第一章 吸血鬼【バンパイア】


-満月の夜、若者の血を求め、さ迷う影あり。影より、血を奪われし者、影と共に血を求め、さ迷うこととなる。-



 桜の花びらが舞い散り、まだ冷たいが心地好い風が吹いている。-卯月上旬。


 都会の中には似合わない、古い大きな屋敷があった。ここには、5人の若者が住んでいた。5人共、全くの他人だが、彼らは、ずっと以前から、一緒に生活をしている。彼らの、ただ一つの繋がりは、この世に憚る、妖魔達を根こそぎ、退治すること。『妖魔狩り』である。


屋敷の縁側に腰を下ろし、新聞を読んでいる男がいる。彼の名は、白狐。長い白髪した彼は、銀色の瞳を持ち、色白の肌をしていた。白狐は、ありふれた新聞の記事をパラパラと、つまらなそうに捲って見ていた。


そこへ、片手に別の新聞を持った夕霧がやってきた。短く切った茶色の髪に、小麦色の健康的な身体をした夕霧は、新聞を白狐の目の前に、スッと出した。


白狐は、チラリと、夕霧を見た後、差し出された新聞の記事に、目をやった。


その瞬間、白狐の顔色が変わり、瞳の色が冷やかに光った。白狐の見た、そこには、次のような内容が書かれてあった。

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