第247話 共同幻想パニック
それは、女子高生のインスタグラムの書き込みが原因かもしれない。
酔っ払ったおじさんがSNSに投稿した愚痴かもしれない。
とある変人の専門家が発表した予測かもしれない。
ヘッジファンドの策謀かもしれない
某国のハイブリッド戦の一環かもしれない
とにかく、何かの原因で広がった不安は、拡散を続ける
取付騒ぎは、銀行の各支店に人が押し寄せるイメージがあるが、現代の取付は静かに、そして急速に広がる。「とある銀行が危ないらしい」という連絡を受けた預金者は、オンラインで預金を他の銀行に移す。
目立たず、急速に広がるため。対策が後手になる。
冷静な寄与者の存在はこれを拡大する。冷静で情報にも敏感な預金者は、騒ぎがパニックらしいということはわかっているが、それでも預金を口座から他行へ移す。なぜなら、実際の取付よりパニックによる拡大の被害が大きいことを知っているからだ。
騒ぎは顕在化して報道され、これにより不安になった預金者は、さらに預金を引き出す行動に出る。ここまでくると、本来は破綻する問題はなかったはずの金融機関が資金不足に陥って、破綻の可能性が出てくる。
ここまでくると、当局や業界団体は大規模な対策や救済策を公表して実行する。これによって、騒ぎはいったん、おさまったように見える。
「当局は何か隠している」とか「次に破綻するのはどこだ」という陰謀論が台頭してくる。
これにより、当初の騒ぎとは直接関係のない、経営不振が噂されていた金融機関が生贄になる。これも、当局や業界団体が押さえ込むが、市場の不安は治まらず、陰謀論は次の生贄を求めて世界中を駆け巡る。
「通貨は明日も今日と同じように使える」とか「平和条約は明日も守られる」とか「病院はいつでも診てもらえる」という共同幻想は、意外にに簡単に破綻した。
ゼロリスクの安全神話を追い求めても、多分徒労に終わるだろう。
サル痘(M痘)
関東一円で、しばらくおさまっていたサル痘の患者が増えている。
厚生労働省のトップで公表されている。
水際対策が緩和されて、入国者から感染したか、海外に出て感染して帰国した人から広がったと思われる。
厚生労働省 サル痘について
www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/monkeypox_00001.html
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