IT用語とかプログラミング言語とかよく知らないけど、なんかそれっぽく戦うやつ。

へろおかへろすけ

 IT用語とかプログラミング言語とかよく知らないけど、なんかそれっぽく戦うやつ。

「う、うわっ!勝手になんかウィンドウ的なのがたくさん開いて、英数字の羅列が増殖しているッ。クソッ汚いことしやがってッ。これはたぶんあのライバル会社の仕業に間違いないですよッ先輩ッ」


「落ち着け後輩ッ。今は一刻も早くこのたぶんウィルス的なヤツを食い止めなければ、今までの俺たちの努力が全部おしゃかになっちまうぞッ」


「で、でも一体どうすれば……」


「まずは、このウィルス的なヤツがなんなのか、それを調べなければ」


「先輩、調べるっていったってどうすればいいんですか!?もう画面めちゃくちゃによく分からない英数字の羅列で埋まっちゃってるんですよッ」


「落ち着けッ後輩ッ。いいか、これはたぶんトロイの木馬的なヤツだッ。いいやそうに違いないッ。というかそれしか知らねーッ。この間、寝正月していた時にたまたまやっていた半沢直樹の特別編みたいなドラマを見た俺には分かるッ。これはトロイの木馬的なヤツだッ」


「と、トロイの木馬的なヤツ……。」


 生唾を飲み込む後輩。


「ああ、さらに詳しく言えば、これはトロイの木馬的なヤツの親戚みたいなウィルスで、たぶんこれは……」


「な、なんですか先輩!?これはなんのウィルスなんですか!?」


「たぶん『野次馬のキタさん』だ」


「や、野次馬のキタさん……。」

 

 生唾を飲み込む後輩。


「ああ、野次馬のキタさん……。俺も今適当に言ってみただけだから、どんなウィルスなのか?とか説明を求められても困るけど、きっとこれは『野次馬のキタさん』に間違いはねぇ」


「くっそッ。ライバル社めッ。こんな薄汚い手を使いやがってッ。クッ……ダメです先輩ッ。それっぽく適当にタイピングしてるんですが、全然野次馬のキタさんの侵食を抑えられませんッ」


「どけ!後輩!あとは俺がやる。いいかまずは、自分が知る限りの知識でもって、この野次馬のキタさんに対抗するんだッ」


「せ、先輩」


 生唾を飲み込む後輩。


「へへ、任せとけって!後輩!」


 先輩を見守りながら、生唾を飲み込む後輩。


「まずは……CTRL+C!(選択した項目をコピーする)」


「だ、だめです先輩ッ。野次馬のキタさんに変わりありませんッ」


「まだまだぁ!CTRL+V!(コピーした項目を張り付ける)」


「だめです!全く効いてませんッ」


「うぉぉぉぉッ!ならば連続技だッ!CTRL+O!(ファイルを開く)からのCTRL+P!(印刷する)」


「す、すごいッ。印刷機がけたたましい音と共に起動しましたッ」


 生唾を飲み込む後輩。


「よしッ!とどめだ!WINDOWS+S!(コルタナを起動する)」


「だ、だめです先輩ッ。印刷機から煙りが上がっただけで、特にこれといって『野次馬のキタさん』にダメージが入った様子はありませんッ」


「クソッ無敵かよッ……仕方ない、あの手しかないか」


「あの手……。せ、先輩、まだ奥の手を残していたんですか!?」


 生唾を飲み込む後輩。


「ああ、だがこの手だけは使いたく無かったんだがな……ぶっちゃけ、さっきから何押しても画面変わらずに侵食されていくだけだし、もうこれしか残された道はねーわな……」


「せ……先輩ッ」


 生唾を飲み込む後輩。


「いくぞッ!これが俺のファイナルアタックだ!物理的干渉ッ電源ぶっこ抜きッ!」


 そして見事に飛んだ、データもプレゼンも得意先の信用も、そして先輩と後輩の首も、というか会社自体も……。

 現実を受け止めきれないのか、体調が悪いのか、将又唾を飲み過ぎただけなのか、後輩は吐いていた。

 つられて先輩も吐いていた。

 まったく、とんだウィルスを貰っちまったぜ!

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 IT用語とかプログラミング言語とかよく知らないけど、なんかそれっぽく戦うやつ。 へろおかへろすけ @herookaherosuke

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