漫画「失踪日記」


ホームレスと野良猫は似ている。


まず、家がない。

それから、怒らせると怖い。

餌をあげた後、頭を撫でようとしたら手の平の丁度真ん中、生命線と頭脳線の間に爪が突き刺さって皮がめくれた。あれは痛かった。


家族で河川敷にバーベキューに行ったことがあった。探検と称して弟と歩き回っていたらブルーシートで作られた家を見つけた。秘密基地に憧れていた年齢だったからか、中を見ようと手をかけた時、後ろから触るんじゃねえと怒鳴られた。


他にもいっぱいある。


目を合わせないところも、夜行性なところも、何を考えているのか分からないところも、ダンボールが好きなところも。親父が優しくしてたのも。

捨てるなら持っていってやれと言われ、弟とよく持って行かされた。会話したことは無かったけど。


親父が亡くなってから始めて支援団体を運営していたことを知った。葬式にはたくさん集まった。君のお父さんのおかげだなんて言われてもなんて顔をしていいのか分からない。

親父が失踪してからの訃報だった。

お袋はあんまり心配してなかったから、もしかしたらお袋には言ってたのかもしれない。



やっぱり突然いなくなる。

バカ親父が。せめて失踪日記くらい書けってえの。

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