幼少期編
第7話 転生と新しい家族
蒼夜は転生の儀によって意識を深い闇に落としていった・・・はずだった。
ふと気づくと真っ暗な闇の中で意識が覚醒していた。
そこで蒼夜は予想外であり得ない人物と再開する。
「よう・・・久しぶり?で良いのか?」
消滅させた神喰い(元食神)である。
何故消滅させた神喰いがここにいるのか疑問だがその答えは直ぐに帰ってきた。
「あの場じゃ奴に聞かれてたからな。一つだけ教えといてやろうと思ってな」
神喰いは淡々と告げる。
まるで俺の話など一切聞かないと言わんばかりに。
だが、その様に思っていると意外にもその事を読んでいたのだろうか?
神喰いが説明をしてくれた。
今見える神喰いはただのメッセージであるので話しかけてもどうしようもない。
転生されるかはわからなったが消滅の時にゼロの柄にメッセージを仕込んだ。
転生した際には再生されるようにした。
転生の儀は基本意識が途切れるが無理に少しの間だけ覚醒させ声は出せないが聞くだけなら可能。
と言う事だ。
何故そこまでしてメッセージを伝えるのか?神喰いの意図が分からない・・・。
だが俺は次の一言で衝撃を受けることになる。
その内容とは・・・。
「俺を狂わせ堕とし神喰いにしたのは・・エステスだ」
はっきりとそう告げたのだった。
そして神喰いは消える。
俺はまた真っ暗な世界で意識を失う。
かなりの予想外な事と衝撃的なことがあったが蒼夜は新しい生命の元へその魂を宿すのであった。
「おぎゃーーーー!おぎゃーーー!」
とある一室にて新しい生命が産声を上げた。
部屋には白銀髪の女性と白髪の老婆に茶髪の女性と複数のメイドがいた。
そこにドタドタと騒がしく走ってくる一人の男性が勢いよくドアを開ける。
「無事産まれたんだな!」
嬉しそうにそう告げる男性に白髪の老婆が答える。
「元気な男の子でございます」
男性は生まれたばかりの子を抱き上げ白銀髪の女性を見ながら心配そうに尋ねる。
「お前も大事ないな?」
「はい、あなた」
二人は夫婦であった。
短い言葉を交わしあった直後白髪の老婆が報告をする。
「母子ともに健康でございます。予定日より少し早うございましたが許容範囲内でございますので問題はないかと」
そう告げ老婆はその場を後にする。
「あーうー」
赤ん坊が声を上げると白銀髪の女性は夫である茶髪の男性から赤ん坊を受け取りお乳を与え始める。
「元気よく飲んでいます。髪の色と鼻は私に似ていますね」
「目元と口元は俺似だな。これは子供で一番顔の良い子になるかもな」
そんなことを話している間に赤ん坊はお腹一杯になったらしくあくびをしてすやすやと眠ってしまった。
そこへ金髪の女性がやってくる。
「アリーエル、男の子と女の子どっちだった?」
「ルルエナ、男の子だったわよ」
二人の女性は赤ん坊を見ながら簡単な会話をする。
金髪の女性も茶髪の男性と夫婦だ。
三人仲睦まじく赤ん坊が無事に生まれたことに喜び安堵した。
「あなた。この子の名前は決まっているのですよね?」
「もちろんだとも。この子の名は・・・」
こうして蒼夜は無事に転生を果たし、クロノアス家三男として新しい生と家族を得た。
転生して半年が過ぎた・・・。
その半年の出来事はって?
赤ん坊なので語ることはあまりないのだよ。
基本食べて寝て出すもの出して位だからな。
今言える事は、俺の意識が覚醒したのが生まれて三日後だった事と兄弟がスゲー見に来る位か。
後は専属メイドがいる位と予測だが俺の転生先は超金持ちなのでは?って位だ。
確か辺境伯家に転生って神様達は言ってたよな。
辺境伯ってのがかなり地位が高いのかは、読んでたラノベ通りなら何となくわかるが、確かお金は結構ピンキリだった気がするんだよなぁ。
その辺りうろ覚えなので良くわからんが・・・。
あー、そういえばもう一つやってる事があったな。
それは魔力修練だ。
赤ん坊で動けないしやること無いからな。
神様に言われた通り修練やってます。
どの程度やれば良いのか聞いて無いけど、まぁやっといてそんはないだろ。
そんな感じで更に時は過ぎ2歳になりました・・・。
2歳になったことだし、ここで家族の話をしようと思う。
クロノアス家は9人家族にメイドが12人と執事がいる。
家族一人一人に専属メイドがいるのだ。
俺の専属メイドはナリアと言い、年齢は15歳。
前の世界のメイドとは異なり、各々決められた役割と仕事があるようだ。
食事の配膳などは各々の専属メイドがする。
料理は母達が好きなので夜は基本何もなければ料理人と共に母達も調理をして振舞う。
朝と昼は時間があれば母達が調理をするが基本は料理人だ。
父は先も述べた通り領地を持つ辺境伯家で十代目になる。
何でもご先祖様が希少魔法の使い手で魔法使いの中では当時5本の指に入る程の冒険者だったらしい。
そこでたまたま領地開発に難航していた当時の当主の娘さんと恋仲になり婿入りしたそうだ。
その過程で魔法を使い領地を一気に開墾・開拓・開発させ、当時の当主が引退する時に分家の当主になったらしい。
本家に跡継ぎもいたので分家を設立したそうだ。
我が辺境伯家は代々その地を経営しているわけである。
尚、今は本家でもある。
過去に起こった戦争で本家は潰えてしまったそうだ。
そんな我が辺境伯家だが実は代々希少魔法の時空間魔法が受け継がれるらしい。
何故かはわからないが世継ぎが出来て以降、必ずご先祖様の希少適性が受け継がれるのだ。
兄様や姉様もその希少魔法適性を当然受け継いでいるものと思われる。
正確に言えば長男と長女と次女は受け継いでいる。
残り二人の兄姉は教会での洗礼が済んでない為にまだわからない。
だが両親曰く、「恐らく受け継いでいるだろう」との事だ。
洗礼は5歳で行われる。
その時にステータス魔法と言うのを授けられるらしい。
なので俺もまだ自分のステータスや魔法適性などわからない。
そして今、俺はちょっとピンチだったりする。
末っ子と言うせいもあるのだが母二人と姉達の可愛がりレベルが異常なのだ。
更に父もダダ甘である。
俺は転生前に神様達から剣と魔法の世界と聞いている。
だから2歳になって真っ先に文字の読み書きをナリアに教えて貰った。
この世界のメイドは文字の読み書きと簡単な計算は必須項目で、それが出来ないとメイドギルドで仕事を斡旋してもらえないのだ。
他が出来てもそれが出来なければ斡旋して貰えないし、それだけ出来ても斡旋して貰えない。
家事全般に一定レベルの戦闘術もできなければならない。
逆に言えばメイドギルド斡旋のメイドさんは超プロと言う事だ。
そんな超プロメイドに読み書きを教わり、俺は父に頼んで書斎の本を片っ端から読みつくした。
それでも足りないので父に本をねだったら絶対に買ってくれるのだ。
ただ、そんな日常を送っていると、兄二人も何故か俺のことをかなり心配してくる。
俺生まれる時に何かあったんですかねぇ・・・。
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SIDE グラキオス・フィン・クロノアス
私はグラキオス・フィン・クロノアス辺境伯。
ここクロノアス領の領主でありクロノアス家の当主である。
我が家族は私を含め九人家族である。
アリーエル・フィン・クロノアスとルルエナ・フィン・クロノアスを妻に持ち。
子供たちは。
長男、グリオルス・フィン・クロノアス。
長女、エルーナ・フィン・クロノアス。
次女、ルラーナ・フィン・クロノアス。
次男、アルキオス・フィン・クロノアス。
三女、ルナエラ・フィン・クロノアス。
である。
次男と三女は双子だ。
そして二年前に三男グラフィエル・フィン・クロノアスが産まれた。
三男は予定日より少し早く生まれたが、健康に問題は無く安堵した。
この世界には生命神エステス様の出産予知と言う力が存在している。
魔法ではなく加護を持つ者のスキルでそのスキルを持つものは教会に就職できる。
教会に入信するのではなくあくまでも就職だ。
まぁ九割以上の人間はそのまま入信して司祭以上を目指すのだが。
話がそれたが出産予知は誤差1日程度はあるが産まれる日時を予知できる。
それが予定より早い出産となれば焦りもする。
母子ともに健康体であったのはとても喜ばしいものだった。
そんな三男が2歳になり、専属メイドのナリアに文字の読み書きと計算を教わったと聞いて驚いたものだ。
わずか数週間でメイドが教えられる内容は全て覚えてしまった。
何とも賢い子である。 グラフィエルは書斎の本を読みたいと言ってきた。
別に読まれて困るようなものでもないので好きに読ませることにした。
1か月と少し経った頃であろうか。
グラフィエルが新しい本が欲しいと言い出した。
私は勉強熱心なグラフィエルの為に幼い子には少し難しめの本を買い与えた。
二冊渡したのだが一週間後にはまた新しい本が欲しいと言われた。
流石に読み切っていない状態で買い与えるのはと思いナリアに話を聞いた。
全く予想外な事に与えた本は直ぐに読み切ってしまい、書斎にある魔法関連の本をもう一度読み直していたそうだ。
これには私も驚いた。
グラフィエルは神童ではないのだろうか?
その様な思いにふけっているとナリアから本の種類に対して忠言された。
グラフィエルは魔法関連の英雄譚より自らが修練できる様な本を求めているのではないかと。
ナリアはグラフィエルをよく見ているのであろう。
私は魔法関連の簡単なものから難しい本まで買い与えた。
グラフィエルは時間があればその本を読み漁っているそうだ。
そんな中、今日も妻や娘達は大人しく素直な可愛い三男にご執心だ。
グラフィエルは毎日、着せ替え人形にされている時間がある。
そんなグラフィエルを心配してのことだろうか?
兄達は同情と心配をしていたが一番思ったのは『良く我慢できるな』であろう。
我が家の子供は親の贔屓目を抜いても顔が良いと思う。
大人になってからはわからんが今の顔立ちは男女問わず女の子っぽい顔立ちだ。
長男グリオルスは生まれてから妻達に色々着せられた。
直ぐに長女エルーナが生まれたが二人とも着せ替え人形にされたのだ。
次女ルラーナが産まれてもグリオルスの着せ替えは留まること知らなかった。
いや、むしろ加速した。
双子で次男アルキオスと三女ルナエラが生まれてようやくグリオルスへの着せ替えが若干落ち着いた。
だが代わりにアルキオスがグリオルスと同じ状態になる。
当然、姉達も参加してくる。 幼くとも可愛いものには目がないようだ。
しかも新しく買ったりせず、今あるもので手直しをしたりするものだから私も文句を言えない。
勿論買わないわけではないがそれでも着せ替え量は凄いのだ。
そしてグラフィエルが産まれるのである。
兄二人は三つになるころには既にまたかと顔に出るようになってしまっていた。
グラフィエルは今の所、その様な事はないがどうなる事やら・・・。
今日もそんな一日がまた始まるのであった。
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