第一章
第01話:畑荒らしの討伐
「それで、問題は解決したの?ミスティおにーちゃん?」
エルフにとっては短いが好奇心の旺盛なルーミィにとっては長い長い5年間の謹慎が明け、更に2年が経過したのが今になる。
だから最初に救けてから7年の月日を経て12歳になったルーミィは……残念ながらあんまり成長していなかった。確かに多少身長は伸びたが、元々大きくて好奇心いっぱいの眼や筋の通った鼻や、ぷっくりとした薄桜色の唇や、ややプニプニしたほっぺたなど、あまり変わっていない。
だが、知識の量や魔法の腕は、謹慎の間に相当頑張ったみたいで、格段に成長していて、幼い容姿と知識のギャップがかなり激しい。
また、どこで覚えたのか、端々に出る仕草もとても可愛らしくて、僕は妹のような存在にも関わらずドキドキしっぱなしだ。
「いや、畑を荒らしていたのは猪だけじゃない。確かに大型の猪の痕跡も残っていたけど……」
僕は畑の中の足跡を思い出しながら、ルーミィの問いに答える。
「うん。最も多くの畑でみた足跡はもっと小型のもので、数も10匹は超えていたはずだ」
「そうなんだ。じゃぁ、おにーちゃんは……」
「うん。今晩にでも、再度森に入るつもりだ。早いうちに解決しなければ、村が冬を越せなくなってしまうからね」
「やっぱり。また一人で解決するつもりなんだね」
「ルーミィのご両親や村長さんが安心できるようにしないとね。僕はいつもお世話になっているから」
「お世話って、ただ何もしていないだけじゃないっ!ミスティおにーちゃんがどれだけ村を守っているか知っているのに!」
「
「でもっ!でもっ!!」
ルーミィはしつこく食い下がってくる。ルーミィは謹慎が解けた後も、こうして僕の
ルーミィには本当に感謝しか無い。そして本来であれば、僕の所に出入りするのを厳しく叱咤する立場の村長さんやルーミィの両親は、こうしてルーミィが僕の所に来るのを黙認してくれている。
直接的に手助けできないかわりに、こうして見て見ぬふりの対応をしてくれているだけでも、すごく感謝している。
「もぅっ!そんなんだから、ミスティおにーちゃんは、みんなにバカにされ続けるんだもんっ!!」
ほっぺたを膨らませながら、プンプン怒るルーミィ。その姿が凄く可愛くって思わず吹いてしまう。
「あーっ!おにーちゃん、ルーミィを見て笑ったっ!!ルーミィこんな真剣に話しているのにっ!」
「ごめん!ごめん!!」
僕の取った態度に更に憤慨してポカポカ叩いてくるルーミィに、謝罪しながら手で防ぐ。
こんな微笑ましいやり取りが出来るなんて、昔の僕には想像だにできなかった。いつも村外れで膝を抱えて絶望していた日々を過ごしていたから。
「それで、いつ出るの?もうそろそろ?」
「うーん。かなり警戒心の強い獣だと思うから、夜遅くに一人で行くしか無いだろうね。昼は巣穴に引っ込んで警戒しているだろうし、明け方は畑を荒らしに来るだろうしね」
「私も行きたいっ!けど、ダメだよね」
「うん。夜は危ないし、それにルーミィは特に村で大事にされているから、あまり僕と一緒にいない方がいい」
「また!おにーちゃんはすぐそうやってルーミィをのけ者にしようとするっ!そーいうのいけないんだよっ!」
「あははははは。ごめんごめん。でも、畑を荒らしている獣は狡猾で、本当に危険なんだ」
「そんな危険な獣なのに、何でおにーちゃん一人で……」
「さっきも言ったけど、一人じゃないと姿を現さないだろうからね。まぁ、本当に無理はしないから大丈夫だよ」
「本当に、本当だよ?無理しちゃだめだからね?」
心配そうに僕を見上げてくるルーミィの頭を手で撫でながら、諭すように言い約束する。凶相と言われる四白眼の眼で眩しいものを見るかのようにルーミィを見ながら。
何度も何度も約束をさせられて、何とか納得したのかルーミィが自分の家に帰っていく。僕は
「今夜はアレを持っていかないとダメだろうな」
壁に立て掛けてある、細長く少し湾曲した一振りを見ながら呟く。僕が僕で居られるのも、この剣があったからだ。僕が立ち直るきっかけになった剣。これを譲ってくれた人は刀と言っていた奇妙な剣。精霊が嫌う鉄で作られた剣。精霊から嫌われている僕にはピッタリの武器だ。
少しの間微睡み、月が天頂に差し掛かる頃、僕は床を抜けて、出かける用意をする。このくらいの時間から、狡猾な獣たちは活発になるはずだ。
草を編んだ服に、動物のなめし皮で作られた胸当て、腕当て、腰当、脛当てをつけると、壁に立て掛けてあった刀を左の腰に佩く。後は精霊が嫌わない金属である銀で作られたナイフを数本を太もものホルダーに装着する。
そして僕は一人で獣の徘徊する夜の森へと入っていく。目指す場所は、ある程度見通しが効き、多人数で一人を襲いやすい場所だ。
つまりは自分自身を囮に使う。食料に飢えてはいるが、警戒心の強い獣達だ。そうでもしなければ姿を現すことはないだろう。
昔訓練に使っていた、丁度良い空き地があったのを思い出したので、そこで待つことにする。
そして待つこと半刻。月も傾き始め夜の帷が降り、星明り以外は照らすもののない真っ暗な頃合いになると、枯れ木を踏み砕いて近づいてくる気配を捉える。
予想通り相当に狡猾な獣の群れが現れ、僕を取り囲み円を描くように周辺を回りながら値踏みをするかの如く僕を観察する。値踏みしているのは獣だけではなく僕もだ。
体長は1m弱で四足歩行する獣で、弱い月明かりでもその獰猛な牙がわかる獣だった。
警戒しながら僕を囲んでいる獣たちに向けて、僕は何気ない所作で一歩踏み込むと、左腰に佩いた刀と呼ばれる片刃の湾曲剣を抜き放ちながら切りつける。
シャオンッ!!
鞘で十分加速させた剣閃が瞬き、僕の最も近くにいた獣一体の首を切り飛ばす。そして周りが異変に気が付く前に、もう一歩踏み出して隣の獣に一閃。
シャオンッ!!
再び空気を切る鋭い音が響き、刀を振るわれた二体目の首が飛ぶ。一瞬で二匹の仲間が殺されたのに気が付いた身近の獣が僕に飛び掛かってくる。僕はそれを予想していたので、飛びかかってきた空中の獣に向かって、下からの切り上げで一閃。
ザシュッ!
空中にいる状態で首をはねられる獣。合計3体の獣を一瞬で斬殺した所で、僕のいた空き地を月の光が照らす。
地面にはイタチかアナグマのような容姿をしているクズリと呼ばれている肉食獣三体が、首から血を吹き出し絶命している。
クズリは時には自分より大きい獣を、背後や木の上から急所を狙った一噛みで襲ってくる事もある危険な獣だ。だが、普通は死骸を漁る事が多いクズリが、集団で襲ってくるというのは非常に稀なのだが。
そして月明かりに照らされた獣の数は残り十数体。普通に考えたら死角から飛び掛かられて、喉笛を食いちぎられてしまうような危険な状況だ。
特に魔法に特化した精霊魔術師の場合、範囲攻撃魔法で一帯を吹き飛ばさない限り、隙を突かれて薄い防御を突破され、接近するクズリに四肢を噛みつかれてしまうと、魔法の集中などが出来なくなり、危険な状況になってしまう状況だろう。
「ごめんよ。相手が悪かったと思って諦めてもらえるかな?」
言葉を理解する訳のない森の獣たちに一言断ると、僕は前方にいる獣の間合いに踏み込んでいく。
間合いに入った途端、前後左右、空中と足元へ一斉に襲い掛かってくるクズリ達。僕は死中に活を求めるように、真正面に深く踏み込む。そして鞘に刀を一旦戻すと、そして前と空中と足元から噛みついてこようとするクズリに対し、鞘走りを利用した居合い抜きからの連閃を繰り出す。
「月影流刀技
僕は溜めた息を技名と共に吐き出しながら、一息で上段居合い抜き、中段薙ぎ払い、下段打ち払いの3連撃を放つ。
ほぼ同時に瞬く三つの剣閃が襲い掛かってくるクズリを迎撃し切り捨てる。
そして、再度納刀すると
「月影流刀技
再度放たれた剣閃は背後から襲い掛かってきたクズリ達を迎え撃ち切り裂く。
次に様子を見ていたクズリの群れに突っ込み、身体を前に倒しながら地面スレスレの水平軌道で刀を薙ぎ払う。その薙ぎ払いにより二体のクズリの胴を深く切り裂く。自分が倒れてしまうような危険な技だが、地面を這う獣達には有効な刀技になる。
自ら地面に身体を投げ出したうつ伏せ状態の僕に、チャンスと言わんばかりに三体のクズリが同時に僕に飛び掛かってくる。
僕はそのまま前転して距離をあけると同時に逆手に持ちかえた刀を振り上げつつ起き上がる。ズブリと刀の切っ先に鈍い感触がして、一体のクズリの身体に刀が突き刺ささる。
「ぐぅっ!」
流石に他二体の攻撃を避けられなかった僕は、左肩と右足を鋭い爪で押さえられながらクズリに噛みつかれる。そしてクズリはそのまま肉を引き千切るかのように、口を捻りながら離れる。
エルフの防具は布か革製の防具しかなく、野生動物の持つ鋭い爪や牙は防げない。食い千切られた個所からは、激痛と共に血が噴き出す。
だが一人で戦っていればこんな傷はザラだ。これしきの傷は僕が戦闘を止める理由にはならない。右手一本でも、まだ刀は振れるからだ。
左肩が痛むので、両手での剣閃は放てない。右足も痛むから踏み込みが今一になるかもしれないけど、クズリの毛皮のみの柔らかい防御を抜く事に問題はない。
僕は痛みを無視しながら踏み込むと、右手のみによる素早い突きを放つ。突きは正確にクズリを捉え、僕の足を食いちぎった一体のクズリは、喉元を突き刺され絶命する。
「あと、四体っ!」
右手に持った剣を内側から外側へ円を描くように大きく踏み込みながら刀による切り上げ、切り降ろしをスムーズに繰り出す。まるで下弦の月の形をなぞるような切り降ろしの一撃が、様子見をしていた一体のクズリを真っ二つに切り裂く。
「残り三体っ!」
僕がそう言いながら最も体格の良いボスクズリらしき獣の方に踏み込むと、脇に控えていたボスに次いで体格の良い二体のクズリが数歩前に飛び出す。そしてほぼ同時に僕の左右前方から襲い掛かる。
僕は右から飛び掛かってきたクズリを切り払いで首を飛ばすと、すぐさま刀の柄を後ろ方向に振り上げて、左から飛び掛かってきたクズリの顎をカウンターで強打する。
そして顎を強打され、昏倒しながら宙に浮いたクズリの首目掛けて刀を振り抜き、首を飛ばす。
「残るはお前だけだな……」
5分に満たない攻防で数十匹の群れをほぼ壊滅させた僕を、ボスクズリは相当に警戒し、すぐにでも逃げ出しそうな態勢を取る。
ここで逃がしてしまっては、また群れを作って村を襲ってくる事は間違いない。更に報復として、よりひどい状況になる可能性も高い。僕はボスクズリが逃げないように痛む身体に鞭を入れて、剣気を飛ばしながら、ジリジリと近寄りボスクズリの隙を窺う。
僕は少しずつ間合いを詰めて、一刀で切り捨てられる間合いを取りに行く。ボスクズリは逆に少しずつと後退しながら、逃げる態勢を整えていく。
そして、クズリの尻尾が背後の岩に触れる。その岩は横に5mはあろう大岩で、これ以上後ろには下がれないし、左右後方にも逃げられない。
観念したボスクズリは、僕の左方向にステップすると僕に飛び掛かってくる。僕が左肩を喰い破られて左手側の動きが鈍いだろうとの直感だろう。
獣とはいえ十数体を統率していたボスだ。見事な判断と攻撃だ。僕が普通のエルフだったならば、それでよかっただろう。
ガゴッ!!
飛び掛かってきたボスクズリに僕の
「お前らにも色々あるだろうが、すまないな」
僕は鼻先を砕かれ地面に叩きつけられたボスクズリにとどめの一刀を入れる。ビクンとクズリの身体が跳ねたので、完全に絶命したのだろう。
僕は刀を勢いよく振り抜き、血糊を飛ばし、落ち葉で刀身を拭うと、刀を鞘に戻す。そして、地面に尻餅をつき、周りを見渡す。
周りは十数体のクズリの死体が散乱し、辺り一面に血と肉をぶちまけていた。僕も左肩と右足が食い千切られて出血していたが、肩の出血は止まり、既に
僕の身体の回復力は既にエルフとは思えぬほどになっており、軽い傷なら5分程度で全快してしまう。ルーミィを助けた一件から七年がすぎた僕は、肩を食いちぎられるような傷であっても1時間もすれば回復してしまうような、尋常ではない回復力になっていた。
「何とか動けるか……」
僕は誰に聞かれる訳でもなく一人で呟くと、一体ずつクズリの尻尾を切り落として、背負い袋に投げ込むと、ボスクズリだけは脇に抱えて、空き地を離れる。
こんな数の獣の死体があれば、狼やハイエナなど、死肉を食らう危険な獣たちがすぐにやってきてしまうからだ。
再生が始まったとはいえ、まだ痛む身体を引きずりながら村に向かって歩き始める。
夜が更ける前に
「報告は明日の朝にしよう。どうせ誰も待ってないし」
僕はそう呟くと、藁を編んだ敷物を敷いた寝床に潜り込む。傷は再生していくけど、当然かなりの体力を消耗している僕は、すぐに夢の中へと落ちていった。
……
地面を蹴る小さい音が近づいてくるのを僕の耳が捉えると、僕の意識は覚醒していく。昔から不本意な目にあってばかりの僕は、何かが近づく気配がすると、すぐに覚醒する癖がついていた。
僕は寝床から抜け出すと、傷の具合や衣服、髪などの乱れを確認し、やってくる人物に備える。
「ミスティおにーちゃん。起きてるー?」
パタパタと走る音が僕の家の前で止まると、すぐにでも外れそうな扉と言う名の木の板を叩く音と共に、可愛らしい声が聞こえてくる。
「うん。今起きたところだよ」
僕はそう言うと扉をずらすと、真っ白な蚕の糸で編まれたワンピースを着たルーミィが嬉しそうに立っているのが見える。
「無茶した所はないかなー?」
ルーミィはそう言いながら手を腰の後ろに組み、フインフン言いながら僕の様子を確認する。まぁ、確認するも何も、僕の左肩と右足は噛み千切られたので、当然衣服もその部分は裂けているのでバレバレだ。
「あーっ!やっぱり無茶してるー!!」
ルーミィはそう言うと小さい手で握りこぶしを作って、ポカポカと僕を叩いてくる。
「痛い、痛い。ルーミィ、痛いよ」
「ミスティおにーちゃんには回復魔法が効かないから無理しちゃダメ!って、いっつも言ってるのにっ!!」
小さくて力の弱いルーミィが冗談でポカポカしてくるだけなので、全然痛くないけど僕が手の平で受け止めていると、ほっぺたを膨らませて僕を睨み付けながら怒ってくる。
「大丈夫だから!そんなに無茶してないから。ちょっと十数匹と相手をしていた時に、左右から一気に襲われて噛みつかれただけだから」
相変わらずポカポカ叩いてくる拳を受け止めながら、僕が状況を説明すると一旦手を止めて、更にほっぺたを膨らます。
「ぜんっぜんっ!無茶してなくないよっ!それっ!!」
左手をピンと伸ばしながら下げて、右手は人差し指だけを立てて前後にぶんぶんと降りながら、僕を問い詰めてくるルーミィ。
「んー、もうっ!笑い事じゃないんだよっ!ミスティおにーちゃんっ!!」
「わかった、わかったよ。それに、そろそろ村長に報告に行かないと」
プンプンしているルーミィに待っていてもらいながら、部屋の奥に置いておいた背負い袋を担ぎ、ボスクズリの死体を脇に抱える。
1mを超えるボスクズリの死体を見て、ルーミィが目を真ん丸にしながら、肩を震わせる。口の端からは凶悪な牙が突き出ており、噛みつかれたらただでは済まない事を感じさせられる姿だ。
そんな凶悪なクズリの死体を持って、僕はルーミィと一緒に村長宅に向かう。
「おぉ、ミスティか。その肩に担いでいるのは……ま、まぁ、お入り」
「きゃっ!そ、その凶悪な動物は……と、とりあえずミスティ、上がって話を聞かせて」
村長夫妻は僕が肩に担いだクズリの死体に驚きながらも、家に優しく招き入れてくれる。かつてルーミィを助けたこともあり、村長夫妻は村でも数少ない僕に対して好意的な人達だ。
「では、話を聞かせてもらえるかな」
居間に通され、ボスクズリと背負い袋を置いて、席に座った僕に村長さんが理由を聞いてくる。
「はい。村の畑を荒らしていたのは、恐らくコイツです。本来、人里離れた岩山などに生息する動物ですが、縄張りを他の動物に取られたか、エサがなくなったのか、人里に降りてくるようになったと思います」
「証拠は?」
「畑や村に残っていた足跡の形、その数、そして慎重なことを示す畑の周りに数多くあった足跡の分布です。腹を開いてみれば、畑の野菜の切れ端くらい残っているかもしれません」
「ふむ、まぁ数日様子を見て畑が荒らされる様子がなければ、証拠になるやもしれんな」
村長さんに説明しながら、背負い袋から十数本のクズリの尻尾を取り出す
「……こんな群れにキミは挑んだというのか」
「ミスティ、無茶しすぎじゃないかしら?」
出された尻尾の数に唖然としながら、村長夫妻が心配そうな目を僕に向けてくる。
「村の被害を、これ以上広げたくなかったんです」
「そう思ってくれるはありがたいのだが……キミにとってこの村は……あまり居心地の良い村ではないだろうに」
「こんな僕でも受け入れてくれるんです。贅沢は言っていられません」
「キミは……!」
目を逸らすようにそむけた村長さんが僕の発言聞くと、目を見開いて、そして再び目を伏せる。
「とりあえず、事情は理解した。数日様子を見て、何もなかったら、このことを皆に知らせよう。このクズリは腐らないように加工していいかね?」
「えぇ、僕には不要なものなので、手間をかけさせてしまって申し訳ございません」
僕が全ての証拠を村長さんに渡すと、僕の隣で話を聞きながらソワソワしてたルーミィが話しかけてくる。
「ねぇねぇ、ミスティおにーちゃん。この後ルーミィのお部屋にきてよ」
「え、えっと……」
「良ければ、相手をしてあげてくれないかしら?」
「僕なんかが長いしたら迷惑だと思いますが……」
「構わないわよ。ミスティはルーミィにとって白馬の王子様なのだから」
僕がどうしようか戸惑っていると、ルーミィのお母さんが笑いながら許可してくれる。
数日後、村の畑の被害がピタリと止まったことを確認した村長が、村の主だったものを集めて集会を開き、村の畑を荒らしていた正体を告げ、それを討伐したのが僕だと発表した。参加した村人からは安堵の声が多く上がったと聞いている。
だが、その中で悪意が高まっている事を、村長さんも察知できず、悪意の牙が僕に食らいつき、事が大事になるのを食い止める機会を逃してしまうのであった。
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