでもフィリピン海軍と繋がりを持っていました。

スタートを飾る第一回目にも関わらず、肝心の珍兵器としての印象はやや地味かもしれません。

それに、兵器として特別秀でてる訳でもありませんが、この経歴は間違いなく『珍』と言えるでしょう。

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