第205話 ようこそ、第二の人生に

「さて、帰ってきたわけだが……」


「なんか、どっと疲れたぜ」


「奇遇だな、ウォルド。俺も同じ気分だ」


 活性化領域を普通の領域へと戻し、全ての用事を終わらせた俺達は、ゲート使って屋敷へと帰って来ていた。

 行きは途中までゲートで、帰りは丸っとゲート。

 一部から文句が出たのだが、ちょっとだけ威圧して黙らせた。


「くそっ。せっかく、地上の飯が食えると思ったのに」


「ラフィ、酷いじゃないか!」


「うっさいわ! 誰のせいで、心身共に疲れ切ってると思ってやがる!」


 一部――そう、脳筋二柱からである。

 二柱の言葉に対して、ちょっときつめに返しながら威圧して黙らせたわけだ。

 まぁ、文句を言いながらも、渋々だが従いはするんだけどな。

 我が家で色んな飯を出すって条件でだが……。


「そう言えばさ、あの領主さん、泣いて喜んでたよね」


「あー、そうだったな。地方領主にありがちな事も無かったし、結構切れ者な気がしてる」


 現在は、ゲートを使用して屋敷に帰ってきた俺達だが、ちゃんとやるべきことはやって帰ってきている。

 まず、依頼に関する報告と完了した証明印の受け取り。

 成果に対する納税なども、全て終わらせてきている。

 一応、領主が気を利かせてくれたみたいで、冒険者ギルドでの算出は一番に行われた。

 その時に、領地への納税とギルドへの納税を済ませている。

 取り分は、ギルドと領主が一割ずつで、残りは俺達だ。


『俺達の金は、滞在費代わりにやるよ』


 そう言って、セブリーとトラーシャは、報酬を差し出してきたのだが、ぶっちゃけ足りるかは微妙だ。

 まぁ、素材集めだけなら、冒険者登録無しでも可能なので、足りなくなったら狩りにでも行かせれば良いかと考えている。


「問題は……」


「お三方だよね? 僕は目を付けられたっぽいし」


「リアの他だと、リュール辺りもだな。それと、ウォルドも――は、今更か」


「ラフィ、ちょっと酷くね?」


「事実だから、諦めろ」


 がっくしと肩を落としたウォルドを見てから屋敷の中に入り、整列したメイド達に出迎えられて帰宅した。

 お土産をちゃっかり買っていたヴィオレとヴェルグは、メイドと執事に渡している。

 俺? 俺は狩った魔物の肉を渡してるぞ。

 いつも通りと言う事だ。

 そして、これまたいつも通りに、汗や埃などの汚れを落とすために、全員が風呂へ向かうのもいつも通りだったりする。


「ラフィ?」


「先に行ってくれ。俺はちょっとだけやることがあるから」


 ウォルドは了承した後、風呂へと向かっていった。

 以前はナリアから、後で入る様にと言われていた風呂であったが、俺の一声で問題無く入れるようになっている。


『お館様は甘いです』


『そう言うなよ。これも仕事ではあるんだぞ?』


『ただの苦言にございます。当主と同じ湯に浸かるなど、あってはならないのですから』


『臨機応変に行かないと。それに、旦那が汚いままってのも、嫌だろう?』


『お気遣い、大変嬉しく。ご厚意、感謝致します』


 って事があってから、護衛任務などの俺付き任務後は、憂いなく風呂に入れているわけだ。

 まぁ、サッパリした後も仕事があったりするから、一杯! と言う訳にはいかんがな。

 そんな風呂へと向かう一行とは別に、俺とメナトは大部屋へと来ていた。

 脳筋共? 一緒に風呂に行ったよ。

 あいつら、後は全てメナトに丸投げしやがったんだよ。

 戦神、割と苦労神でもあるらしい。


「そう思うなら、暫く彼女らの面倒をだね――」


「だが、断る!」


「私の苦労はいつ終わるんだろうか?」


「知らんよ」


 雑談をしながら、大部屋にあるベッドに、人間大の宝石を並べて行く。

 中には、前世の親友達が今尚眠っており、完全にマナが同調し終え、宝石が消え去って目が覚めるまで寝かせる為だ。

 当然、神の所業になるので、事情を理解している者が担当となる。

 その担当は、まぁ、ナリアである。

 理由は先に述べた通りだが、実はもう一つあったりする。

 それが、神三柱に対する認識度だ。

 現在、メナト、セブリー、トラーシャは、認識変換を使用している。

 大多数の人間が、神三柱に対する認識は、神像に似た人がいる――といった認識だ。

 ただ、この認識変換には落とし穴があって、神三柱が認めている者と、対話をした者は除外される。

 今回、認識変換が適用されていない人物は、我が家の中だと婚約者全員に加え、ナリア、ウォルド、ブラガス、ノーバスとなる。

 我が家以外の人物だと、両親、陛下夫妻、教皇だけだ。

 まぁ、後者の人間が今回会えるのかは微妙なので、数に入れないで良いのかもしれない。


「お館様。私は、皆様の目が覚めた後、どちらにご案内すれば良いでしょうか?」


「案内はまた後で言うから、目が覚めたら報告に来てくれ。メナト、全員が目覚めるまでの目算は?」


「半日以内だとは思うが、これも個人差があるからね。早ければ30分。遅くて半日なんだけど、半日後だとすると――」


「遅い場合は、深夜から早朝にかけてお目覚めか。……ナリア、夜番は俺が代ろう」


 先の話を詰めて行くが、最後の提案にナリアは異議を唱えた。

 当主たるもの、安易に下の者の仕事を奪うべきではないと、釘を刺されてしまう。

 趣味に関しては、多少仕事を奪う形になってしまっても仕方ないらしいが――他貴族家でもあるらしい――基本は、任せる方が良いと言われてしまった。

 ただなぁ、俺はブラックな職場にする気は毛頭ないんだよな。

 ただ、この考えは読まれていた様で、ナリアから代替案が提示された。


「それでしたら、私は翌日の朝で交代と言うのは如何でしょうか? 朝食の準備までさせて頂いた後、1日お休みを頂ければと」


「24時間勤務の24時間休みにするシフトか。うーん……最近、ウォルドと休みも被って無いみたいだしなぁ」


「ラフィ、私が言うのも違うだろうが、二日は休みを与えても良いんじゃないかい?」


「その理由は?」


「彼女はいずれ、忙しくなると思うんだよ。なら、今の内に休ませておくのも手じゃないかとね。ラフィだって、今は忙しいだろ?」


「休みはあって無いようなもんだからなぁ。その案で行くか」


 ナリアの数日の勤務日程の調整も終え、後はナリアに任せて風呂に向かう事にする。

 サッパリして出てきた頃には、夕食まで、そう時間も掛からないだろう。


「そう言えば、相談事はどうするんだい?」


 風呂に向かいながら、先に話した相談事についてメナトが聞いて来た。

 少し考えてから、時間を指定する。


「夕食後にしよう。もしかしたら、時間を取らせてしまう可能性もあるしな」


「了解だよ。じゃ、私はこっちだから」


 そう言って、メナトは女湯の方に向かって行った。

 実は我が家の風呂は、3つに分かれている。

 男湯と女湯に加え、結婚後も見越して、混浴も作ってあるのだ。

 まぁ、混浴場は、未だに未使用ではあるがな。

 その後、各人とも風呂を堪能し、ゆったりした後、夕食となったのだが……まぁ、フラグは回収したな。


「うっめぇ! 天麩羅っていくらでも食えそうだな!」


「確かに天麩羅も上手い。だが! お好み焼きこそ至高!」


「お前達は……大人しく食えんのか!」


「メナト、どうどう」


「メナト様、こちらをどうぞ。ラフィ様が好んで食べられてる物です」


 自分の好みを見つけた脳筋二柱がやかましく食べる中、神として恥ずかしいとでも言わんばかりに注意をするメナト。

 そんなメナトを宥め、ミリアが気を逸らしに掛かる。

 そして、ミリアが取り分けたおかずを口に運び、少しだけ機嫌を元に戻すメナト。

 見事な連携で、どうにか食事を勧めて行く。

 そうそう、認識変換についてだが、新たに三名を認識できるようにしてある。

 この後の話の本題である人物たち、八木、春宮、姫埼の三名だ。

 改めて認識した三人は……まぁ、やっぱりと言うか、思考停止したな。

 余程の事が無い限り、人は驚きすぎると思考停止していまうらしい。

 そして、そんな三名も、同席して食卓を囲んでいるのだが、やっぱりと言うのだろうか?

 慣れない光景に、動揺しているのが分かってしまう程だった。


「大丈夫か?」


「あー……はは。まぁ、慣れるように頑張ります」


「いや、慣れられても困るんだが?」


「それよりも……」


「ミリアさんが……」


「あー、まぁ、なんというかなぁ。言いたい事はわかるぞ」


 俺達4人が話している間に、三柱全員に色々と世話を焼くミリア。

 正妻力、最大発揮中である。

 勿論、他の婚約者達もミリアに負けず劣らずで色々と世話を焼いているが、内向きな事はミリアに軍配が上がっているのが現状だ。


「私達も、いずれは学ばないといけないのかしら?」


「奥さんにして貰うなら、学ばないと駄目だと思うよ。今度、ミリアさんに教えて貰おうっと」


 二人の声を聞きとってはいるのだろう。

 婚約者全員が、それとなく聞いているのが分かる。

 そんな状況に対し、笑うしかない俺。

 ……嫁、後、何人増えるんだろうな。

 そんなこんなで夕食会が終わりに差し掛かった頃、ナリアが食堂へと姿を見せた。

 どうやら、進展があった様だ。


「お館様。皆様がお目覚めになられました」


「わかっ――ん? 皆様?」


「はい」


「えーっと、もしかして、一斉に?」


「はい。どうされますか?」


 淡々と告げるナリアを尻目に、どういう事だと、メナトを見る。

 メナト自身も想定はしていたようだが、まさかと言った感じであった。

 確率的に、もの凄く低いのかね?


「メナト?」


「ああ、すまない。絶対に無いわけでは無いんだが、まさかと言う思いもあってね」


「想定内ではあると?」


「でもあるし、違うとも言えるかな。とにかく、私とラフィは、向かった方が良さそうだね」


「だな。ミリア。悪いけど、脳筋共は任せる」


「わかりました」


 しっかりと頷いて、任せて下さいと言うミリア。

 ただ、脳筋は否定しないのな。

 ちょっとだけ、黒ミリアになってたりするのかね?

 後、脳筋共が何か言っていたが、スルーしておく。

 と言うかな……お前らを脳筋と思っているのは、俺だけじゃない事に気付けよ。

 ミリアが否定しない事に気付かないから、脳筋って言われるんだよ。

 ただ、この考えは、メナトには筒抜けだったらしく、ナリアに先導されながら、話しかけられた。


「ラフィの正妻も、中々に言うねぇ。胆力が素晴らしい」


「ミリアはああ見えて、芯が強いからな。色々と助けられてる」


「他の婚約者にしてもそうだけど、肝が据わってるね」


「いざとなったら、女性の方が強いって実感させられるよ」


「まぁ、それも、ラフィが引き出した魅力なんだと、私は思うけどね」


「そうかねぇ」


「神のお墨付き……ラフィも神だったね」


「神歴は、メナトの方が大先輩だからな。称賛は受け取っておくよ」


 丁度、話を終えると共に、大部屋の前に着く。

 ナリアが扉を叩き、中にいる者達に、入室する旨を伝えた後、中へと入る。

 ナリアは扉を開け、中に俺達が入るのを確認すると、一礼してから退出して行く。

 どうやら、お茶の用意をして、持ってくるようだ。

 ナリアが退出した後、改めて、目を覚ました者達を見て行く。

 年齢は、17歳くらいになるのだろうか?

 高校時代の見知った顔がそこにはあった。

 一人だけ、高校時代の頃を知らない人物がいるので、多分、彼女がそうなのだろう。


「やぁ、気分はどうだい? どこか不調はないかい?」


 メナトが、目を覚ました6人に対して質問をしていく。

 今一つ状況が呑み込めていないのだろうが、自分達の体調を気にしてくれてる事は理解した様で、各々に問題無いと応えて行く。

 一通りの問診を終えたメナトは、俺に向き直り、どっちが話すかを視線で聞いて来た。


(まずはメナトからで)


(仕方ないね)


 一瞬のやり取りの後、再び6人へと向き直り、話を始める。


「さて、まずは何から話そうか。もしくは、何か聞きたい事はあるかな?」


 メナトの言葉に対して、どう答えようかと、6人は顔を見合わせた。


(まぁ、いきなり知らない女性から、今みたいな質問をされたら混乱するわな。俺だって、初めは混乱した……あれ? 割と素直に受け入れてた気がしなくもないな。……まぁ、今はその事は置いておこう)


 余計な考えが頭を過ぎったが、直ぐに思考を元に戻す。

 と同時に、どうやら男二人が代表して答える模様。

 そして、その第一声であったが、まぁ、テンプレだった。


「ここは何処なんですか?」


「俺達は確か、火事に巻き込まれたはずじゃあ」


 二人の言葉、正確には、後の言葉の方に、メナトが「ほぅ」と言葉を漏らした。

 何かあるのか?


「火事に巻き込まれた記憶は残っているのか。なら、少しは状況の把握ができるんじゃないかい?」


 メナトの言葉に考え込む6人。

 しかし、メナトも人――いや、神が悪い。

 わざわざ、死んだという認識をさせるとは。

 俺の時は、どうだったっけか?


「助かって――は、いないですよね。逃げ場無かったし」


「もしかして、天国?」


 二人の言葉に、何故かニヤッと笑うメナト。

 笑う必要あったか?


「いいや。ここは現実だよ。いや、君達の言う現実とは、かけ離れているとも言えるか」


「どういうことですか?」


 ここで、一人の女性が言葉を発した。

 どうやら、少しだけ状況の把握が出来たようだ。

 説明されていると言う状況のな。


「単刀直入に言おう。君達は、確かに一度死んだ。だが、君達の死は想定外のものだった。だが、我々にもルールがある以上、元の世界で生き返らせることが不可能だったんだ」


「ええっと?」


「君達から見た場合だと、異世界で生き返った――と言う事だ。そして、私は最上級神の一柱でもある」


 メナトの言葉を聞いた6人は、一気に胡散臭そうな表情をした。

 まぁ、これに関しては仕方無いと思う。

 確かに単刀直入で話しているが、胡散臭さ120%間違いなしだからな。

 だが、嘘だと切って捨てるには出来ない事も、また事実である。

 高校時代の見知った顔があるので、嘘とは言いにくいのだ。

 だが、気持ち的に考えれば、あまりに光景無糖過ぎるわけで……。


「メナト」


「なんだい?」


「異世界だって証拠を見せて上げたらどうだ?」


「魔法は危険だよ?」


「空間収納で良いだろう。あれなら、そこまで危険でもない」


 俺の言葉に一理あると思ったのだろう。

 メナトは俺の意見を採用して、空間収納を見せた。

 6人の目が見開いたのは、言うまでもない。


「す、すごい手品ですね。タネや仕掛けはどうなってるんですか?」


「あくまでも、認めたくないようだね」


 メナト、割とげんなりとしている。

 しっかし、なんでここまで、俺と差があるのかね?


「俺の時は、結構すんなりと受け入れたんだけどなぁ」


「え?」


「ああ。ラフィの場合は、場所のせいだね。ほら、上だったからさ」


「そういう。……結界で、再現可能か?」


 何となく出た言葉だったが、メナトから却下されてしまった。

 結界で構築できなくは無いけど、危険な行為ではあるらしい。

 後で教えて貰ったのだが、神界の状況を作るのは、世界創造と同義らしい。

 そりゃ、確かに危険だと納得したのは言うまでもない。


「あの……」


「ん?」


「あなたも、生き返った側なんですか?」


「へ?」


 なんでそう言う話になっってんだ?

 ……あ、さっき、何気に話した言葉からか。

 さて、どう答える――いや、ネタばらし確定案件だし、素直に話すべきだよな。

 どうも秘匿癖が出来てしまってる。

 治さないとダメかもしれないな。

 とりあえず、さっきの質問に答えるとしよう。


「俺は転生者だな。生き返ったと言うよりは、前世の記憶を持った状態で、生まれ変わったと言うのが正解だ。まぁ、一部記憶は抜け落ちてるけどな」


「そうなんですか?」


「ああ。家族の顏とかだな。つい最近までは、親友の顏も思い出せなかった。知識だけは覚えてるのにな」


「えーと、ご愁傷様? おめでとうございます?」


「どっちも違うんじゃね?」


 なんとも言えない空気が流れる。

 とりあえず、1つ咳払いをしてから、改めて説明と――ネタばらしを行っていく。


「まぁ、中には召喚者とかもいるからさ。同郷の人だから、後で紹介はするよ」


「ありがとうございます」


「他人行儀だなぁ。前みたいに、フレンドリーに接してくれよ」


「えっ?」


「あれ? まだわかんねぇの?」


「いや、外見は違うんだから、分かるはずないと思うよ」


「メナト、うっさい」


 困惑する6人。

 俺とメナトのやり取りはスルーされた。

 どうやら、それどころではない模様。

 では、ネタばらしと歓迎の言葉を贈ろうか。


「じゃ、ネタばらしだな。右から名前を言ってくぞ? 間違ってたら、訂正するように」


 そして、順番に名前を言って行く。

 右から、男性二名、女性四名の名前を。


「中学からの悪友、常磐ときわじゅん。心の友、芹澤せりざわ輝明てるあき。常磐の彼女、ほうき美羽みう。芹澤の彼女、澄沢すみさわ天音あまね。俺の幼馴染だった、夕凪ゆうなぎほたる。大学で友達になった、雪代ゆきしろ詩音しおん。間違ってるか?」


 俺の言葉に否定は無く、肯定も無い。

 ただただ、ぽかんと口を開けている6人。

 後ろでは、メナトが肩を震わせて笑いを堪えていた。

 後でお仕置きするか、悩みどころではある。


「おーい、合ってるのか? 間違ってるのか? 反応無いと、悲しいぞー」


「え、あ、ああ。合ってる」


「俺も」


「私も」


「皆もだよね」


 悪友と心友が真っ先に反応した後、雪月さんと蛍が反応して、全員が間違いないと応える。

 だが、6人の顏には誰なんだ?と言う表情が、隠すことなく浮かんでいた。

 いや、もしかしてと言う顔もある。

 思い当たる節はあるけど、半信半疑と言った所か。


「まぁ、当時とは全く違うから、分かんねぇよな」


「早く言ったらどうだい?」


「外野、うっさい」


 メナトが急かしてくるので、答えを言ってしまうとするか。


「不知火蒼夜だよ。正真正銘の――な」


 告げては見たが、やっぱり半信半疑みたいだ。

 だから、とっておきの表情をしてやることにした。

 ニヤリと笑って、大仰に話す。

 高校の文化祭でやった劇の様に。


「ようこそ、第二の人生に」


 その表情と言葉を聞いた6人の内、唯一反応した人物は、当時と変わらない言い方で返してきた。


「あ、このイラっと来る顔と言い回し方は、間違いなく蒼夜だわ」


「ひっど!」


 蛍だけには納得してもらえた。

 その後、蛍と俺で残る5人の疑惑も解いていき、お互いの再会に喜んだ。

 そして、その間、メナトは放置プレーだった。

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