#13
朝練のために朝早く学校に向かおうとした私は、自宅の玄関前で待ち構えていた『招かれざる客』に顔を
「御子神 霞さんですね? 『グローバル・ニュース・ネットワーク』東京支局の、
「はあ」
いや、気になるよ?
「あのう、『同調者』とやらの件では何もお話できないのですが」
「いえいえ、『ハルト』ファンの第一人者としてのお話が聞きたいっす!」
ビクッ
「おやおやあ? 何か心当たりがあるみたいっすねー?」
「な、ナンノコトデショウ?」
「ふふふ……。スバリ! あなたは『ハルト』の中の人を知ってますね!」
「……」
その通りである。その通りではあるのだが……。
「それは、ファンとして、ってことですか?」
「違うっす! 個人的に『お付き合い』してるんじゃないかってことです!」
「……どなたに聞いたんですか、それ」
「情報ソースは明かせないっす!」
えーと、つまりこの人……武藤さんだっけ、確かにハルトに関する取材なんだけど……『ヒューム撃退』については知らない?
「失礼ですが……GNNのどの部門のかたですか?」
「芸能部門っす!」
さいですか。
◇
その日のお昼休み。いつものようにスマホで『VTuber・ハルト』の歌って踊ってお喋りするライブ中継を教室で見ながら、クラスメイトたちに朝の出来事をチクる。
「確かに、有名VTuberとしてなら、芸能部門で話題にするよね」
「そうだけど……なーんか、恣意的なものを感じるのよねえ」
「うおっ、御子神が『しいてき』とか難しい言葉を使ってる!」
「成瀬くん、私をバカにしてる? してるよね? してるに違いない!」
「じゃあ御子神、『しいてき』ってどういう意味だ?」
「好き勝手やってるってことでしょ。今回の取材の場合はねー、誰かが私をハメるために嘘の情報を流したってこと!」
「御子神さんにそんなことをする人がいるなんて……」
ああいや、たぶん大丈夫だよ、井上くん。ハメるといっても、私に変な注目が集まらないようにするための『話題反らし』だと思うから。
「それで、結局その取材の人には、なんて答えたの?」
「そりゃあもちろん、『ハルトとお付き合いしていると思われてるなんて嬉しい!』って返したわよ。本当のことだし!」
「いやお前、『中の人』とって話だろうがよ」
「いつもの霞だねえ」
そうそう、いつもの私だよ。ハルトの熱狂的なファンってだけの、ちょっとスポーツ好きな普通の女子高生ってだけだから!
◇
『そういうのを「どの口が」って言うんだっけ?』
「そうだけど、それはハルトのキャラじゃないから喋っちゃダメ!」
『わかってるよ。それで、念のため、そのムトウ・カグヤって人を調べておけばいいんだね?』
「うん、よろしく。私は私で
『やり過ぎて「中の人」が出ないようにね。それじゃ』
ピッ
さて、次はっと。
ピッ、ピッ、ピッ
……トゥルルルルルルルル
ぴぽっ
『御子神さん? どうしたの?』
「あ、森坂さん。ちょーっとこっちに来てもらえませんか? ええ、駅前の喫茶店のパフェおごり付きで」
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