第190話 ダグレスト王国内までの道のり

 ミリア達家族に見送られた後、冒険者ギルドに寄ってから王都を出立する俺、神喰、八木。

 王都を出て少し歩いた所で、速度を一気に上げてダグレストへと向かう。

 街道を少し外れて、且つ、最短ルートを一直線で進んでいくのだが、神喰はともかくとして、八木が普通に、余裕を持って付いてこれるとは思わなかった。


「結構余裕あるなぁ」


「まぁ、これくらいなら――って、感じっすかね」


「いや、普通におかしいレベルでバグってんぞ。お前」


 バグの塊と言われても否定できない神喰から、バグってると言われる八木。

 八木本人は照れているが、普通に人外認定されてるのに気付けと言いたい。

 まぁ、後で言った方が面白そうなので、この場では敢えて言わんが……。


「そういや、ギルドには何の用事だったんすか?」


「そういや言ってなかったか」


「聞いてねぇな。俺達は外で待ってたから見てもいねぇし」


 神喰も分からんと、首を傾げていた。

 ふむ……余裕もある事だし、走りながら説明するか。


「ギルドには無理を言って、別の冒険者カードを発行して貰ったんだよ」


「……偽装っすか?」


「正解。因みに、全員分な」


「なんで、そんな面倒な事をする必要がある?」


 八木は何となく察しがついている様だが、神喰は分かってないみたいだ。

 なので、俺の代わりに八木が説明を始めた。


「ラフィさんは有名ですからね。カードを見せたら一発でバレるんっすよ」


「ラフィは分かるが、なんで俺とお前まで必要なんだ?」


「俺は元ダグレスト側の人間ですよ。暗殺に行って、報告が来てないのにカードなんて見せたらもろバレっすよ」


「じゃあ、俺は?」


「その辺は、ラフィさんに聞いてくださいっす」


 八木も神喰い分に関しては、なんでだ?って顔をしていた。

 確かに、八木じゃわからんわな。

 仕方ないので、八木から引き継いで説明する。


「神喰のに関しては、保険だな」


「どういうこったよ?」


「お前、今のランクは?」


「Aだが?」


「何時、そのランクになった?」


「最近……あー、そういうことか」


「そう言う事だ」


 俺と神喰のやり取りを聞いていた八木も、何となくだが理解した様だ。

 そもそも、ダグレストの冒険者ギルド限定で情報規制がかけられているのだが、人の口に戸は立てられない。

 冬は人の行き来が減るとは言え、無くなる訳じゃあ無い。

 結果、神喰の冒険者としての噂が、ダグレストまで流れていても不思議では無いので、念の為に偽装するわけだ。


「だがよ、カードだけで騙しきれるもんなのか?」


 神喰の疑念はごもっとも。

 なので、懐から指輪を3つ取り出し、内2つを神喰と八木へ投げる。

 かなりの速さで走っているわけだが、二人共、苦もせずキャッチした。


「指輪っすか?」


「これは……なるほどな。変装込みってか」


「大正解。俺お手製の変装魔道具だ」


 指輪には気配変換、気配操作、幻影、意識誘導の4つが込められている。

 起動した瞬間、完全に別人へと変われる魔道具だ。

 尚、悪用される心配を想定して、使い捨てにしてある。

 発動してしまえば、止めない限り変装した状態でいられるが、一度切ってしまうと2度と使えない。

 ただ、春宮と姫埼を救出する際、一度切らないといけないから、俺と八木のだけは2回だけ発動可能にしてある。


「俺も2回発動が――いえ、何でもないです」


「素直で大変よろしい」


 神喰が何か文句を言おうとしたので、例の結界を発動させる素振りを見せて大人しくさせた。

 神喰のトラウマ克服は、当分先になりそうである。


「とは言え、今の速度だと、国境まで2日位と言った感じか」


「そうっすけど、結構異常ですからね? これ」


 八木の言う事だが、実は本当に異常だったりする。

 今の俺達は、時速に当て嵌めると100キロ位で走っている。

 普通の冒険者だと、平均20キロくらいで、速い人で30キロくらい。

 馬車の場合だと、全力走行で50キロ位で走る。

 馬単騎だと、60~70キロほどだ。

 但し、馬の全力疾走は使い潰す事が前提なので、実際には10~20キロほど落とした速度が速い状態だ。

 それでも普通は、冒険者の平均速度位か、それより少し遅い速度で走らせている。

 以上の事を知っている八木だからこそ、異常だと言えるわけだ。

 因みに、姫埼は馬と同じ速さで走れるらしい。

 春宮は、速い冒険者くらいだそう。


「救出後の足は、馬単騎か馬車が必要か」


「姫埼は、馬車よりも走った方が早いっすから、馬っすね」


「因みにだが、八木は余裕あるんだよな?」


「? あるっすけど……まさか!?」


「速度、上げるから」


「お、鬼ぃぃぃぃいいい!!」


 言うや否や、倍の速度で走り出す。

 鬼とか言っていた八木だが、普通に付いて来ているのには、ちょっとビックリである。

 つうか、まだ余裕あるようにも見えるんだが?


「八木君」


「君付け……。嫌な予感しかしないんっすが?」


「まだ、余裕あるよね?」


「これ以上は無理っス! 着いても動けないから!」


「その為の……回復魔法だ!」


「悪魔! 人でなしぃぃぃいいい!!」


 と言う訳で、当初の3倍の速さで爆走して行く。

 時速300キロで爆走中なわけだが、八木は付いて来ていた。

 但し、余裕はあまりなさそうなので、これ以上は上げれないかな。

 だって、何度か声を掛けたんだけど、返事が返ってこなかったからな。

 流石に一杯一杯らしい。

 そんな中、神喰が声を掛けてきた。


「おい」


「なんだ?」


「今のルートで進むと、領域に2,3ぶち当たるんだが?」


「その事か」


 前もって、リーゼと一緒に地図を確認してきている。

 それでも敢えて、このルートを選んだ理由は、速度重視にしたからだ。

 そして、護衛には神喰がいるわけで……。


「任せた!」


「そんなこったろうと思ったよ!」


 八木は余裕が無いので、俺達の話に割って入らなかったが、ちょっとだけ不思議そうな顔をしていた。

 なので、説明をしておこう。

 速度を落とされても困るしな。


「帰りは殿だけど、行きは前衛なんだよ。で、邪魔な魔物は、神喰が名前通り喰ってくれるから」


 声を出す余裕が無い八木であったが、表情が全てを物語っていた。

 軽く引いてる表情をしてたからな。

 きっと内心はこう思っているのだろう。



 マジで敵に回らなくて良かった――と。



 確認すべきことも終えたので、その後は少し無言で爆走し、一つ目の領域へと到着。

 そこまで強い魔物が出る領域でもないので、神喰無双を発動させて、無事に短時間で駆け抜けた。


(今のペースなら、1日~1日半くらいかな?)


 進行速度から逆算して、国境付近の村に到着する日数を考えていると、2つ目の領域に突入した。

 言うまでも無く、神喰無双で切り抜ける。


(ただ、この先が問題なんだよなぁ)


 3つ目の領域であるが、ランシェス有数の巨大領域で、魔物の強さも数も段違いだったりする。

 まぁ、俺と神喰なら楽勝で通過可能なんだが、問題は八木である。

 流石に、今の速度で自身を守りながらは厳しいだろう。


(どうせ、領域に一番近い村で宿泊するし、その時に作戦会議でも良いか)


 その考えを二人に伝えて、予定より少し早い時間で、宿泊予定の村に到着した。

 俺と神喰は到着早々に宿の確保と情報収集に動き出す。

 八木?へばって動けてません。

 肩で息をしてはぁはぁ言ってるし。

 なので、宿の確保と八木の運搬は神喰に任せて、俺は情報収集するべく、冒険者ギルドへと向かう。

 実は、この領域の魔物の情報って、一部しか持ってないんだよね。

 だから、危険を最小限に減らすために必要な行動なのだ。


「神喰、分かってるよな?」


「もちのろんだ。こっちは任せろ」


 村に入るや否や、阿吽の呼吸で行動に移る。

 八木は訳が分からないまま、神喰に連行されていった。


「さーてと、ギルドはどっこかな」


 村とは言ってるが、それなりに栄えている。

 村以上街未満と言った感じだ。

 その理由は、人口が街の規定に達していないからで、実際には街と遜色ない。

 だから、それなりに広く大きいので、目的の場所を探すのにも一苦労すると言う訳だ。


「すいませーん」


「はい?」


「道を聞きたいんですが、冒険者ギルドって何処にありますか?」


「ああ。それなら……」


 露天商のおばちゃんに道を聞いて、ギルドへ向かう。

 ついでに、上手そうな串焼きを売っていたので、それも購入して食べながら向かっている。

 歩く事、数分。

 冒険者ギルドへ到着して、中に入るのだが……。


「まぁたガキだよ。最近のガキは自惚れ屋が多過ぎなんだよ」


「ガキはさっさと帰って寝ろ!」


「邪魔だ! つったんてんじゃねぇ!」


 相変わらず、何故か絡まれる。

 そして、成人しているにも関わらず、未だにガキ扱い。


(解せぬ)


 何か呪いでもかけられてるんじゃないだろうか?と、本気で考えてしまいそうだ。


『呪いなんて掛かっていませんよ。これで何度目ですか?』


『人の表層意識を勝手に読むな』


 リエルからの『もう何度目ですか?』ってツッコミをスルーして、ギルドの受付嬢の元へ向かう。


「今日はどのような御用件でしょうか?」


「領域内の魔物の情報が欲しい」


「かしこまりました。ですが、こちらの領域ではランク制限がございますので、カードの提示をお願い致します」


 言われるがまま、本来のカードを提示する。

 それを見た受付嬢は目を見開き、慌ててお辞儀をし始めた。

 一体何だと言うのだろうか?


「す、直ぐにギルマスを呼んで参りますので! 暫しお待ち下さい」


「いや、ギルマスが出てくるような……」


 こちらが言い終わる前に、受付嬢は再びお辞儀をして、奥へと走って行った。

 ……どうしていつもこうなる!

 待つ事少し……受付嬢と中年の男性がやって来た。

 中年の男性がギルマスなのだろうが、彼は深いため息を吐きながら、何かを諦めた様に話し始めた。


「初めまして。この支部を任されています。早速なのですが、魔物の情報が欲しいとか?」


「ええ。ちょっと訳ありでしてね」


「そうですか。国も重い腰を上げたと言う事ですか。この村も寂びれますなぁ……」


 どうやら、お互いに食い違いがある模様。

 なので、誤解を解くところから始める。


「あの、別に領域の開放はしませんよ? ちょっと行くところがあるんですが、最短距離で進むと、この領域を突っ切った方が早いんですよ」


「そうなのですか?」


「ええ。ただ、道中で魔物との戦闘は避けられないと考えていまして」


「そのために情報が欲しいと?」


「ええ」


 こちらの説明に、胸を撫で下ろすギルマス。

 隣で聞いていた受付嬢も、何処か安堵した表情に見える。


「それならそうと……」


「言おうとしたんですが、先に呼びに行ってしまわれまして」


「なるほど。それはとんだご迷惑を」


「迷惑ってほどでもないので」


 ギルマスと穏やかに話を進め、魔物の情報が書かれた写本を譲り受けた所で、何人かの冒険者がいつも通り絡んできて……ギルマスが必死に止めに入った。


「お前らは馬鹿なのか! こちらの冒険者は、彼の【蹂躙者】だぞ! 死にたいのか!!」


「「「げぇ!!」」」


「はぁ……。冬だから稼働が悪いのは理解してやるが、暇だからと言って他人に絡むな! お前ら罰金! さっさと仕事して来い!」


 ギルマスに罰金刑を言い渡された冒険者達は、酒を飲んでいたようだったが、一気に酔いが覚めたみたいだ。

 だって、地味に阿鼻叫喚なんだもん。


「越冬資金がぁぁぁあああ!!」


「冬に仕事、したくねぇぇぇぇ!!」


「ゆっくり過ごす予定だったのに……」


「あー、なんかご愁傷様」


「「「本当にご愁傷様だよ!!」」」


 何てやり取りを終えて、俺はギルドを後にし、神喰と八木が待つ宿へ向かった。

 念話で伝えて来た宿に向かうと、食堂で神喰が待っていた。

 あれ?八木は?


「あいつなら、部屋で爆睡中だぞ。余程きつかったみたいだな」


「ちょっと厳しすぎたか」


「まぁ、底上げにはなっただろうし、自身の力量の見直しにもなっただろうよ。それよりも……」


「ほれ」


 神喰の言葉に返事をして、さっき譲って貰った写本を投げる。

 受け取るや否や、食い入るように読んでいく神喰。

 こいつって、そんなに勉強熱心だっけ?

 一通り読み終わった神喰は、写本をこちらへと投げて渡してきた。


「その本に書かれている内容は、全て暗記した。後であいつにも見せて、共有しとけよ」


「誰に物を言ってる。言われんでもするわ。それよりも――だ」


 俺はゲ◯ドウポーズになって、神喰を詰問する。

 任せたが、当たりなのだろうな?と……。


「俺の鼻を舐めるなよ? この宿は酒場も兼ねてるんだが、間違いなく当たりだ。一応、ラフィが戻る前に情報収集しといたが、この町で1,2位を争う位の宿らしい」


「飯もか?」


「5本の指に入るって話だ。期待値大で間違いねぇ」


「それはなにより」


 神喰との話を終え、八木が待つ部屋に向かう。

 尚、現在はランシェス国内なので、多少は貴族らしい行動も取らねばならないので、八木と神喰で一部屋、俺のみで一部屋を取っている。

 八木が待つ部屋に向かったのは、1時間ほどすれば酒場が開く時間となるからだ。

 二人で部屋に戻り、軽く休息を取った後、時間となったので八木を起こす。


「オハヨウゴザイマシタ……」


「お前は何処のオレンジだ」


 寝惚けている八木に、鋭いツッコミを入れておく。

 元ネタを知らないはずの神喰だが、何故か腹を抱えて笑っていた。

 なので、脳天にチョップを決めておく。


「理不尽だ!」


「うっさい。馬鹿笑いしてる奴が悪い」


 俺も理不尽だとは思うが、神喰が相手と言う事で分かって欲しい。

 ぶつくさ文句を言っているので、トラウマ動作を取ると、直ぐに大人しくなった神喰。

 良い加減、克服しても良いだろうに……。

 とまぁ、ちょっとしたおふざけはあったが、全員で酒場へと繰り出す。


「へぇ。賑わってるな」


「情報通りだな」


「あ、あそこが空いてますよ」


 八木が指さした席に3人で座り、店員さんが来たので注文をして行く。


「いらっしゃいませー。お客さん、初めてですよね?」


「今日、この町に着いたんだ。オススメがあれば教えて貰いたいんだが」


「うちは全部オススメですけど、通な人は日替わり品が何点かと、猪肉のシチューは頼んでいきますね。後は蜂蜜酒もオススメですねー」


「じゃ、それ全部」


「え?」


 店員さん、ちょっとだけ引いてらっしゃる。

 何か間違えたんだろうか?


「あの、お客さん。日替わり品は高いんですけど、大丈夫ですか?」


 店員さんの説明によると、日替わり品は最低でも銀貨1枚はするらしく、高い場合だと大銀貨1枚はいくらしい。

 安い方は分からなくも無いが、高い方はそれだけ価値のある物なのかねぇ?


「最近、王都で流行りの食べ物らしいんですよ。材料費もですけど、調理工程が難しいのも多いらしくて、その分お高めなんです」


「なるほどねぇ。因みに、今日の日替わり品は?」


「天麩羅、唐揚げ、豚カツ、翼竜のステーキですね。あ、お酒だと竜王国産の大吟醸がありますよ」


 思わず机に突っ伏しそうになるのを我慢する。

 つうか、全部俺が王家に出した事あるメニューじゃねぇか!

 尚、隣では神喰が笑いを堪えているので、指を鳴らしてみる。

 神喰、速攻でお口をチャックした!

 素晴らしい反応速度である。


「あー、じゃ、それ全部で。二人共、それで良いよな?」


 二人共、異論は無いらしい。

 八木だけは若干、嬉しそうだったが。


「かしこまりー。飲み物はお酒で良いですか?」


「俺は蜂蜜酒。二人は?」


「俺も蜂蜜酒で良いっす」


「俺は大吟醸で」


 注文を決めて待つ事少し、先に酒が運ばれてきたので乾杯をする。

 3人共、一気に酒を煽り、同時にコップを机に置く。


「「「ぷはぁ~」」」


 またも同時に息を吐き、酔う前に明日の話をしておく。


「さて、神喰には先に見せたんだが、八木も目を通しといてくれ」


「魔物の情報っすか? どれどれ?」


「まぁ、そこまで強い奴はいねぇよ。ちぃと厄介なのはいるがな」


「……おい、ちょっと待ってくださいや。すっげー強いのがわんさか書いてありやがりますが?」


 神喰の言葉に真っ向から反論する八木。

 二人の反応が違うので、俺も再度目を通すことにした。

 ……うん、どれが強いのかわからん。

 確かに厄介なのはわかるが……。


「あんたらおかしい! 冒険者10人に聞いたら10人がおかしいって言う!」


「そこまでか? お? あそこにいるのは冒険者じゃねぇか?」


 神喰が顎で指した方に目を向けると、ギルドで絡んできて罰金になった冒険者がいた。

 ふむ……彼らにも聞いてみるか。

 と言う訳で、神喰に呼んできてもらう。

 あいつなら、実力を示せるだろうからな。

 そう思ったのは間違いではなく、直ぐに冒険者を連れて来た。


「いや、グラフィエルさんの連れって言うもんですから」


「ラフィって、有名なのな」


「てめぇ……。はぁ……。まぁいい。それよりも聞きたいことがあるんだが? 素直に話してくれるなら、ギルマスに一筆書いてやっても「何でも答えます!」」


 冒険者に八木と同じことを聞いてみるが、やっぱり俺と神喰はおかしいらしい。


「グランドコングが片手間とか、ニャルガクルガが可愛い猫とか、頭がおかしすぎです!」


「コングトレントがちょっと面倒? 超面倒の部類ですって!」


「おまっ! それを言ったら、超面倒なのに片手間で済ませてるフォレストスコーピオだろ!」


 訂正――相当おかしいらしい。

 だがなぁ、倒し方さえ分かってしまえば、そう面倒な魔物でもないんだが。


「普通は、倒し方が分かっても実行できないから超面倒なんっすよ」


 八木からのツッコミ。

 俺と神喰はスルーした。

 その後も色々と話したり情報を交換したりして、一筆書いた手紙を渡してお開きとなった。

 尚、支払いは全て俺である。

 神喰と八木は自分で支払って欲しいのだが?特に神喰は。


「かてぇこと言うなよ。器が知れる――」


 言い終える前に、脳天にチョップをかまして机に沈める。

 漫画みたいに、脳天から血が噴き出しているが気にしてはならない。

 ただ、周りが騒然としたので、ただの芸だと言っておくことにする。

 これが神喰の芸風なのだよ!

 尚、八木はドン引き中である。

 酔いも覚めたようだ。

 そんなこんなで夜は更けていき、部屋に戻って就寝した。

 明日も早いのでさっさと寝よう。

















「ラフィさんって、神喰さんには容赦ないよな……」


 一人、部屋で呟いた八木だった……。

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