感染症情報の探し方入門
某 匿名
第1話 感染症情報の探し方入門
2019年12月31日 湖北省武漢の当局から原因不明の肺炎に関する発表があった。
これを例に、感染症のアウトブレイク情報の探し方について解説する。
危機を予知して、粛々と準備して、危機を無事に乗り越えても、誰もほめないし注目もしない。楽観的に、準備しないで、危機に直面し、必死に活動して、なんとか乗り切ったやつはほめられる。乗り切るのに失敗したら、めちゃくちゃにたたかれる。マスコミは、目立つ成功や、大失敗が大好き。
人間には、安全機構として「正常性バイアス」、「公正性バイアス」というのがある。これのおかげで、不安に依るストレスやうつ病の発症のリスクを緩和しているらしい。危機管理情報を探す場合は、これを意識的に無視することが必要。
悪い例
「海外で、風邪を引いたみたいで、頭痛がして熱っぽい。 検疫申請? 早く家に帰りたいので、検疫はスルー 俺は大丈夫」
その根拠の無い自信が、正常性バイアス。
SNSには「エコーチェンバー効果」というのがあり、聞きたい情報だけを聞き、聞きたくない情報は排除する効果がある。これも意識的に排除する。自分がフォローしているアカウントを客観的に見てみよう。自分と同じ嗜好や考え方の人が多いはず。
一度、偽情報を信じてしまうと、抜け出せなくなる可能性がある。科学的な根拠を示して説得しても、だめな場合が多い。
最も重要なことは、伝聞情報は、そのまま信じないで、必ず、めんどくさがらずに、一次情報まで遡ること。
陰謀論は面白いが、ほとんど当たらない。陰謀より愚者の不注意や判断ミスが原因であることが多い。
危機管理の原則は、悲観的に準備して、有事には楽観的にあきらめないで対応すること。
武漢の肺炎が、SARSの再来になるか、狭い範囲の流行ですむのかはまだ予断を許さないが、これを例に、危機の兆候があったときの感染症情報収集の初動対応を紹介してみよう。
ファイクニュースに踊らされないために、信頼できる情報源をブックマークしておこう。事態の進展は、非常に速い。
命に関る感染症情報は、むやみに検索していい加減な情報を信じると、非常に危険。まずは、信頼できる情報源を押さえておこう。基本的な情報源を紹介する。URLはあえて載せない。実際に自分で探してみること。検索結果のトップに出たからといって、信頼できる情報とは限らない。
正しい情報にたどり着くためには、知識とセンスとスキルが必要で、コストがかかる。
自分で情報を発信する場合は、信頼できそうな情報だけを、ソースを明示して発信すること。偽情報を垂れ流すと、後世に「人殺し」とののしられるかもしれない。
この記事だって、フェイクかもしれないよ。
国内情報
政府機関、大学
人の感染症
厚生労働省
厚生労働省 検疫所
厚労省 中華人民共和国湖北省武漢市
国立感染症研究所 感染症疫学センター
新型コロナウイルス肺炎関連リンク集
東京大学医科学研究所アジア感染症研究拠点
家畜の感染症
農林水産省
農業・食品産業技術総合研究機構
野生動物の感染症
環境省
自治体
地方衛生研究所
各自治体のWebの感染症情報
海外の感染症
外務省 海外安全
発生地の日本大使館
信頼できる感染症ウォチャー
@tabibito12 近畿医療福祉大 勝田吉彰 研究室 (tabibito12) on Twitter
新型インフルエンザ・ウォッチング日記
国内の報道機関
NHK、民放各社、新聞社
国際機関
WHO
Disease Outbreak News WHO
WHO onTwitter @WHO
World Health Organization Western Pacific @ WHOWPRO
米国
CDC
CIDRAP - Center for Infectious Disease Research and Policy University of Minnesota
各国の厚生労働省に相当する省庁
信頼できる海外の感染症情報のウォッチャー
H5N1 @Crof
Avian Flu Diary
A TIME'S MEMORY
Virology Down Under @MackayIM
ProMED 感染症関連メーリングリスト
大量の情報が集まる感染症の掲示板
FulTrackers.com
英語でも、中国語でも翻訳サービスを使えば、ある程度読める。
ワイドショーやSNSにしがみつくより、正しい方法で、自分で調べるほうが、ずっと正確
検索キーワードの例
新型冠状病毒(中国語)
2019-nCov (new coronavirus) WHOが決めた略称
Wuhan(武漢)
もう、忘れてしまった人が多いが
黒死病 中世の欧州 まれに現在も発生
天然痘 全世界 制圧
結核 全世界 いまだに制圧できず
小児麻痺 全世界 ほぼ制圧
梅毒 最近、国内で継続的に発生
マラリア、黄熱病
スペイン風邪 100年位前 4000万人が死亡
アジア風邪
香港風邪、 ソ連風邪
HIV じわじわひそかに蔓延して気づいたときには世界中に定着 (2月18日追記)
H5N1 新型鳥インフルエンザ 香港 100万羽の家禽を殺処分して終息
SARS 東南アジア、中国、香港、カナダ 突然終息 理由は不明(蝙蝠、 ハクビシン)
H1N1 2009パンデミック 新型人インフルエンザ
H7N9 低病原性鳥インフルエンザ 中国 家禽市場の閉鎖と消毒でほぼ終息
MERS 主に中東で流行 韓国で輸入例が蔓延
口蹄疫 宮崎
デング 都心の公園から拡散 最近も京都で患者が見つかったらしい。
ジカ熱 リオのオリンピックの頃 南米からアメリカ南部まで飛び火 新生児の小頭症
エボラ 主にコンゴ 現在も制圧できていない ワクチンは試験中 紛争地でWHOやNGOの職員が襲われる
風疹/麻疹 数年周期で流行
豚コレラ 現在も発生中 遅ればせながら、ワクチン解禁
アフリカ豚コレラ そのうち、国内にも?
普通のインフルエンザ 毎年流行
地震と同じで、新興感染症のパンデミックは必ず来る。感染症は、自然災害と違って、物理的な爪あとを残さないので、記憶が風化しやすい。
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